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CAC(顧客獲得単価)とは|定義・計算方法・重要な理由

顧客を獲得する状況を把握するために、CACを知ることは重要です。この記事では、CACの定義・計算方法・改善方法などを紹介します。

CAC(顧客獲得単価)とは

CACとは、Customer Acquisition Costの略で、日本語で顧客獲得単価のことです。
顧客獲得単価とは、1顧客を獲得するために必要な活動の総コストで、マーケティング費用・営業活動費・人件費など全てのコストを含みます。

サブスクリプションモデルのサービスが健全な状態であるためには、CACを意識して、拡大させながらもコストを抑えたサービス展開が必要です。

CAC(顧客獲得単価)の計算式

CACの計算は以下の式で行えます。

CAC(顧客獲得単価)=マーケティング費用・営業費などを含む総コスト÷獲得顧客数

例えば、100の顧客を獲得するのに500,000円を投資したとしたら、CACは5,000円となります。

・CACに含まれるもの

マーケティング費用・営業活動費(人件費・広告費など)

・CACに含めるべきではないもの

CS(カスタマーサクセス)におけるコスト

CSのコストは、営業の一部としてCACに含むとする議論もありますが、LTVの計算に使うCACには含まないとする考えが一般的です。

CAC(顧客獲得単価)が重要な理由

CACが重要な理由としては、次の2点があげられます。

ビジネスの将来性をはかれる

CACはビジネスの将来的な成功を測るために利用される重要な指標です。

サービスが多くの顧客に利用されるようになったとしても、CACが非常に高い場合、利益率が悪く、儲かるビジネスにはなりません。そのため、CACの把握は、企業の将来を考えるにあたり必須です。

LTVとCACの関係

企業は、資金を投資して顧客を獲得します。その際にかかるコストがCACであり、利益としてはマイナスになります。時間が経つとともに課金されて利益は高まっていきます。(紺色の部分)

その後、損益分岐点を迎えてからは、契約期間中である限り利益は積み上がっていきます。(水色の部分)

一般的に、LTV>CAC×3の状態が健全な状態といわれています。

収益回収期間の想定

顧客獲得における費用の回収期間を概算し、黒字化するタイミングを算出できます。

CACの回収期間は次の計算式です。
CACの回収期間=CAC÷顧客1人あたりの月平均単価

CACの回収期間は、短ければ短いほどキャッシュフローがよくなります。

CACを改善するための施策

CACを改善するための施策を4つ紹介します。

顧客獲得のプロセスの改善

顧客獲得に必要な複数の施策を、定量的に管理します。数値をもとに、それぞれを改善していくことで、無駄を省いた顧客獲得が可能になり、CACを下げられます。

価格設定・プライシングの工夫

価格設定・プライシングを工夫することがCACを改善できます。toCのサービスにおける会員登録費用、toB向けサービスにおける導入前のガイダンス費用や導入費用など価格体系を工夫することで、CACの早期回収が可能です。

マーケティング・営業の費用対効果を高める

収益性が証明されている>マーケティング・営業方法に資金を集中させて、安定して結果を出すことで、CACを減らせます。

インバウンドマーケティング

顧客自らが自社の商品・サービスを知ってもらえるような仕組みを作るために、オウンドメディアを利用するなどインバウンドマーケティングがあげらます。インバウンドマーケティングは、ストック型コンテンツとして蓄積されるため、長期的にCACを削減します。

まとめ

CACは1人の顧客を獲得するのにかかる総コストのことです。LTV/CAC比率が比較的高い状態にあると、事業拡大をしてもあまり利益を得られません。そのため、CACを常に見つめて、状況に応じて改善する施策をうつことが重要だと言えるでしょう。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)とは|計算方法・顧客獲得との関係

企業の状態を理解するために、顧客のLTVを把握することは、最も重要なことの1つです。この記事では、LTVの定義・計算方法・顧客獲得との関係性などを紹介します。

LTV(生涯顧客価値)とは

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、日本語では顧客生涯価値のことです。
顧客生涯価値とは、顧客1人が生涯のうちに、企業にもたらす売上または利益がどれくらいあるかを算出したものです。

LTVが売上であるか、利益であるかの明確な定義はなく、業界によって使われ方は様々です。小売業界などの売り切り型モデルのビジネスを展開する企業では、売上ベースのLTVの考え方が主である一方、SaaS業界などのサブスクリプションビジネスを展開する企業では、利益ベースのLTVの考え方が主流です。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法・公式

LTV(顧客生涯価値)の計算方法は、次のようにあらわされます。ここでも売上ベースであるか、利益ベースであるかは注意しなければいけません。

売上ベースのLTVの計算方法

LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数(購入期間)

利益ベースのLTVの計算方法

LTV=ARPU(顧客あたりの平均月間収益)×粗利率×解約率

LTVと顧客獲得の関係

LTV(顧客生涯価値)は、顧客獲得を考える際に重要な指標となります。LTVを算出できれば、企業は顧客獲得のための広告費やマーケティング費用をいくらに設定すれば、健全に利益を生み出せるかを計算できます。

ここでLTVを利用した顧客獲得を考えるうえで、顧客獲得単価と称されるCPA(Cost Per Acquisition)とCAC(Customer Acquisition Cost)の違いについて解説します。

CPAとは、1人の顧客獲得に必要となった広告費のことを指します。一方、CACは顧客1人を獲得するために費やしたコストを意味し、広告費だけではなく、マーケティング費用・人件費など様々なコストを合計したものです。

顧客獲得単価の違いを理解すると、LTVの売上ベースであるか、利益ベースであるかを理解できるようになります。

売上ベースのLTVと顧客獲得

売上ベースのLTVは、CPAすなわち1人あたりの広告費の算出に役立ちます。

上限CPA=売上ベースのLTV×粗利率

上限CPAとは、顧客を1人獲得するのにかけられる最大の広告費のことです。利益(売上ベースのLTV×粗利率)を広告費が上回ると企業は赤字になってしまいます。スタートアップのような初期段階は赤字を掘ってでも顧客獲得を重要視するような場合は、上限CPA以上の広告費を使うことがありますが、基本赤字ではビジネスは成り立ちません。

利益ベースのLTVと顧客獲得

利益ベースのLTVは、CACすなわち顧客1人を獲得するための総コストの算出に役立ちます。

利益ベースのLTV>CAC×3

一般的にLTVがCACの3倍以上であると、企業は健全といわれています。1以上でも利益は出ますが、LTVは将来的な長い期間を見なければならなく、キャッシュフローにおいて問題になることがあるため、3以上という状態を目指すことが重要です。

LTV(顧客生涯価値)が重要な理由

LTVの把握が重要な理由として、顧客獲得以外にも次の点があげられます。

様々な部署で共通したKPIとして活用できる

LTVは、収益性と顧客の維持の程度を組みあわせた指標であるため、さまざまな顧客獲得の手法の成否を、その顧客のLTVから評価できます。

「営業をし続けた結果得た顧客」「マーケティングに力を入れて獲得した顧客」など、顧客獲得手法ごとに得た顧客のLTVを比較することで、力を入れるべき方向性への示唆を得られます。

ペルソナ決定に利用できる

サービス成長にあたり、理想的なペルソナの顧客を増やしていくことが重要です。理想的なペルソナの選定を「LTVの高さ」という観点から行い、LTVが高くなる顧客属性を分析することで、そのような顧客の獲得、もしくは利用を継続させる施策をおこなえます。

リテンション施策の評価に利用できる

LTVでは、顧客の維持を測れるので、顧客の継続利用を促すための取り組みや、追加購入されたものが、どのように顧客の維持に影響したかを理解できます。これにより、長期利用されるために、製品開発や施策設計の改善が可能です。

財務戦略で活用する

平均的なLTVを算出しておくことで、新規顧客の獲得が、長期的なキャッシュに与える影響を予測可能になります。これにより、成長戦略の立案や、マーケティング費用の査定が、財務の目線から可能です。

LTV(顧客生涯価値)と割引

割引の実施は、結果的に平均LTVを下げてしまうリスクがあります。割引は短期的な収益を改善することができますが、それによって集まる顧客は、長期的に会社にとって有益でない可能性があります。

通常価格で買わなかった顧客は、値上げに敏感に反応してしまう顧客が多いです。そのため、自ずと解約率が高くなってしまいます。そして、価格の低さと解約率の高さからLTVが低くなってしまいます。

LTV(顧客生涯価値)を上げる方法

LTVを上げるための3つの方法を紹介します。

顧客のアップセル

顧客単価をあげるアップセルは、LTVの拡大に繋がります。しかし、単発のアップセルでは長期的にみたLTVに大きな影響を与えないため、アップセルした場合の利用期間を継続してもらえる施策をしなければいけません。

サービスラインの拡大

複数のサービスを展開している企業の場合、1サービスを利用する顧客に対して、その繋がりを使って、別のサービスを販売することで、LTV向上を目指すことができます。

支払意欲に応じたプライシング戦略

支払意欲の高いユーザーは高い価格プランを用意し、支払意欲の低いユーザー向けに低い価格プランを用意するように、支払意欲に応じたプライシングをすることは、平均顧客単価と解約率を改善することが可能です。平均顧客単価と解約率を改善できれば、LTVの向上が可能です。

まとめ

LTVは、顧客がもたらす継続的な企業への価値を表します。
顧客単価や継続期間・継続率を包括した指標であるLTVを追跡することで、商品・サービスの状態を理解できます。

LTVを活用することで、より見通しの良い経営が可能になるでしょう。
価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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SaaS関連用語まとめ|LTV・MRR・ACV・WTPなど

SaaSには様々な用語がありますが、似ているものが多く理解しにくいのではないでしょうか。そのため、この記事ではSaaSで代用的な用語を紹介します。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値、Life Time Value)とは、顧客が商品・サービスを利用し続ける中で、企業に支払う総額です。業界によって、LTVを売上とみなすか、利益とみなすかで、考え方が変わります。

LTVを理解することで、顧客獲得のために、どのくらいマーケティング費用をかけると利益が出るのかを把握することができます。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法

LTV(顧客生涯価値)の計算方法は売上ベースか利益ベースかによって変わってきます。

売上ベースの場合

LTV(顧客生涯価値)=顧客の平均購入単価×平均購入回数(購入期間)

利益ベースの場合

LTV(顧客生涯価値)=ARPU(顧客あたりの平均月間収益)×粗利率×解約率

CAC(顧客獲得単価)

CAC(顧客獲得単価、Customer Acquisition Cost)とは、1顧客を獲得するために必要な活動の総コストです。

仮に多くの人にサービスが利用されていたとしてもCACが高いと利益があまり出ません。CACを理解しておくことはビジネスの将来性を測るためにもとても重要です。

CAC(顧客獲得単価)の計算方法

CACは次のように計算します。

CAC(顧客獲得単価)=マーケティング費用・営業費などを含む総コスト÷獲得顧客数

MRR(月間経常収益)

MRR(月間経常収益、Monthly Recurring Revenue)とは、企業が毎月繰り返し得られる収益(売上)を指します。

MRRを算出すると提供するサービスの成長度などの状態がわかるため、目標設定や戦略を考えるのに役立ちます。

MRR(月間経常収益)の計算方法

MRRは次のように計算します。

MRR (月間経常収益)= 提供している月額料金プラン×顧客数

プランが分かれている場合はそれぞれ計算し合計します。

ARR(年間経常収益)

ARR(年間経常収益、Annual Recurring Revenue)とは、年間の定額収益を指します。

ARR(年間経常収益)を理解しておくと一年単位の事業の評価ができるため、長期的な計画を立てることができます。ARRの把握に加えてMRR(月間経常収益)も一緒に把握しておくことが大切です。

ARR(年間経常収益)の計算方法

ARRは次のように計算します。

ARR(年間経常収益)=提供している月額料金プラン×顧客数×12

ACV(年間契約金額)

ACV(年間契約金額、Annual Contract Value)とは、顧客との契約から得られる1年あたりの収益を指します。

ACVを理解しておくことで企業の契約状況を把握することができます。

ACV(年間契約金額)の計算方法

ACVは次のように計算します。

ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

TCV(合計契約金額)

TCV(合計契約金額、Total Contract Value)とは、契約中の全期間に支払われる合計額を指します。

TCVは予測ではなく実際の契約から算出されるため、LTV(顧客生涯価値)よりも正確な収益の予測ができます。一方、契約更新が頻繁な場合は、契約期間が反映しにくく活用が難しいです。

TCV(合計契約金額)の計算方法

TCVは次のように計算します。

TCV=(毎月の経常収益×契約期間)+そのほか契約期間無いの料金(初期費用、オプション料金など)

WTP(支払意思額)

WTP(支払意思額)とは、「Willingness to Pay」の略で、顧客が商品・サービスに対して支払いたいと思う最大の金額のことを指します。

価格設定をする際にWTPを理解しておくことはとても重要です。

価格感応度

価格感応度は、「Price Sensitivity」の日本語訳であり、顧客の購買行動に対して価格がどのように影響しているかを数値化する尺度です。

顧客の支払意欲を明確にし、サービスの価値を定量的に表すことができるため、価格設定に大きく役立てることができます。

まとめ

今回はSaaS関連の用語についてまとめました。これらの用語は、理解しておくことで事業の成長に役立てることができます。

価格・プライシングに関するお悩みがある事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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MA(マーケティングオートメーション)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

この記事では、MA(マーケティングオートメーション)業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。


プライシングスプリント

MA(マーケティングオートメーション)とは

MA(マーケティングオートメーション)とは、オンライン上で企業の商品やサービスを販促させるための自動最適化ツールです。MAは、マーケティング担当者が行ってきたリードジェネレーションやナーチャリングといった仕事を自動・最適化させます。

MAを活用すると、見込み顧客の自社サイトやメールへの反応が明らかになり、営業を適切なタイミングでおこなえるようになります。

機能 概要
見込み顧客の生成・育成 見込み顧客を獲得し、購買を促す施策の策定・実行/td>
訪問者分析 見込み顧客が閲覧するランディングページの作成
トラフィック分析 管理する見込み顧客を、購買可能性をもとにスコアリング
行動分析 設定したシナリオに沿って、見込み顧客へメール配信
Web行動解析機能 各コンテンツ上での見込み顧客の行動を解析

(調査日:2021年5月24日)

MA(マーケティングオートメーション)の市場規模

矢野経済研究所によると、2020年のMA市場の市場規模は、447億3500万円と見込まれています。次のグラフは、MAとDMP(Data Management Platform)を合算した市場規模の推移を示します。薄い青色の部分がMA市場です。

(出典:矢野経済研究所)

MA(マーケティングオートメーション)の価格・料金体系の概要

MAは、主に月額制の利用料金を設定しています。「単一価格モデル」「機能数によって値段が変動する複数パッケージ価格モデル」が設定されています。これに加えて、獲得したリードの件数や、ナーチャリングのためのメール送付件数などに応じて「従量課金モデル」を採用していることが多いです。MAツールは導入前の要件定義や設定に時間がかかるため、月額費用とは別で、初期費用を設定しているサービスが多いです。導入コストがかかるため、顧客が慎重に検討できるよう、無料トライアルを設定している企業も見受けられました。

MA(マーケティングオートメーション)の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
Marketo 非公開 複数パッケージ価格モデル 非公開
SATORI 148,000円 単一価格モデル(※1) 300,000円
xcross data 5,000円〜 複数パッケージ価格モデル 50,000円
HubSpot Marketing 5,400円〜 複数パッケージ価格モデル
フリーミアム
Synergy! 15,000円〜 複数パッケージ価格モデル 118,000円
List Finder 39,800円〜 複数パッケージ価格モデル 100,000円
Salesforce Pardot 150,000円〜 複数パッケージ価格モデル
Probance 180,000円〜 複数パッケージ価格モデル 500,000円

(※1)オプションで従量課金モデルが発生する場合あり

(調査日:2020年12月17日)

MAツールでよく使われている価格体系

MAツールでは、「従量課金モデル」と「複数パッケージ価格モデル」という2種類の価格体系がよく採用されています。

従量課金モデルの概要

従量課金モデルは、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客に納得してもらいやすくなります。

また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。ユーザー課金モデルやアクティブユーザー課金モデルも、従量課金制の1つです。

従量課金モデルの考察

MAツールの主な機能の一つは見込み顧客(リード)の生成、育成です。いわゆるこのリードジェネレーション・ナーチャリングを行うためには、獲得したリードのステータス管理、スコアリング、シナリオに沿ったメールの送付などが必要になります。管理するリードの数やメールの件数が大きければ大きいほど、自社サービスへの誘導数が増えるので、MAツールのサービス価値は増大し、支払意欲は増加します。そこで、ツールを利用するリードやメール数に合わせて従量課金モデルを設定していると考えられます。

複数パッケージ価格モデルの概要

複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取れることから、利益を増加させられます。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるよう注意が必要です。

複数パッケージ価格モデルの考察

MAツールは従量課金に加えて、ベースの価格体系として複数パッケージ価格モデルを採用しています。企業によって実現したいマーケティング施策が異なることから、機能ごとにパッケージを用意し、顧客のフェーズに合わせて選べるようにしていると考えられます。グローバルでT2D3を達成しているMarketoはMAツールの代表格ですが、同社ではSELECT、PRIME、ULTIMATE、ENTERPRISEの4つのパッケージを用意しています(いずれも価格は非公開)。

MAツールに初期費用が設定されている理由

MAツールは他のSaaSと比較して導入時のサポートコストが高いことから、初期費用を設定する企業が多くあります。いざ導入しても、正しく活用されなかったり、導入企業と相性が悪いことも少なくありません。その際でも、売上を回収できるようにしておこうという意図もあると考えられます。

フリーミアムと無料トライアル

Hubspot Marketingでは期間の区切りがなく、限られた機能でサービスを利用できるフリーミアムを設定しており、xcross data・List Finderでは一定期間利用できる無料トライアルを設定しています。

MA(マーケティングオートメーション)の価格体系に関する考察

複数パッケージ価格モデルを推奨

MAツールには、複数パッケージ価格モデルが推奨されます。複数の価格帯で提供することで、複数の顧客セグメントに対してのニーズを満たすことが可能です。リード数が多ければ多いほど利用価値が高まるため、リード数の上限をパッケージの区分とするが適切といえるでしょう。

プライスハックが推奨する価格体系

MAツールの場合、従量課金+複数パッケージ価格モデルを推奨します。MAツールはさまざまな機能を持っていますが、企業によって活用できる機能は異なります。そこで、機能ごとに複数の価格を用意し、幅広いニーズに対応できる価格体系の整備が必要です。加えて、管理すべきリード数や送付できるメール数が増えれば増えるほどに多くの価値を享受できますので、リードやメールの数に応じて従量課金を設定するのがよいでしょう。

プライシングを適正化するためには

これまでWeb接客ツールに最適な価格体系について考察してきました。最適なプライシングは、大きく3つの要素から決まります。

①顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか(ある機能、ユーザー体験、外部ツール連携など)、顧客セグメント(SMB、エンタープライズなど)によって支払意欲は大きく変わります。どんな顧客の課題を解決するために生まれたプロダクトか、現在の顧客はどのような属性かといった内容をプライシングに反映させる必要があります。

②競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。SaaSにとっては、同じSaaSの競合の他、買い切りソフトウェアや代替サービスも競合となるので注意が必要です。

③コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。SaaSにとっては、開発コストの他、カスタマーサクセスのコストを検討する必要があります。

これらの要素は、絶えずおこなわれる機能アップデートや、大型ファイナンスによる積極的なマーケティング、組織拡大などから日々変化します。理想は四半期に一度、少なくとも半期に一度は、価格改定をするべきです。米国では約40%のSaaSスタートアップが少なくとも半期毎に価格を見直しているというデータもあります。

社内で画一化された分析手法を確立し、迅速な意思決定ができる体制を構築する必要があるでしょう。それには、プライシング分析の専任者を採用するか、プライシングの分析ツールを導入するのが最も効果的です。実際のところ、国内スタートアップでは、まだまだ価格分析におけるアプローチが浸透していないのが現状で、専任者の採用は困難を極めます。費用的にも圧倒的にお得なPricing Sprintなどのプライシングの分析ツールが最も手軽なアプローチといえるでしょう。

戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、こちらをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。

皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。

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アクセス解析ツール業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

この記事では、アクセス解析ツール業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。


プライシングスプリント

アクセス解析ツールとは

アクセス解析ツールとは、Webサイトを訪れるユーザーの経路やページの閲覧数を分析し、Webサイトの改善に役立てることができるサポートツールです。サイトへのアクセスデータや、サイト内での行動データを解析し、訪れるユーザーの属性や、興味を持たれるコンテンツ、ユーザーの離脱タイミングなどを把握できます。アクセス解析ツールは、ユーザーの行動解析から、ページごとのアクセス情報の解析など、サービスによってさまざまな機能を持ちます。

機能 概要
訪問者分析 Webサイトの訪問者の属性を分析
トラフィック分析 訪問者がどのように流入したかを分析
行動分析 訪問者がWEBサイトでどのように行動したかを分析

アクセス解析ツールの価格・料金体系の概要

アクセス解析ツールは、月額課金が一般的で、主に「単一価格モデル」「複数パッケージ価格モデル」「アクセス数に応じた従量課金モデル」といった3つの価格体系が設定されています。また、アクセス解析ツールはほとんどのサービスでフリーミアムが設定されています。

一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、アクセス解析ツール業界では一般的ではありません。有料のアクセス解析ツールと似た料金体系を採用している業界としては、BIツール、採用管理システムなどもあげられます。

アクセス解析ツールの価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用
Googleアナリティクス 0円 フリーミアム
アクセス解析研究所 0円 フリーミアム
FC2アクセス解析 0円 フリーミアム(※1)
忍者アクセス解析 315円 単一価格
フリーミアム
1,290円
ptengine 14,800円(※2) 複数価格
フリーミアム
SiteTracker 414,000円(※2) 複数価格
i2i.jp PC:1PV=0.001円
SP:1PV=0.005円
従量課金制
フリーミアム

(調査日:2021年4月23日)

※1:広告表示の必要あり
※2:アクセス数の上限により、プランが区分される

一部サービスに初期費用が設定されている理由

一部のサービスでは設定費として初期費用を設定しています。一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるように設定されています。

アクセス解析ツールでよく使われている価格体系

アクセス解析ツールでは、アクセス数に応じた「従量課金モデル」「複数パッケージ価格モデル」、さらには完全無料で利用できる「フリーミアム」など、多種多様な価格体系が採用されています。

フリーミアムモデルの概要

フリーミアムとは、無料プランと有料プランの2つの段階に分類し、運用する価格体系です。顧客は、基本的な機能を無料で利用できますが、機能や容量などを追加して利用する際に課金が必要になります。フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用できることから、導入ハードルを大きく下げられます。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにすることが可能です。

フリーミアムモデルの考察

アクセス解析ツール業界ではサービス数(競合)が多く、かつGoogle社の提供するGoogleアナリティクスという無料の高機能ツールが高いシェアを誇っています。そこで、後発のツールではまずフリーミアムモデルを採用し、ユーザー数の増加を目指すことを優先していると考えられます。

従量課金モデルの概要

従量課金モデルは、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすくなります。

また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。ユーザー課金モデルやアクティブユーザー課金モデルも、従量課金制の1つです。

従量課金モデルの考察

Webサイトはアクセス数に応じてつまり、PV数が大きいサイトを持っていればいるほどサービス価値は増大し、支払意欲は増加します。アクセス解析ツールでも、利用するサイトのPV数に合わせて従量課金モデルを設定していると考えられます。

複数パッケージ価格モデルの概要

複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。

また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取れることから、利益を増加させられます。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるよう注意が必要です。

複数パッケージ価格モデルの考察

提供する顧客のサイトのPVによりサービスに対する支払意欲(または支払可能額)が向上する場合、従量課金モデルだけでなく、複数パッケージ価格モデルも相性がいいです。

従量課金モデルの場合、事前に利用料を把握することが不可能なため、前払いによる資金回収ができません。これにより、キャッシュフローの悪化や、資金回収コストが積み上がることになります。一方、利用セグメント毎(10万PV以上のサイトと、それ以下のサイトなど)にある程度導入効果が均一化されるようであれば、利用セグメント毎の支払意欲(または支払可能額)に合わせた複数パッケージ価格モデルの設定をすることで、それをその課題を解決できます。

プライスハックが推奨する価格体系

アクセス解析ツール業界で初期費用の設定は通例的ではありませんし、無料で利用でき、かつ機能が豊富な圧倒的にシェアの高いツール「Googleアナリティクス」が存在します。初期費用があることで、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりは月額料金を値上げすることを推奨します。

有料で提供しているアクセス解析ツールは、フリーミアムが推奨されます。業界最大手のGoogle Analyticsが完全に無料で利用できるため、Google Analyticsとの違いや価値を、顧客に知ってもらう必要があります。フリーミアムは最も有効的な手段といえるでしょう。

フリーミアムから有料にプランに切り替えるタイミングで、従量課金モデルか複数パッケージ価格モデルを設定するのが最も好ましいでしょう。アクセス数に最も顧客は価値が感じやすいため、アクセス数に比例した料金プランの相性が最もいいためです。

プライシングを適正化するためには

ここまで、アクセス解析ツールに最適な価格体系について考察してきました。最適なプライシングは、大きく3つの要素から決まります。

①顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか(ある機能、ユーザー体験、外部ツール連携など)、顧客セグメント(SMB、エンタープライズなど)によって支払意欲は大きく変わります。どんな顧客の課題を解決するために生まれたプロダクトか、現在の顧客はどのような属性かといった内容をプライシングに反映させる必要があります。

②競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。SaaSにとっては、同じSaaSの競合の他、買い切りソフトウェアや代替サービスも競合となるので注意が必要です。

③コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。SaaSにとっては、開発コストの他、カスタマーサクセスのコストを検討する必要があります。

これらの要素は、絶えず行われる機能アップデートや、大型ファイナンスによる積極的なマーケティング、組織拡大などから日々変化します。理想は四半期に一度、少なくとも半期に一度は、価格改定をするべきです。米国では約40%のSaaSスタートアップが少なくとも半期毎に価格を見直しているというデータもあります。

社内で画一化された分析手法を確立し、迅速な意思決定ができる体制を構築する必要があるでしょう。それには、プライシング分析の専任者を採用するか、プライシングの分析ツールを導入するのが最も効果的です。実際のところ、国内スタートアップでは、まだまだ価格分析におけるアプローチが浸透していないのが現状で、専任者の採用は困難を極めます。費用的にも圧倒的にお得なPricing Sprint(LPのハイパーリンク)などのプライシングの分析ツールが最も手軽なアプローチといえるでしょう。

戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、無料ホワイトペーパーをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。

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eラーニング業界(LMS)の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

この記事では、eラーニング業界(LMS)における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。


プライシングスプリント

eラーニング業界とは

eラーニングとは、主にインターネットを利用して学習を可能にするサービスの総称です。
eラーニングのサービス体系は、サービス提供社が用意した教材を配信する「講座配信サービス」、ユーザーが教材を作成・配信する「LMS(Learning Management System)」と呼ばれる学習管理システムに大別されます。

この記事では、LMS(Learning Management System)の価格体系についてご案内します。

LMSとは企業や学校が、指定した受講者だけに指定した講座を受講できるようにするため教材と受講者を一元管理し、「各受講者の学習進捗の管理」「どの受講者がどの講座を受講できるか」などの学習管理を可能にするシステムです。

機能 概要
教材の管理・配信 教材やテストを管理・配信を一元化
学習者情報の管理 学習者の情報や学習履歴の一元管理

eラーニング業界の市場規模

市場規模は年々右肩上がりで成長を続けており、新型コロナウイルス感染症の対策として集団学習からオンラインでの学習機会への転換が加速しており、今後も大きく成長する業界と考えられています。

LMSの価格・料金体系の概要

採用管理システムは、主に月額制のサブスクリプションモデルが利用され、利用料金を設定しています。月額料金では「ユーザーごとの従量課金制」「複数パッケージ価格」「ユーザーごとの従量課金制×複数パッケージ価格」が採用されています。

また、初期費用を設定している場合がありますが、LMSの中では一般的ではありません。

無料でサービスを試用できる体系として、ほとんどのサービスで無料トライアルが設定されており、AirCoursesではユーザー数に応じたボリュームディスカウントを行っています。

LMSと似た料金体系をとっているサービスとしてCRMなどがあげられます。ユーザーである学習者が増えるほど料金が発生するため、売上を作りやすいこの料金体系が設定されています。

LMSの価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
スマートスタディ 100円 従量課金 5,000円/1ユーザー
Smart Boardng 980円 従量課金
LearnO 4,900円 複数価格
Cloud Campus 70,000円〜 複数価格 100,000円
Aircouse 120円 従量課金×複数価格
フリーミアム

(調査日:2020年12月16日)

フリーミアムと無料トライアル

LMSでは、主に2週間から1ヶ月ほどシステムを利用できる無料トライアルが設定されています。AirCoursesでは作成できる講座数や学習できる期間を制限するかたちでフリーミアムを設定しています。

月額料金を支払うことで可能なこと

利用ユーザー数に沿って、月額料金を支払い始めることで、顧客は教材の配信が可能になり、学習者は講座を受講することが可能になります。

ボリュームディスカウントのタイプ

LMSではボリュームディスカウントは一般的ではありませんが、AirCoursesではユーザー数に応じたボリュームディスカウントを行っています。

初期費用が設定されている理由

初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。

LMSの価格体系に関する考察

初期費用は非推奨

LMSでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金を値上げすることを推奨します。

フリーミアムを推奨

フリーミアムはリード獲得の他に、サービス価値を感じるまで利用して有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。

ただし、トライアル運用であっても、顧客ごとのカスタマイズや事業者の設定が必要になる場合は、企業側の負担が大きいためフリーミアムの運用は推奨されません。

月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨

LMSは1つの顧客に対して多くの学習者が利用するシステムです。そのため、顧客の規模に見合った収益をあげられるため、ユーザーが増えるごとの従量課金が推奨されます。

ユーザー数に応じたボリュームディスカウントは適切です

AirCoursesが設定している、ユーザー数が増えることで割安になるボリュームディスカウントは、事業者の収益性を向上する適切なボリュームディスカウントであり、顧客もサービスの価値を感じやすい点に応じた適切なボリュームディスカウントです。

プライシングを適正化するためには

これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。

プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。

以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。

まとめ

今回はeラーニング業界のLMSの価格体系について紹介しました。
月額料金は「ユーザーごとの従量課金制」「複数パッケージモデル」「ユーザーごとの従量課金制×複数パッケージモデル」が設定されています。
一部のサービスでは初期費用が設定されています。また、無料でサービスを試用できる体系としては主に無料トライアルが設定されおり、一部のサービスではフリーミアムが設定されています。

また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。

  • 初期費用は設定せずその他の料金に反映
  • 月額料金はユーザーごとの従量課金制を設定
  • フリーミアムを設定

価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライスハックにお問い合わせください。

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コラム

価格の心理テクニック③(閾値、端数価格)

990円や1,980円という、キリの良い数字からあえて少し差し引いた価格を目にしたことがあるのではないでしょうか。

実はこれは、価格の「閾値」が意識されているのです。「閾値」とは、価格にはこれ以上値上げしたら顧客が離れ、売上が大きく変化する境界線のことを言います。価格戦略を立てる際に、閾値の原理について知っておくことはとても重要なのです。

この記事では、この理論を活用したプライシングのノウハウについて、実際の事例を交えながら解説します。


プライシングスプリント

閾値とは

冒頭でもお話ししましたが、価格の閾値とは、それを超えると常に売上に顕著な変化が生じる境界線のことです。通常100円、500円、1,000円、10,000円というキリのいい価格ポイントの近くで起こる傾向にあるようです。

こうした価格から少し差し引いて、末尾を8や9にする端数価格が多いのもそのためだと言えます。

たった数円の価格改定でも、閾値を超えると大幅に売上が変化するため、売り手にとって、価格の閾値を知ることはとても重要だと言えます。

参考:端数価格とは

端数価格とは閾値を利用した価格戦略の一つで、198円や980円のように端数をつけて消費者に安さを印象づける価格のことを指します。

日本では「8」を端数とすることが多いですが、欧米では1.99ドルや199ドルのように「9」を端数とすることが多いです。スーパーマーケットなどの小売業で多く見られ、比較的低価格の商品に設定されます。

端数価格の歴史として最も有力な説は、顧客は価格を左から右に読むため、それに伴って数字の注意が薄れていくために生まれたというものです。

人間は最初に見た数字が最も印象に残るため、一番左の数字を小さくすると顧客の購買意欲が上がるという原理があります。

閾値の価格戦略

値上げ時、値下げ時の両方で閾値を理解しておくことは重要です。

まず売り手が値下げを行う際は、閾値を超えるまで価格を下げないと効果が出にくいです。そのため、端数価格のように閾値を超えるまで価格を下げる手法が有効だと言えます。

逆に売り手が値上げをする場合は、価格が閾値を超えない必要があります。価格の閾値を超えてしまうと、売り上げの急落を招く恐れがあるため、その一歩手前で止める手法が有効だと言えます。特に、売り切り型ビジネスと違って、サブスクリプションビジネスの場合、一度顧客が離れた場合、売上の回復には非常に時間がかかります。閾値を超えたことで離脱した顧客は、価格を戻しても戻ってこない場合が多いためです。

注意点

閾値の特定には、PSM分析などを応用したマーケットリサーチが必要で、数百万円の調査費用がかかります。そこで、値上げを避ける意思決定も選択肢の一つでしょう。そこで、パッケージのサイズを変更して価格の閾値を超えないようにする手法が存在しますが、注意が必要です。

カルビーのポテトチップスや、ハーゲンダッツのミニカップのように、同じ価格でも内容量が減らすことで利益を増やすことができます。これは価格が同じである限り、顧客は新しいパッケージが、以前のものよりわずかに個数や量が減っていたとしても気づかない、という心理に基づいているものです。しかし商品の質を下げることには大きなリスクが伴います。それは「顧客が商品に感じる価値(知覚価値)を下げてしまう可能性がある」ことです。知覚価値を下げてしまうとそれ以降の値上げは難しく、長期的な増収が見込めなくなってしまうのです。

そこで顧客が感じる価値を上げながら、閾値のギリギリまで値上げをしていくことで増収するという手法が近年注目されています。プライスハック編集部の調査によると、ネットフリックスの近年の価格改定はこの戦略が採用されていると考えられます。詳しくは以下をご覧ください。

まとめ

今回の記事では「閾値」という大きく売り上げが変化する境界線について解説しました。

この考え方を利用して価格改定を行う際には、ユーザー数を維持できる範囲内で売上を最大にできる価格を理解しておく必要があります。

プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

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サブスクリプション

リカーリングとは|サブスクリプションとの違い・メリット・デメリット

近年、従来の売り切り型モデル(1度きりの単発購入)とは違うビジネスモデルが流行しています。そのうちの1つが、「リカーリング」です。

この記事では、リカーリングとはなにか、サブスクリプションとの違い、メリット・デメリットを解説します。

リカーリングとは

リカーリングとは、英語で「繰り返す」という意味で、繰り返し継続した収益を目的とし、定期的に顧客に利用料金を請求できるシステムです。

定期的に顧客は支払いをするため、企業にとっては安定的な収益を得られます。

リカーリングとサブスクリプションの違い

リカーリングは継続的な収益があげられるシステムであるため、サブスクリプションはリカーリングの一種です。他にも毎月や毎年の利用量に応じた従量課金制の支払いを定期的におこなうものもリカーリングになります。

一般的に「サブスクリプション=定額制」「リカーリング=従量課金制」と区別されることがありますが、この考え方は間違いです。

リカーリングの代表的な事例

定額制ではないリカーリングの例として、電気代などの公共料金があげられます。電気代の支払いは、毎月電気を使用した量に応じた料金を電気会社に支払います。

リカーリングのメリット

リカーリングのメリットとしては、顧客に継続的な支払いを促すため、収益が安定することがあげられます。

継続的な収益の安定化は、将来得ることができる利益を予測でき、事業に対してより有意義な投資をおこなうことが可能です。

顧客にとってもリカーリングは、自動的に金額が引き落とされるという手軽な請求システムのもとでサービスを利用することができるのがメリットです。毎月支払ったかどうかについて不安になったり、記憶を辿ったりする必要がなくなることは、顧客側の精神的ストレスを軽減させることにつながります。

リカーリングのデメリット

リカーリングのデメリットは、顧客に請求するためのシステムを構築する難しさがあげられます。定期的な支払い請求の管理は、1回限りの製造・販売商品においての請求よりも複雑です。

顧客によって請求サイクルや金額の支払い方法、契約期間などが異なるため、顧客それぞれの情報を管理するためのツールやプロセスを構築することが求められます。また、請求方法が複雑になるにあたって、顧客に対する請求エラーが起こる可能性も考えられます。

まとめ

リカーリングとは、繰り返し継続した収益を目的とし、定期的に顧客に利用料金を請求できるシステムです。定期的に顧客は支払いをするため、企業にとっては安定的な収益を得られます。

定期的な収益をあげられる点で、サブスクリプションはリカーリングの1種です。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせ・相談してください。

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コラム

WTP(Willingness To Pay・支払意欲)とは|重要性・影響する要因・把握する方法

WTP(Willingness to Pay)とは支払意欲・支払意思額のことです。

価格戦略を検討する際に、よく出てくる言葉ですが、複数の意味があるためどういった意味で使われる言葉なのか、またなぜWTPを考えることが重要なのかを、ご紹介します。


プライシングスプリント

WTP(支払意欲)とは

WTPとは、「Willingness to Pay」の略で、顧客が製品・サービスに対して支払いたいと思う最大の金額のことを指します。日本語では、支払意欲・支払意思額と呼ばれることもあります。

製品・サービスを販売するビジネスではより良い価格設定のためにWTPの概念が用いられています。また、経済学では環境など実際に価格がついていないが便益金額を計算する必要がある場合にWTPを用いることがあります。

WTPはビジネス側面と、経済側面で使われ方や扱いが異なるので、本記事ではビジネス側面のWTPについて解説します。

WTPの重要性

 

ビジネスでは、潜在顧客の支払意欲は大切です。潜在的な事業価値を収益可能性から考えると、「WTP(支払意欲) – コスト」と考えることができるでしょう。事業者側は、事業価値を上げるために、コストを低くできるようにオペレーションを最適化するか、WTP(支払意欲)を上げるために製品・サービス価値を上げるための投資をする選択肢があります。

実際に企業で行われている価格決定では大抵の場合、顧客が購入してくれる価格かつ自社の利益が出る価格を選択しますが、これはWTPとコストの間の任意の価格を決定していることになります。WTPは顧客ごとに違うため、選択した価格に対して、許容する人数(支払意欲が価格より高い)が多ければ購買者が相対的に増えることが想定されますし、許容する人数(支払意欲が価格より高い)が少なければ購買者が相対的に減ることが想定されます。

顧客獲得観点では、許容する人数(支払意欲が価格より高い)が多い金額を選ぶことが大切になります。

また利益観点では、WTPに近づけば近づくほど利益が増えるため、いかにWTPに近い価格を設定するかの観点が重要になります。

このように価格決定で重要なWTPですが、コストは自社内で算出することができる一方、WTPに関しては顧客調査を行わなければ把握することができないため、顧客調査を実施せずに価格決定をされている企業が多いという現状があります。

WTPに影響を与えるもの

WTPに影響を与えるものは、現在の市場環境から顧客の個人的な好みまでさまざまな要因があります。

経済状況

経済状況に応じて顧客のWTP・支払意欲は変化します。好景気の場合は増加傾向にありますが、一方不況の場合は減少します。価格設定をする場合、一般的な市場の変化に注意しなければなりません。

季節性や流行

季節性の高い商品・サービスの場合、WTPは時々により変化します。季節性による変動は、毎年のものであるため、過去にどのように変化しているかを把握することで、事前の予測が可能です。

ただし、流行はかなり多様であり、流動性の高いものであるため、追うことは非常に困難です。流行は産業・分野によって固有なものであるため、変化が起こったときに常にそれを把握することが重要です。

顧客の金銭感覚

すべての顧客が生まれ育った環境・生活する居住区などの違いにより様々な金銭感覚を持っています。これらの全てを把握することは不可能ですが、業界ごとに顧客に対してどのような影響があるかを調べることは可能です。

例えば、年収の高い顧客はWTPが高く、価格が高くても便利なものに対して好意的に感じる可能性があります。都内の年収の高い人が、地下鉄などの公共機関での移動よりタクシーでの移動を好むことなども一例としてあげられます。

これらの傾向をデータ化し、WTPをセグメントにわけると、より適切な価格帯を作成することができます。

顧客の状況的なニーズ

顧客が価格について個人的な感情を持っているように、個々の状況もWTPに直接的な影響を及ぼします。顧客の状況も場所・目標・役職など様々ですが、その時々によってニーズは変化します。

商品・サービスの品質

品質に対する顧客の認識は、WTPに直接影響を及ぼします。品質が高ければ高いほど、支払意欲も高まります。

商品・サービスの希少性

希少性の高いものは、それだけで価値のあるものになり、顧客のWTPにも影響します。

希少性を武器に顧客の支払意欲・商品価値・価格をあげることは可能ですが、高すぎると一部の顧客にとっては購入不可能のものになってしまいます。

そのため、事業としてのターゲットを明確にして価格設定することが大切になります。

WTPを把握する方法

支払意欲を把握するためには、直接買いたい金額を尋ねる直接質問法や、間接的な質問を行うことで交渉バイアスを抑えて支払意欲を測るPSM分析という手法があります。

実際に調査を行う際は、どちらの手法を用いるにしても、支払意欲調査の目的(価格改定、新商品開発等)を明確にして、調査を行うことが大切です。

PSM分析についてはこちらの記事を参照してください。

まとめ

WTP(Willingness to Pay、支払意欲)とは、顧客が製品・サービスに対して支払いたいと思う最大の金額です。

製品・サービスを販売するのに最適な価格を見つける際に、売り手・買い手の両方にとって、WTPは重要な要素となります。

価格・プライシングに関するお悩みがある事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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コラム

価格感応度(Price Sensitivity)とは?把握することが重要な理由

顧客の購買行動に対して価格がどのように影響しているかを定量化した価格感応度とは何か・価格感応度を把握することが重要な理由・測定方法を解説します。


プライシングスプリント

価格感応度とは

価格感応度は、「Price Sensitivity」の日本語訳であり、顧客の購買行動に対して価格がどのように影響しているかを数値化する尺度のことです。製品の価格感応度を把握することにより、収益を最大化する価格帯と、価格変更が販売数に与える影響を明らかにできます。

なぜ価格感応度が重要なのか

価格感応度は、顧客の支払意欲を明確にし、製品が生み出している価値を定量化することができます。価格感応度を知ることで、価格変更を実施するときに価格を最適化することや、製品開発・改善にあたり顧客に価値のあるモノを作り出すことが可能です。この価格感応度を知らなければ、本当に製品開発・改善が顧客にとって価値のあるものなのかを知ることはできません。

価格感応度の測定方法

価格感応度の測定をするためには、ターゲット市場と顧客をしっかりと把握しなければいけません。顧客は、製品の価値に対してそれぞれが違う認識で捉えています。つまり、各顧客毎に価格感応度は異なります。例えば、ある顧客が「この価格なら払ってもいい」と渋々支払いをしているのに対して、ある顧客は「この価格なのはお得すぎる」といったように、価格に対しての感じ方は人それぞれです。

そのため、収集するデータは市場全体で収集するのではなく、自社の顧客を対象に収集しなければ、正確な価格感応度を把握することはできません。顧客の価格感応度を知ることは、販売量に対しての価格上昇の影響を予測し、最適な価格を知ることが可能です。

また、価格感応度を知るためには、顧客に単に「製品Aに対していくら支払うか」だけを聞くだけでなく、以下の4段階の質問をしなければいけません。

・製品の価格が高すぎて、購入の検討をしない価格
・製品の価格が安すぎて、品質に疑いを感じる価格
・高いと感じ始める価格
・安いと感じ始める価格

最初の2つの質問は、回答者に許容可能な価格範囲を固定するのに役に立ち、次の2つの質問は、最適な価格帯を狭めるのに役に立ちます。統計的に優位な数の回答数を得られたら、回答をグラフ化して、より具体的な最適価格を設定することができます。

詳しくはPSM分析(価格感応度分析)として紹介しているので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

価格感応度(Price Sensitivity)とは、顧客の購買行動に対して価格がどのように影響しているかを数値化する尺度のことです。製品の価格感応度を定量的に把握することで、収益最大化や販売数増加に繋げられます。

価格戦略・プライシングについてお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせ・相談してください。