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需要の価格弾力性とは|求め方・計算方法・活用方法

この記事では、需要の価格弾力性について、計算方法から、価格を設定する際の活用方法を紹介します。


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需要の価格弾力性とは

需要の価格弾力性(Price elasticity of demand、PED)とは、価格の変化に対して需要量が変化する程度を経済的に測定したものです。価格や量の単位に影響されず、価格が1%変化したとき、需要量が何%変化するかを示せます。

需要の価格弾力性の計算方法

需要の価格弾力性(PED)= – 需要量の変化率(%)/価格の変化率(%)

需要の価格弾力性は、一般的に需要と価格には負の関係があるので、あらかじめマイナス符号がついた以上の式であらわせます。

|PED|>1:弾力的、価格が上昇(下落)したときに収入が減少(増加)する。
|PED|=1:弾力性1、価格が上昇(下落)しても収入は一定。
|PED|<1:非弾力的、価格が上昇(下落)したときに収入が増加(減少)する。

需要の価格弾力性の絶対値が1よりも大きい場合、弾力的といい、価格が上昇(下落)したときに収入が減少(増加)します。このような、価格の変化に需要が敏感なものは、贅沢品に多いです。

一方、需要の価格弾力性の絶対値が1未満の場合、非弾力的といい、価格が上昇(下落)したときに収入が増加(減少)します。このような、価格が変化してもあまり需要量が変化しないものは、必需品に多いです。

需要の価格弾力性の活用方法

もし、需要の価格弾力性を出せたとしても、活用方法がわからなければ、算出しても意味はありません。実際に企業が価格変更をする際に、需要の価格弾力性を活用できます。

価格設定時に考慮する

需要の価格弾力性だけでは価格決定はできませんが、考慮する際に使えます。

スキミングプライシングのような、市場投入時に高価な価格を設定して徐々に価格を下げていく場合は、需要の価格弾力性が低い場合に有効です。

ペネトレーションプライシングのような、市場投入時に低価格を設定し、早期に市場占有を行う場合は、消費者が価格に敏感な価格弾力性が高い方が有効です。

値下げ・割引戦略をとる際に活用できる

値下げ・割引政策をとる際に、需要の価格弾力性の絶対値が1より大きい商品・サービスは効果的です。一方、需要の価格弾力性の絶対値が1より小さい商品・サービスは効果が薄いと捉えられます。

まとめ

需要の価格弾力性とは、価格の変化に対して需要量が変化する程度を経済的に示したものです。需要の価格弾力性を知ることで、価格設定時や値下げ・割引戦略をとる際に活用できます。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は一度、プライスハックにお問い合わせください。

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抱き合わせ価格とは|セット(バンドル)販売・まとめ買いを誘うプライシング戦略

企業が複数の異なる商品・サービスを1つのパッケージにし、1つの価格で販売する、抱き合わせ価格(セット価格)について解説します。


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抱き合わせ価格とは

抱き合わせ価格とは、企業が複数の異なる商品・サービスを1つのパッケージにし、1つの価格で販売する戦略です。抱き合わせ価格は、セット価格・バンドル価格などとも呼ばれます。

抱き合わせ価格で販売されるものは、通常、個別に購入した場合よりも低価格で販売されます。セットのものは個別に見ると割引価格で販売されていますが、この戦略を取ることで、顧客単価と顧客のエンゲージメントを向上させられます。

抱き合わせ価格の一般的な事例

抱き合わせ価格は、多くの業界で使用されており、顧客に企業が価値があるとわかっている追加の商品やサービスを購入するように促します。

抱き合わせ価格の例
・ファストフードハンバーガー店のハンバーガー・ポテトセット
・宿泊費・交通費が一緒になった旅行プラン
・Microsoft Office365やAdobe CCなどのソフトウェア

抱き合わせ価格のメリット

抱き合わせ価格は、次のようなメリットがあげられます。

購入体験を簡素化する

顧客は目的達成のために商品やサービズを購入していますが、課題が潜在的である場合、特定のものを購入するというのが困難である場合があります。その場合、企業があらかじめ顧客ニーズと合致するであろうものを抱き合わせとして販売しておくことで、顧客の購入の決定を簡素化することが可能です。

売上が向上する

抱き合わせ価格は、売上・利益率を高めるために有効な手段です。セット販売を促すことで、本来顧客が購入する予定のなかったものが売りやすくなるため、顧客単価が向上します。ただし、抱き合わせ価格にした場合、個別で購入するよりも、顧客が「お得である」と感じる価格にしなければいけません。

顧客エンゲージメントが向上する

抱き合わせ価格では、1つの会社からより多くの商品・サービスを購入するため顧客エンゲージメントを高めるのに役に立ちます。

抱き合わせ価格のデメリット

抱き合わせ価格は、注意しなければ、顧客にとってあまり役に立たない商品やサービスを抱き合わせしてしまい、価値を低下させている可能性があります。

デメリットとして次のことがあげられます。

価格設定が難しい

抱き合わせ価格は、企業にとっては売上・利益率の向上を目的とし、顧客にとってはお得であると感じる見せ方をしなければいけないため、価格設定が難しいです。

顧客は個別に購入することを好むかもしれない

顧客の中には、個別で購入することを望む人もいます。すべての商品・サービスをセットにしてしまうと、選択要素がなくなってしまいます。抱き合わせ販売が、顧客にもどのように付加価値を提供するかを検討しなければいけません。

顧客は抱き合わせのすべてを必要としない場合がある

実際の顧客ニーズを満たしていることを常に確認することが重要です。抱き合わせで販売されている特定のものを必要としない顧客は、不必要にお金を払っているように感じてしまいます。その場合、購入の検討をしてくれない場合があるので、注意しなければいけません。

まとめ

抱き合わせ価格とは、企業が複数の異なる商品・サービスを1つのパッケージにし、1つの価格で販売する、いわゆるセット販売で提供される価格です。

抱き合わせ価格は、顧客にとって価値のある追加の商品やサービスを購入するように促すため、多くの業界で使用されています。

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名声価格(威光価格)とは|メリット・デメリット・代表例

顧客に対して高品質であることを示す価格戦略である、名声価格(威光価格)についてメリット・デメリット・代表例を紹介します。


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名声価格(威光価格)とは

名声価格(威光価格)とは、顧客に対して高品質な商品・サービスであることを示すために価格を高く設定する価格戦略です。

英語では、Prestige pricing(プレスティージ価格)、Premium pricing(プレミアム価格)、Image pricing(イメージ価格)などとも言われています。

名声価格は、商品を所有・サービスを享受することがステータスとなるような高級ブランドで有効です。

この価格戦略を使用している代表的な企業として、スニーカーをプレ値で販売するNIKE(ナイキ)などがあげられます。

名声価格(威光価格)を機能させるためには

理論上顧客は、自分が正しいと思うイメージ・価値に対して支払いをするため、その商品・サービスの本当の価値が価格と見合っているかを判断することはありません。

ブランドという価値は、製品の性質とは全くの無関係です。そのため、名声価格のものは、製品自体にその価値が含まれていることを顧客に説得するのではなく、顧客に心理的に価値があるものであると思わせるマーケティングをしなければいけません。

名声価格(威光価格)のメリット

名声価格(威光価格)は正しく実行できれば、利益率の向上と企業に対する認識の向上というメリットがあげられます。

また、業界への参入障壁を高める可能性があります。他の会社は、名声価格で設定された製品と同等の製品品質と価格にしなければ、競争することが難しいです。そのため、名声価格が浸透すれば、市場での優位性を迅速に定着させられます。

名声価格(威光価格)のデメリット

名声価格を成功させるためには、通常の場合の商品・サービスの価格よりも高いことを証明するため、独自のセールスポイントがなければいけません。独自の正当化のため、製品開発コストが高くなる可能性があるというデメリットがあげられます。

また、希少価値などで消費者に心理的な価値を見出し、値段をあげているため、マスマーケットでの販売を制限します。

同等の商品・サービスが競合会社からより安く販売されるようになると、高価格であるものは不利を被ります。

名声価格(威光価格)の代表例

名声価格を利用している商品・サービスの代表例を紹介します。

NIKE(ナイキ)

(出典:DIOR

NIKE(ナイキ)のエアフォース・エアジョーダンなどの高値のスニーカーも名声価格です。
有名人・有名企業とのコラボ、流通量の少なさ、デザイン性の高さなどの理由から、高値でもかなり人気のあるスニーカーとして販売されています。

靴の機能という点では、通常のものと製品価値が変わるわけではありません。

レクサス

トヨタ社が販売するレクサスブランドも名声価格です。車の機能としては、通常のトヨタ車とレクサスでは、代わりはありません。そのため、車の部品などは同等のものが使われていると考えられます。

しかし、レクサスとトヨタの車では同じ見た目の車体のものでも、約200万円の違いが見られます。
名声価格 レクサスレクサスIS200tFスポーツ(520万4000円)とマークX 250RDS(343万4400円)
出典:ベストカーWeb

まとめ

名声価格(威光価格)とは、顧客に対して高品質であることを示すために価格を高く設定する価格戦略です。商品を所有・サービスを享受することがステータスとなるような高級ブランドで有効です。

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略奪的価格設定とは|仕組み・影響・独占禁止法による規制

この記事では、市場優位性を確立するために利用される略奪的価格設定とは何か・仕組み・合法性などについて解説します。略奪的価格設定は、独占禁止法に違反する可能性のある価格設定で、健全な市場形成の妨げになるため、実際の利用は推奨しません。


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略奪的価格設定とは

略奪的価格設定(Predatory pricing)とは、原価を下回る価格設定にし、他の企業を市場から排除することで不公平な市場優位性を確立し、競合が市場から排除された後に価格を上げ、市場独占を図る価格設定です。

略奪的価格設定を行う企業は初期段階では損失を被りますが、最終的には競合他社を市場から排除できるため、長期間にわたる市場支配力を独占した上で利益を得られます。

略奪的価格設定の仕組み

略奪的価格設定による初期段階での損失をカバーできる企業は、長期的に市場優位性を獲得できるため、経営者や投資家はこの損失を短期的な負担とし、いとわないかもしれません。ただし、ビジネスの将来のキャッシュフローが健全である場合に限ります。

またこの価格戦略では、通常の競争市場が消費者と企業の需給の関係による妥当な価格設定にはなり得ません。

多くの点で略奪的価格設定は、短期的にのみ使用できる反競争的な価格設定と考えられます。

略奪的価格設定は合法か

略奪的価格設定は、独占禁止法の中で禁止されている不当廉売と考えられ、違法になる場合があります。

ただ下関市立大学の佐藤教授の論文、『低価格設定に対する独占禁止法による規制の意義と限界』によると、「不当廉売により弊害のあるケース(略奪的価格設定)とたとえ平均可変費用以下の価格設定でも合理性を伴ったケース(競争的廉価設定)があり、産業組織論の観点からみて、この両者は峻別されなければならないことを指摘する。」とあり、低い価格設定が不当廉売と見なされるか否かで違法性が問われます。

略奪的価格設定が与える影響

略奪的価格設定は、短期的にはプラスの影響をもたらすものの、最終的には市場の状態に深刻な悪影響を及ぼします。

短期的な影響

略奪的価格設定を採用している企業は、初期段階では多くの損失を伴いますが、低価格戦略により市場優位性を得られれば、高い利益を上げられます。

長期的な影響

略奪的価格設定は独占状態を形成した後に、初期損失を補うために価格が急騰する可能性があります。このような状況下では、品質を保つための競争相手がいないため、顧客は低品質・高価格の商品を買わなければいけない状態になり得ます。

まとめ

積極的な市場競争はしばしば、イノベーションを刺激し、高品質の製品を生むことや顧客ニーズに沿った価格で販売できるなどの利点があります。もちろん、競合他社に勝つということはビジネス観点からも重要です。

しかし、略奪的価格設定は、最終的に競合他社を排除し、顧客の選択権を奪った上、独占禁止法で取り締まれる可能性がある危険な価格設定なため、推奨できません。

健全なマーケティング範囲で競合優位性を作る戦略としては、市場参入時に低価格にし、市場シェアを拡大させる価格戦略にはペネトレーションプライシングというものがあります。

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デシル分析とは|顧客分析に使用される手順・RFM分析との違い

顧客分析に使用されるデシル分析について、デシル分析とは何か、メリット、手順を紹介します。


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デシル分析とは

デシル分析とは、顧客分析をする際に使用され、すべての顧客の購買金額を10等分し、各グループの購入比率や売上構成比を分析することです。購入比率や売上構成比を知ることで、売上に貢献している顧客層がわかり、マーケティング活動に関する費用対効果の改善や自社課題の発見できることがあげられます。

「デシル」の語源はラテン語で、「10等分」という意味です。例えば、デシリットル(dL)は、リットルの10分の1の意味で使われています。

デシル分析は、顧客分析の中でも比較的簡単な手法といわれています。

デシル分析のメリット

デシル分析により限られた資源の中で、より費用対効果の高いマーケティングをおこなえます。

例えば、下位グループに対してのみクーポン配布をして、購入金額の向上を図るといった戦略が可能です。

デシル分析とRFM分析の違い

デシル分析と類似する方法に「RFM分析」というものがあります。

RFM分析とは、顧客の最終購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)の3つの指標からデータを読み解く分析です。

デシル分析が、購入金額だけの分析であるのに対し、RFM分析は3つの指標があるため、デシル分析より正確に顧客理解をできます。

デシル分析の手順

デシル分析の手順は次の3ステップです。

1.全顧客の購買データを用意
2.購買データを購入金額の高い順になれば、10等分する
3.各グループの購入比率や売上構成比を算出

以上の作業となるため、非常に簡単に算出できます。

注意点としては、購買データの対象期間を長くしすぎると、現状と異なる可能性が出てきてしまうため、対象期間を事前に絞り込まなければいけません。

まとめ

デシル分析とは、顧客分析をする際に使用される分析手法で、すべての顧客の購買金額を10等分することで、各グループの購入比率や売上構成比を知れます。

メリットとして、他の分析手法よりも比較的に簡単に分析が可能であり、顧客をセグメントごとにわけるはマーケティング活動に関する費用対効果の改善などが見込めることがあげられます。

価格戦略・プライシングについてお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせ・相談してください。

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コンジョイント分析とは|手順・価格分析をするためには

消費者の購入行動への影響度を商品・サービスの構成要素から得点化するコンジョイント分析について解説します。


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コンジョイント分析とは

コンジョイント分析(Conjoint Analysis)とは、商品・サービスの構成要素(価格・機能・デザインなど)を得点化し、消費者の購入行動への影響度を定量的にあらわす分析手法です。

購入行動への影響度という意味で、得点は「効用値(utility score)」と呼ばれます。効用とは経済学の基本概念で、消費者の財やサービスを消費することで得られる満足感・充足感の度合いのことです。

コンジョイント分析をおこなうことで、顧客があなたの企業の商品・サービスのどこに価値を感じて購入しているかを知れます。顧客価値を定量化することで、商品・サービス改善や価格変更の検討に役に立ちます。

コンジョイント分析の手順

コンジョイント分析は、製品全体の評価から、その内訳としての構成要素の得点を決めます。そのため、コンジョイント分析の手順は次のようなものになります。

1.分析の対象とする商品・サービスの構成要素を特定。(価格・機能・デザインなどを要因、要因の具体的な要素内容は水準といわれています。)

2.要因・水準をもとに、複数の商品・サービスプロファイルを作成。(正しい分析結果を得るためにプロファイルの水準の組み合わせに偏りがないように、実験計画法という手法にもとづき作成。)

3.調査対象者にプロファイルを評価してもらう。

4.データをもとに、構成要素の効用値(utility score)を計算。

5.要素の組み替えによる顧客満足度と市場シェアの予測。

コンジョイント分析が全体評価から要素得点を推定する意味

もし、要素を個別に推定してしまうと次のような問題点があげられます。

・要素ごとで購入する機会は現実的ではないため、全体の評価が難しくなる
・測定値の単位とゼロ点が、要素間で同じにならないことがある
・要素が別々に測定されると、予測値を測定する際の相関関係を正確に出せない

よって、コンジョイント分析は、全体評価から要素を得点化しています。

コンジョイント分析により価格を測定する場合の問題点

価格と効用(顧客の満足度)の相関関係が、次のグラフの場合、1番右のグラフになった場合、適正価格(消費者が支払いに対して妥当だと思う価格、支払意思額)を知ることができます。

(出典:「君山由良『コンジョイント分析』」)

このようなグラフになる理由としては、安すぎる商品の場合、消費者は製品に欠陥がある、売れ残りのものである、などといった想定をおこない、評価点を下げる場合があります。

一方、コンジョイント分析では、価格以外の要素が、価格に対してどのような影響を与えているかを測定することが目的であるため、価格が下がれば下がるほど購入傾向は高くなるはずです。(上記のグラフの左2つに該当)

そのため、コンジョイント分析では適正価格を測れません。価格と品質を合致して考える人(安すぎる価格である場合、買わない人)と価格と品質を切り離して考える人(他の条件が同じであるならば、安ければ安いほど買う人)が混在させずに分析することは非常に困難になります。

適正価格を調査したい場合は、PSM分析をおこなう必要があります。

まとめ

コンジョイント分析とは、商品・サービスの構成要素(価格・機能・デザインなど)を、全体評価から個別に得点化し、消費者の購入行動への影響度を定量的にあらわす分析手法です。

コンジョイント分析をおこなうことで、商品・サービスのどの要素に顧客が価値を感じているかを知れます。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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TCV(合計契約金額)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

TCV(Total Contract Value)は合計契約金額のことで、企業が契約の中で支払われる合計額をあらわす指標です。TCVの計算方法や重要な理由について解説します。


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TCV(合計契約金額)とは

TCV(Total Contract Value)は合計契約金額のことで、契約中の全期間に支払われる合計額をあらわす指標です。サービスに契約している顧客からの経常収益に加えて、追加コンサルタント料金や、導入料金などの契約期間中に発生する料金全般が含まれます。

TCV(合計契約金額)の計算方法

TCVの計算方法は、非常に単純です。

TCV=(毎月の経常収益×契約期間の長さ)+その他契約期間内の料金(初期費用、オプション料金など)

ここで重要なポイントは、TCVは予測ではなく、実際の契約から算出されることです。

そのため、平均的な継続率から、長期的に収益を予測するLTVなどの指標よりも、正確な収益の予測ができます。

一方、月毎の更新など契約更新が頻繁な場合、仮に長く利用するユーザーでも契約期間を1ヶ月として計算するように、契約期間を正しく反映しにくいため、活用しにくいです。

また、考慮していない契約更新や価格変動が行われた場合、算出したTCVと実態が離れてしまう場合があります。

TCV計算の例

とあるサービスを利用する顧客Aと顧客Bを用意し、TCV計算の例を示します。

・顧客A:月額5,000円の基本料金で1年間契約
・顧客B:月額5,000円の基本料金で1年間契約。追加のオプション料金で、60,000円の支払いも。

顧客AのTCVは次のように計算されます。
(5,000円×12ヶ月)+ 0円= 60,000円

顧客BのTCVは次のように計算されます。
(5,000円×12ヶ月)+ 60,000円=120,000円

TCV(合計契約金額)の重要性

TCVはサブスクリプションサービスを行う企業にとって、見過ごしてはならない指標です。TCVが重要な理由を4点から紹介します。

正確な収益予測

TCVは、現実の契約をもとに算出します。そのため、予測をもとに算出するLTVと比べても、より実態に沿った数値となります。これにより、組織拡大やマーケティング拡大への間違ったタイミングでの投資を防ぐことが可能です。また、正確な収益予測は投資家を安心させられるでしょう。

収益性の高い顧客の特定

TCVを使用して顧客あたりのTCVを算出すると、高い収益を得られる顧客がどんな属性を持つのかがわかります。それをもとに、収益性の高い見込み顧客を中心に営業に行くことで、収益を増やしてコストを削減可能です。

契約期間の最適化

TCV算出の過程で、顧客ごと、顧客属性ごとの契約期間を見れます。1度の契約で、1ヶ月しか契約しない顧客もいれば、3年間契約する顧客もいます。これらの情報から、顧客層ごとに提案するべき最適な契約期間がわかるため、顧客層ごとの適切な期間での契約提案が可能になり、長期間の契約の成約率を高められます。

マーケティング支出の最適化

算出したTCVをCAC(顧客獲得単価)で割ることで、現状のマーケティングへの投資の効果が測定できます。それにより、投資すべきマーケティングチャネルを判別できます。

TCV(合計契約金額)とACV(年間契約金額)の違い

同じく契約に生まれる金額を計算する指標として、ACV(Anual Contract Value)があげられます。

TCVは契約期間すべてで得られる収益を示しますが、ACVは1年間の間で得られる収益を示します。

ACVは、複数の顧客を比較する際や、企業の成長を知りたい場合により有用です。契約期間を年換算するため、契約期間が異なる企業同士の支払い状況を比較することが可能になります。さらに、新規契約の量が増え続けているのかどうか、その新規契約は本当に質が高いものなのかがわかります。

一方、期間に関係なく、純粋にその顧客から得られる収益を知りたい際は、TCVを測定することが良いでしょう

ACVについて詳しくはこちらの記事をご覧ください

まとめ

TCVは、LTVなどの他の全体収益を表す指標と比べ、より契約状況に忠実に算出できることが特徴です。

TCVを扱えると、収益状況をより正確に見積もれるうえ、顧客の理解を進めて、販売施策を最適化することができます。

他にもSaaSやサブスクリプションにおける用語を知りたい方はこちらの記事を参照してください。

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ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違いとは

企業の収益状況を表す2つの指標、ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違いを解説します。


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ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違い

ARRは、1年間契約した場合に見込める経常収益を表します。ARRを求める際は、ある月の経常収益をもとに、1年間契約した場合の収益を計算することが多いです。ARRを活用すると、企業は、自社の成長を知れるうえ、その年に見込める収益を推定できます。

一方、ACVは契約した顧客から将来的に得られる経常収益の1年分を示します。ACVは、顧客1人ずつに着目し、契約により確定している1年間に得られる収益を求めます。

ARRとACVの算出方法の比較

ARR=MRR(月間経常収益:1ヶ月間の経常収益)×12ヶ月
ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

顧客A:月額5,000円の契約を2年間
顧客B:月額5,000円の契約を2年間+初期費用10,000円(初年度)

<顧客Aの場合>
ARR=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)
ACV=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)

<顧客Bの場合>
ARR=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)
1年目のACV=70,000円(5,000円/月×12ヶ月+10,000円)
2年目のACV=60,000円(5,000円/月×12ヶ月+0円)

ARRとACVの利用タイミングの違い

ARRとACVは、利用すべきタイミングが異なります。

ARRとACVそれぞれの、特に使うべき時について解説します。

ARR:事業の成長を測りたいとき

ARRの利用は、企業の成長率を測りたいときに適しています。ビジネスの収益状況が健全かどうかを検証し、そして企業の目標から逆算して求められる成長速度を計算することができます。

特に、サブスクリプションサービスの場合、得られるARRは価格戦略やビジネスモデルの土台になり得ます。ARRを理解することで、サービスの成長状況が把握可能です。

また、ARRは長期的な計画を立てるのに活用されますが、その月間版であるMRR(Monthly Recurring Revenue)を活用すれば、短期的な計画を立てることもできます。

ACV:契約状況を確認するとき

ACVは企業の契約状況を確認するのに役に立ちます。正確に契約によって得られる収益を計上しているため、自社の契約状況の確認に適しています。

まとめ

ARRとACVは、どちらも1年間の収益を表す指標ですが、現在の経常収益から、年間での経常収益を予測するARRと、契約した金額から年間で得られる収益を求めるACVは異なった指標です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

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ACV(年間契約金額)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益を指します。サブスクリプション企業にとって重要なACVと、その計算方法について解説します。


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ACV(年間契約金額)とは

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益です。ACVは契約金額であるため、初期費用などの単発収益を含めます。

ACVの計算方法

ACVを計算する基本の式は次のものになります。

ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

ACVは、計算式を見てもわかるよう、1年間契約した場合の収益です。似た年間指標であるARRは1年間の経常収益のみをあらわすため、ACVはARRよりも正確な収益状況を知れます。

ACVとARRの違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

長期契約の場合

1年以上の長期契約の顧客の場合は、ACVの計算が簡単です。

例えば、顧客Aが6,000,000円で3年間契約した場合、ACVは6,000,000円/3年で、2,000,000円となります。

この場合、ACVはARRと同じ数値になります。

短期契約の場合

一方、1年未満の短期契約の場合のACVの計算は注意しなければいけません。

ACVは、1年間利用された場合の仮定ではなく、確定している契約をもとに算出するため、契約期間が1年間に満たない場合は、あくまで契約期間の中で得られる収益がACVとして計上されます。

例えば、顧客Bが500,000円で6ヶ月間契約している場合、ACVは500,000円と計算されます。

この場合、顧客Bが6ヶ月後に契約更新すると仮定すると、ARRは1,000,000円となります。

全体ACVの計算

全体のACVを試算する場合は、顧客のACVの平均を求めるため、次の式で計算します。

全体ACV=その年の顧客ごとのACVの合計/顧客数

先ほどの事例を用いて全体のACVを計算してみます。

1年目:{2,000,000円(顧客A)+500,000円(顧客B)}/2=1,250,000円
2,3年目:2,000,000円(顧客A)/1=2,000,000円

契約1年目は、顧客Aと顧客Bが契約しているのに対し、2,3年目は顧客Aしか契約していないため、ACVはこのように算出されます。

ACVが重要な理由

ACVの計算が重要な理由は、企業の契約状況を確認できるためです。

ACVは契約の年間の価値や規模を測る指標です。正確に契約によって得られる収益を計上しているため、自社の契約状況の確認に適しています。

さらに、顧客あたりのACVと、その平均値である全体ACVを比較することで、契約1つ1つの規模を理解が可能です。

ACVとTCVの違い

同じく契約から生まれる金額を計算する指標として、TCV(Total Contract Value)があげられます。ACVとTCVの違いは、計算する期間の違いがあげられます。ACVは1年間で得られる収益を示す一方、TCVは契約期間すべてで得られる収益です。

ACVは、「長い期間高い支払いをしてくれる顧客を知りたい」など、収益を年度別に把握したい場合に利用すべきです。また、ACVなら利用期間が異なる顧客を、年単位で得られる収益に揃えて比較できるというメリットもあります。

一方、期間に関係なく、純粋にその顧客から得られる収益を知りたい際は、TCVを測定することがよいでしょう。

TCVについてはこの記事をご覧ください。

まとめ

ACV(年間契約金額)は、1年間の収益をあらわします。

他にもSaaSやサブスクリプションにおける用語を知りたい方はこちらの記事を参照してください。

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SaaS・PaaS・IaaSとは|各クラウドサービスの違い・代表例

SaaS・PaaS・IaaSは、多くの人が利用するクラウドサービスの中で最も主なサービス群です。この記事では、SaaS・PaaS・IaaSの違いや代表例を紹介します。

SaaS(サース)とは

SaaSとは、Software as a serviceの略で、クラウドを介して提供されたソフトウェアのことです。

SaaSのユーザーは、固定のソフトウェアをダウンロードするのではなく、インターネットを介してサービスにアクセスすることができます。ウェブブラウザ上だけではなく、アプリケーションとしてダウンロードする場合もありますが、インターネット接続は必須です。

SaaSの特徴として、ダウンロード型のソフトウェアと比較し、ユーザーが常に最新のバージョンにアクセス可能・企業が継続的にユーザーから収入を得ることが可能という点があげられます。

PaaS(パース)とは

PaaSはPlatform as a serviceの略で、クラウドを介して提供される、サービス開発・実装環境のことです。エンジニアは、PaaSを利用することで、簡単なアプリケーションから複雑なソフトウェアまでクラウド上で開発できます。SaaSと同じく、ユーザーに常に最新のツールの提供が可能です。

IaaS(イアース/アイアース)とは

IaaSはInfrastructure as a Serviceの略で、クラウドを介して、仕事の前提(=インフラ)となりうる様々な用途のハードウェアを提供します。例として、データストレージやプロセッサーなどがあげられます。従来のホスティングサービスと異なり、それらを利用する際に、インターネットを介してユーザーが自分で必要な分だけ利用することができるという特徴があります。

SaaS・PaaS・IaaSの主な違い

SaaS・PaaS・IaaSの3つのクラウドサービスモデルでは、顧客に提供されるものが異なってきます。

データとソフトウェア

SaaSを利用する場合、データ使用量の管理やアプリケーションの維持に気を使う必要がありません。一方でPaaSとIaaSの場合、顧客自身がデータ使用量とアプリケーションを管理する必要があります。

オペレーティングシステム(OS)

IaaSの場合のみ、顧客自身がオペレーティングシステム(OS)の管理をしなければいけません。一方、SaaSやPaaSでは、オペレーティングシステムは提供側での管理が必要です。

SaaS・PaaS・IaaSのサービス例

SaaS・PaaS・IaaSの代表サービスを紹介します。

SaaSの代表例: Gsuite

Gsuiteとは、Googleの企業向けソフトウェア群を指します。GmailやGoogleドキュメント、Googleカレンダーなど、オンライン上での仕事を効率的にするツールが含まれます。

PaaSの代表例:Google App Engine

Google App Engineを使うことで、エンジニアが、開発に必要なツールにクラウド上でアクセスできます。また、必要に応じてエンジニアが独自に利用したいプログラム言語や、フレームワークを導入することも可能です。

IaaSの代表例:AWS(Amazon Web Service)

AWSとは、Amazonが提供しているストレージとコンピューティングリソースの総称です。Amazonが自社のために構築したインフラやアプリケーションを一般公開、クラウドサービスとして提供しています。クラウドを介して提供されたソフトウェアであるSaaSと混同されがちですが、ハードであるサーバーをクラウドを介して提供しているため、IaaSとして定義されます。

まとめ

SaaS・PaaS・IaaSの意味、それぞれの違いを解説しました。

  • SaaS…クラウドを介して提供されたソフトウェア
  • PaaS…クラウドを介して提供される、サービス開発・実装環境
  • IaaS…クラウドを介して、仕事の前提(=インフラ)となりうる様々な用途のハードウェア