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グローバルトレンドから考える、SaaS・サブスク企業のプライシング戦略

2021年4月15日、サブスクリプションビジネスのプライシング戦略について、海外のトレンドやその手法などを解説するオンラインセミナーが開催された。

本セミナーには、STRIVEのベンチャーキャピタリスト四方智之氏や、プライシングSaaS「Pricing Sprint」を運営するプライシングスタジオの高橋嘉尋氏、サブスク管理システム「サブスクONE」を提供するサジェスタムの藤田聡敏氏が登壇した。

バリューベースプライシングとは?

1番手で登壇したSTRIVE 四方氏は、冒頭で近年再注目されているプライシング手法、バリューベースプライシングについて説明した。

バリューベースプライシングとは、原価や競合の価格にとらわれずに、顧客が商品・サービスに感じている価値に基づいて価格を設定する手法だ。その他の有名なプライシング手法にコストベースプライシングがあるが、四方氏は両者の違いを、次のように解説した。

「コストベースプライシングは、製品にかかるコストの上にマークアップ(利益を上乗せ)して価格を設定します。しかし、これは顧客がサービスに対して感じる価値を考慮していません。一方のバリューベースプライシングは、Perceived Value(知覚価値)をベースにして価格を設定します」(四方氏)

バリューベースプライシングには、次の3点のメリットがある。

1. サービス収益の最大化
2. 顧客起点の開発・改善
3. カスタマーサクセスの質向上

「1つ目はサービス収益の最大化です。顧客の支払意欲に基づいて価格を決めるので、顧客にとって検討に乗らない価格に設定することが減りますし、知覚価値が高まることで値上げも可能になります。

2つ目は顧客起点の開発・改善です。バリューベースプライシングではアンケートやインタビューなどのヒアリング調査を実施し、その結果から顧客ニーズが分かるので、顧客起点でプロダクトの開発や改善ができます。

3つ目はカスタマーサクセスの質が向上することです。SaaSビジネスの成功には顧客との継続的な関係構築が必要ですが、アンケートやインタビューを通じて顧客と深い関係構築につなげられます」(四方氏)

グローバルでのプライシングトレンド

つづいて四方氏は、米国のSaaSスタートアップがおこなっているプライシングの最新トレンドに言及した。

前述のとおり、バリューベースプライシングはさまざまなメリットがある手法だが、日本と比べて先行している米国のSaaSスタートアップであっても、実践できている企業は少ないという。

「バリューベースプライシングは米国SaaSスタートアップでも40%しか実施できていないというデータもあります。まだまだ『勘と経験』に頼っていたり、『競合比較』で判断している状況です」(四方氏)

価格設定したあとは、どのようにマネタイズにつなげているのか。主要な課金方法は次の4つに分けられる。

1. アカウント課金(ユーザー数に応じた課金)
2. 従量課金
3. 企業(従業員)規模に応じた課金
4. その他

米国SaaSスタートアップで数多く採用されている課金方式はアカウント課金と従量課金の2つだが、2021年時点では、米国スタートアップではアカウント課金を選択している企業が一番多いという。

「アカウント課金よりも従量課金のほうがARPA(Average Revenue per Account:アカウントあたりの平均収益)が高く、顧客満足度も高いと言われています。実際に2014年と2021年の7年間で、従量課金の割合が増えてきており、今後もこの流れは加速すると思われます」(四方氏)

従量課金が最近のグローバルトレンド

従量課金を導入するメリットは次の4つだ。

1. 導入ハードルが低い:顧客が使い始める際に低コストあるいは無料で使えるので、導入ハードルが低い
2. 矛盾がない:顧客が感じる価値=支払う額が同じなので、矛盾が無い
3. ユーザーのアクセスが増える:1つのアカウントで複数のユーザーが使っても問題は発生しない
4. TAMが拡大する:より多くの潜在顧客にリーチでき、顧客単価を上限もなくせる

従量課金モデルを採用したSaaSの収益構造

さらに四方氏は、実際に従量課金を採用している企業の事例を挙げた。

「2020年にIPOしたデータレイクSaaSのSnowflakeはデータ量、CRMツールのHubspotはコンタクト数が指標となっています。自社のMRRの成長が顧客の成長に結びつくような指標にすることが重要です」(四方氏)

従量課金モデルのSaaSは、一部の顧客が収益の大部分を生む構造になっている。10%の顧客が70%の売上を生む「70:10ルール」なるルールができつつある。

「極端な例では、SlackやUnityはトップ1%の顧客が売上の40%以上を占めています。その他にもShopify、Snowflake、Unityなど、近年高成長を遂げているSaaSの多くは従量課金を採用しています」(四方氏)

そのSaaSは従量課金にすべきか?採用する条件

従量課金を採用するかどうかを判断する材料はあるのか。四方氏は3Cのフレームワークで、従量課金を採用するための条件を列挙した。

四方氏は「市場・顧客に関しては高いITリテラシーを持っていること、特定のソフトウェアから得られる成果に課金される、つまり成果報酬を許容することが必要です。加えて、顧客の予算が大きいことも重要。少ないと、サービスを使わないような逆インセンティブが働いてしまうからです」と説明した。

「自社においては『顧客の成功』が明確に定義されており、定量的かつリアルタイムに観測できるかも大切です。

そして、競合が従量課金であることも見なければいけません。もし従量課金でない場合、十分な顧客へのヒアリングや市場調査が必要です」(四方氏)

プライシングを見直すことでLTVが大きく成長

最後に四方氏は、プライシングの見直し頻度とインパクトについて解説した。

同氏によれば、「米国のスタートアップの80%が年1回に価格の見直しをしており、そのうち40%は2回以上行っている」という。

「計画的にプライシングを見直している企業とそうでない企業で、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)に大きな差が出てくる。継続的にレビューしている企業の11.1倍に対し、価格改定しない企業は1.7倍程度。価格を見直すことで、チャーンレートを抑えたりアップセルしやすくなったり、CACに効いてきます」(四方氏)

実際にプライシングに対する感度が高い企業として、四方氏はNetflixやSmart HRを例に挙げた。

「Netflixは1、2年のスパンで10〜20%の値上げを実施しており、Smart HRもまた、年1度のペースで値上げしているほか、従業員規模に応じた課金から従業員1名あたりの課金に変えるなどしています」(四方氏)

「細かくプライシングの見直しを行っている企業が順調に業績を伸ばしている」ことを強調し、四方氏は自身の講演を締めくくった。

Netflixのプライシング戦略は正しい?考察してみた

2番手で登場したのは、プライシングSaaS「Pricing Sprint」を開発・提供するプライシングスタジオのCEO、高橋氏だ。

Netflixは2021年2月15日、日本国内におけるサービス価格の値上げを行った。最も安いベーシックプランを880円から990円に、中間のスタンダードプランを1,320円から1,490円に値上げした(最も高いプレミアムプランは変更なし)。

この値上げの意図を探るべく、プライシングスタジオではNetflixの既存顧客106名にアンケート調査を実施。次の図は、調査結果からプライシングスタジオが独自に算出した価格シミュレーションである。

プライシングスタジオが実施したNetflixの価格シミュレーション

注目すべきは、価格を変えたときに何%のユーザーが許してくれるかを示した「許容ユーザー比率」だ。

この調査結果を見て高橋氏は「もし私がNetflixの価格担当だとしても、同じような価格に変更していたでしょう」と断言する。

「当社の調査では、たとえばベーシックプランの価格を880円から990円に変えたとき、許容ユーザー比率は94%から92%と、ほとんど下がりませんでした。
しかし1,090円まで値上げしてしまうと、許容ユーザー比率は82%まで下がってしまう。値上げしてもユーザーがあまり離脱しない、ギリギリの価格に設定しているのです(高橋氏)

また、この調査によってプレミアムプランを値上げしなかった理由も考察できたという。

「現行価格の1,980円から100円でも値上げすると、許容ユーザー比率は89%から78%までガクっと下がってしまうので、値上げしなかったと考えられます」(高橋氏)
ベーシックプランでは、現行価格と比べたときの売上比率が高い、つまり売上を最大化できる価格設定ができたのにも関わらず実施していない。これについても高橋氏は次のように解説する。

「1,490円に設定すれば売上は上がる。しかし、許容ユーザーは78%まで下がってしまいます。この価格にしなかったのは『まだまだ顧客獲得を優先したい』というNetflixの意思表明だと思われます」

NetFlixの値上げで行った調査手法「PSM分析」とは

今回プライシングスタジオが行った調査は、PSM分析という分析手法を応用しているという。

PSM(Pricing Sensitivity Meter)分析とは、顧客の支払意欲を調査するために使われる手法である。信ぴょう性の高さに定評があり、近年ではグローバルで有名なSaaS企業でも採用されているものだ。

PSM分析は、次の2つのステップで行われる。

1.アンケート調査
2.可視化

1つめのアンケート調査では、次の4つを既存顧客に質問する。

    1. その製品・サービスについて、あなたが高いと感じ始める金額はいくらくらいですか?

 

    1. その製品・サービスについて、あなたが安いと感じ始める金額はいくらくらいですか?

 

    1. その製品・サービスについて、あなたがこれ以上高いと検討に乗らない金額はいくらくらいですか?

 

    その製品・サービスについて、あなたがこれ以上安いと品質や効果に不安を感じる金額はいくらくらいですか?

次の図(左)はこの回答結果をプロットして図示したものだ。

PSM分析を活用した価格の決め方

一般的なPSM分析では、「安すぎて質が低い価格」と「高すぎて検討に乗らない価格」の交点をみて価格を参考にすることで、価格設定に目安をつけられるという。

このようにPSM分析は比較的簡易に始められる調査だが、実施する際には落とし穴もあると高橋氏は語る。

「『安すぎて質が低い』価格と『高すぎて検討に乗らない』価格の交点だけを見て価格を設定するのは危険です。

PSM分析で収集したデータをプロットした左図だけでなく、さらに深堀りして「顧客数を最大化させる価格」と「売上を最大化させる価格」を算出した「購買ポテンシャル」を推計する図も作りましょう。これにより、価格を変えたときにどのようなインパクトがあるかを、より正確に把握できます」

事業フェーズごとの価格戦略

つづいて高橋氏は、事業フェーズごとの価格戦略について説明した。

「事業が成長するにつれ、価格体系も常に見直し続けなければいけません。シードステージは事業ニーズを仮説検証しましょう。そのために、シンプルな価格体系である単一価格モデルを採用し、顧客数を最大化させる価格を選択します。

事業フェーズごとの価格戦略

アーリーステージになると、徐々に顧客のニーズが多様化してきます。顧客の予算や利用量が違うのに同じ金額を使っていたりする場合には、多様なニーズに応えるために複数プランを追加します。また、シードと同様に顧客数を最大化させる価格を選びます。

ミドルステージでは、未開拓顧客セグメントの開拓やリテンション率の向上、既存顧客の単価向上を目指します。そのために、未開拓顧客と既存顧客それぞれにPSM分析を行い、価格体系を整理します。

レイターステージでは、顧客獲得数が頭打ちになる、複数プロダクトが存在するようになります。このステージでは、追加サービスで既存の売上を毀損せず、相乗効果の出る座組みを作ります」(高橋氏)

最後に高橋氏は「ここまで見てきたように、ユーザーの支払い意欲を正しく把握し、適切なプライシングを行うには高い専門性や膨大な調査・分析工数が必要になります。

弊社ではバリューベースプライシングなどの手法を活用した戦略的なSaaSプライシングを提案できます。プライシングについてお悩みの方はぜひお問い合わせください」と語り、講演を締めくくった。

サブスクの価格仕様をスムーズに行うには?

望ましい価格水準が決まったら、これを速やかにディテールを決め、テスト、実装、PDCAを回せるように落とし込まなければならない。最後に登壇した藤田氏は、サブスクリプションにおける価格変更をスムーズに実行するポイントを解説した。

まず藤田氏は「サブスクリプションは継続的な取引により顧客が積み重なっていくので、価格体系全体の整合性を取ることが重要」と説明した。

「新プランをつくる場合は、既存プランと矛盾がないようにします。特に安いプランを作る場合は、既存プランからの移動が起こり思わぬ収益減が発生し得るので、既存価格から移動できる条件をあらかじめ定めておきましょう」

また藤田氏は、決めるべき主な仕様の構成要素を次の図で挙げた。

サブスクの価格仕様を詰める上での要素

「サービスによってはすべて決める必要はありませんが、一つひとつの仕様を細かくみていく必要があります」(藤田氏)

価格のテストと整合性の取り方

次に藤田氏は、価格のテストと整合性の取り方を説明した。

売り切り型のサービスで価格テストをする場合は比較的簡単だ。たとえばECサイトで価格をランダムで出し分けたりクーポンをランダムで発行したり、エリアを限定してテストしたりすれば良い。

価格テストと整合性の取り方

「しかし、サブスクの場合は少々工夫が必要です。プランが増えて断片化してしまい、矛盾を抱えるリスクがあるからです。キャンペーンと明記したり、提供期間を限定にしたりと、テスト期間が終了した時点の扱いをあらかじめ顧客と合意しておくことが重要です」(藤田氏)

サブスク管理ツールの選び方

では、どのようにして価格変更を実装すればいいのか。サジェスタムはサブスク管理プラットフォーム「サブスクONE」を提供しており、さまざまな事業者から引き合いがあるという。藤田氏は、サブスク事業者におけるよくあるシステム構成を次の図を交えて説明した。

サブスク事業におけるよくあるシステム構成

「サブスク事業者のシステム構成は、SFA/CRMに登録された顧客データが独自で構築した簡易的なシステムやExcelを介して請求・決済ツールに連携されている場合が多いです。しかし簡易システムやExcelでは仕様の対応に限界があり、周辺ツールとの連携も限定的になります」

こうした課題を解決するために、価格や契約を一元管理できるサブスク管理ツールを導入することが近道だという。

最後に藤田氏は、サブスク管理ツールを選ぶ際のポイントを2つ挙げて講演を締めくくった。

「1つ目は『価格の構成要素になり得る項目がスムーズに設定できるか』です。2つ目は『サブスクビジネスにおける重要KPIを取得でき、PDCAに活かすことができるか』です。

サブスク管理ツールは数多くありますので、(サジェスタムの)サブスクONEをはじめフラットな視点で選んでいただけたら幸いです」(藤田氏)

【5/13開催】SaaS成長を実現する「プライシング戦略」セミナー

プライシングスタジオでは2021年5月13日、SaaS成長へ向けた「プライシング戦略」をテーマに、基本的な考え方から、変更、タイミングの捉え方まで、分かりやすく解説します。

お申し込みはこちら

戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、こちらをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。

皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまでよろしくお願いします。

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プライシングニュース

Shopifyの定額コンサル「UnReact顧問」質問からコンサルまで対応、月額1万5,000円から

Shopifyに関する質問を何度もできるサービス「UnReact顧問」がリリース

ウェブサイトの制作や運用などを行うUnReactは、Shopifyの質問対応・アプリ導入・分析・コンサルティングを月々定額で行う「UnReact顧問」をリリースした。

Shopifyの顧問契約サービスであるUnReact顧問は、月額1万5,000円でShopifyに関する質問を何度もすることが可能で、Shopify専門エンジニアによる提案も受けられる。また、質問だけでなくその後のコーディング・アプリ導入まで対応してくれるという。

月額プランは、ライトプラン(1万5,000円)、スタンダードプラン(3万円)、アドバンスプラン(10万円)の3つがある。

UnReact顧問イメージ(出典:UnReactプレスリリース)

顧客と長期的な関係を構築できるサブスクリプション

顧客との関係性をサブスクリプションモデルと売り切りモデルで比較すると、サブスクリプションモデルの方が顧客との長期的な関係の構築が可能である。

売り切りモデルでは、1度自社製品を購入した顧客に再度購入して利用をしてもらえるとは限らないが、サブスクリプションモデルでは、継続的な利用を前提としているため、基本的に2回目の利用をしてもらえる。

このようにして、サブスクリプションモデルでは、顧客との長期的な関係を構築できる。そして多くの顧客のデータやフィードバックから、顧客が求める製品・サービスに製品やサービスを改善していくことが可能だ。

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プライシングニュース

クラフトビールのサブスク「Otomoni」 ビールをギフトとして贈れるセット4,980円 販売開始!

「Otomoni」新しい形でのセット販売を開始

クラフトビールのサブスクリプションサービス「Otomoni(オトモニ)」は9日、お客さんが飲んで高評価レビューをつけたクラフトビールを大切な方へプレゼントできるセットの販売を開始した。

今回のセットは、オトモニがリリースしているアプリのレビュー機能にて高評価をつけたビール3本と、オトモニが選んだクラフトビール3本をセットにして届けることができるオトモニ会員限定のセットである。

販売価格は、4,980円(税込、クール便送料込)である。

オトモニによれば、4月から6月にかけて退職や転勤祝い、母の日や父の日などが連なるこのギフトシーズンに合わせ、本サービスを販売開始したという。

otomoniギフトセット概要
(出典:otomoniプレスリリース)

Otomoniのビジネスモデル

Otomoniのビジネスモデルはサブスクリプションである。
サブスクリプションとは、定額制で利用者に継続的に料金を支払ってもらい、商品・サービスを提供するビジネスモデルである。

近年ではインターネットやITの進化や物流の進歩により、様々なサブスクリプションモデルが存在するようになった。

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プライシングニュース

月額50万円でSaaS開発可能なプラットフォーム「サブスクカイハツ」開始

SaaSプラットフォーム「サブスクカイハツ」

メディア運営サービス、広告企画制作事業などを行うB2Iは5日、低コストSaaSプラットフォームサービス「サブスクカイハツ」をリリースした。

サブスクカイハツは、サブスクモデルでのビジネスに参入したい企業を対象に受託開発を定額で提供するサービス。

ターゲットとしては、通常のプラットフォーム開発コストが高いため開発ができない企業、テスト調査プラットフォーム開発をしたい企業などを対象としている。

料金は月額50万円で、要件定義から運用保守までワンストップでサービスを提供する。

サブスクカイハツでは、SaaS系プラットフォーム開発を対象で、SaaSプラットフォームとして、MAツール、SFAツール、CRMツール、HRTechツールの開発などを行うことが可能である。

また、記載のツール以外の開発への対応も実施しており、上記対応領域外の機能は別途見積もりのうえ対応としている。

月額制SaaSプラットフォーム開発の背景

月額制SaaSプラットフォーム開発提供の背景には、現在注目を集めており、市場規模も右肩上がりに伸びているSaaSビジネスに参入しようとする企業がハイスピードで増加していることがある。

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コラム

SaaSスタートアップのプライシング戦略|シード・アーリー・ミドル・レイター【段階別】

これだけサイエンスがされているSaaSの中でもプライシングはアートの要素が多く、確立された方法論がないため、色んな起業家とディスカッションしてて多くの方が頭を悩ませることが多いと感じる。

今回はシード・アーリー、ミドル、レイターと段階ごとにどのようにプライシングに取り組むべきかという実践的な内容をまとめてみた。

見過ごされがちなSaaSのプライシングの重要性

SaaSビジネスに関する国内外の情報を探すと、The Modelなどの顧客獲得やリテンション関連のものが多い。実際、SaaSのグロースに関するネット上の記事量は次のとおりだ。

①新規獲得 >> ③リテンション > ②プライシング

グロースに関するブログ投稿数

しかしそれぞれ1%改善した際の収益へのインパクトを見ると、次のような順番になる。

②プライシング > ③リテンション > ①新規獲得

価格設定によるマネタイズを1%向上させると利益率は12%も改善する。これはリテンションの約2倍、顧客獲得の約4倍の利益率改善効果があるという数字だ。
(プライシングは顧客獲得、リテンションの両方に利く要素なのである意味自然かもしれない)

また、ユニットエコノミクス(LTV / CAC)への影響を見ると、特に価格改定を行わない企業は1.68、毎年レビューする企業は3.23、常に最適化に取り組む企業は11.09と大きな差が生まれることから、プライシングの重要性は明白である。(注:ARR$5M以上の米国SaaS企業を対象とした調査)

最も一般的なプライシングモデルは?

SaaSには様々なプライシングモデルがあるが、Pacific Crestの調査によると、最も使われているのは席数/ユーザー数ベースで、約1/3を占める。使用量、機能、従業員数などがその後に続く。

席数ベースの課金は、人数が増えるほどそのプロダクトの提供価値が上がるCRM(Salesforce)やコラボ(Slack)、ヘルプデスク(Zendesk)のソフトウェアなどに合う。

また、分かりやすく予算が立てやすいため、多くのSaaS企業で使用されている。一方で、プロダクトの提供価値に結びついていないと顧客がアップセルせず、チャーンが高くなるケースも多い。他の競合プレイヤーが席数ベースだから…という理由でプライシングモデルを作るのはダイレクトに事業の成長を妨げる可能性がある。

では、どのようにプロダクトの提供価値に合ったプライシングを見つければよいかについて以降の章で触れたい。

価値指標とは?なぜ重要なのか?

英語のプライシングに関するコンテンツを見ていると、度々出てくる企業の名前がある。

Wistiaという企業を対象とした動画ホスティングと、計測が出来るマーケティングプラットフォームを提供するSaaS企業だ。

彼らの料金ページが賞賛されている理由は、価値指標(Value Metric)というプライシングにおいて非常に重要なコンセプトを体現しているから。

価値指標とは、簡単に言うと「顧客は何に対して価値を感じて費用を支払うのか」ということだ。Wistiaの場合はホストされた動画数と動画が使う容量の2つが価値指標となっている。

価値指標の本質は自社のMRRの成長が顧客の成長に結びつくようなプライシングモデルを作れているかにある。その結びつきの有無によってチャーン低下、アップセルによるARPUの向上などユニットエコノミクスの因数に大きく影響を与える。

もしWistiaが上記のような動画数と容量ではなく、~100人=SMBプラン、100~1000人=Midmarket、1000人~=Enterpriseというように、従業員数でプランが決まっていたとしよう。

その場合、例えばディズニーのような動画数が多い顧客と、GEのようなB2Bの重厚長大型で動画数が比較的少ない顧客とでは、ディズニーの方がサービスの価値を100倍以上感じるはずだが、両社ともEnterprise向けの同じ価格を払うことになり、Wistiaはその差を収益の大きさに結び付けられない。

この価値指標が何かは、事業のフェーズによって変わったりして、どのフェーズでも重要になるため、詳しく見ていく。

シード期のプライシング:初めての価格設定

シード期の企業はすでに規模の大きくなっている企業のように既存顧客のデータをもとにプライシングを行えない。プロダクトをローンチしたばかり、またはローンチできるかどうかという時期のため、価格設定に割く時間は最小限に抑えながらも、次のような複数の切り口からデータを集め、意思決定を行えると良いだろう。

1. 競合ベースのプライシング

まずは手っ取り早く業界の中でも競合となるような企業がどれくらいの価格帯でサービスを提供しているかを見よう。同業界でもターゲットの企業規模によっても契約額のレンジは違ってくるので注意したい。ボクシルのようなSaaS比較サイトを見るのは一つの良い方法でもある。

  • Pros(メリット):競合のサイトを巡回して30分もかければ「それっぽい」プライシング戦略ができあがる。また、競合が多い領域であれば市場が健全に維持されるような価格設定になる可能性が高い。
  • Cons(デメリット):あくまで競合の戦略を真似ているだけであって、独自の戦略は立てられていない。既存のサービスにはない提供価値があるからスタートアップは存在するのだから、自分たちのプロダクト/プライシングのポジションがあるはずなので、あくまで参考程度。

2. コストプラス式のプライシング

製造業の世界で一般的に取り入れられているモデル。1製品にかかる変動費と固定費を計算した上で、損益分岐点を超える一定のマージンを加算する方法。

  • Pros(メリット):コストが試算よりも大幅に増えなければ損をする可能性が低い。また、市場調査をする必要もなく、容易に計算できる。
  • Cons(デメリット):顧客は開発費のコストに対してではなく、そのサービスの価値に対してお金を払うため、本質的な設定方法ではない。また、需要の価格弾力性を考えておらず、収益の最大化に必ずしも繋がらない。

3. 価値ベースのプライシング(バリューベースプライシング)

プロダクトの価値を市場調査によって測り、プライシングに反映するモデル。市場調査の手法は主に2種類。

(1)インタビュー形式の定性調査(ターゲットとする顧客数が少ない場合)
(2)アンケート形式の定量調査(数が多いSMBや幅広いセグメントがターゲットになる場合)

どちらの方法でも内容は価格自体よりもニーズや何を価値と感じるのかについて焦点を当てるのがポイント。

(1)インタビュー形式の場合
1:1が基本。最初に顧客からプロダクトへのフィードバックをもらう。後半で具体的にお得(≒安い)と感じる価格と、躊躇する(≒高い)と感じる価格について聞き、当初想定していたレンジと比較してその差分が何から生まれているものなのかの分析をするのが良い。

(2)アンケート形式の場合
こちらは様々な質問内容がある。よくあるのは、たくさんのプロダクト機能を羅列して10点満点などの点数ベースで欲しい機能を答える質問があるが、基本的に人は全部必要と答えるため、どれが顧客が価値を感じる部分なのかは分からない。

代わりに以下のような「価格体系に用いる指標として最も好ましい/好ましくない機能はどれか?」という質問の方が最終的に価値指標を知ることができるだろう。

バリューベースプライシングに関する詳しい解説は、次の記事も参考にしてほしい。

関連記事:バリューベースプライシングとは?

十分な回答数を得たところで、機能ごとに「最も好ましいと回答された回数-最も好ましくないと回答された回数」を計算し、それぞれのスコアを出すと、どの機能がないと困って、どれがなくても生きていけるのかを知ることができる。そして一番スコアが高かった項目は価値指標として使える可能性が高い。

このEメールプラットフォームの例だと「送ったEメールの本数」がトップのスコアであり、価値指標になりえる。そして「連絡先の数」が次点だが、先述のWistiaのように2つ価値指標を設けるのもいいかもしれない。

  • Pros(メリット):競合比較やコストプラス式と違って、顧客が本当に欲しいものは何か、自社のプロダクトの価値は何かを直接聞くことができ、Willingness to pay(購買意欲)を測ることができる。
  • Cons(デメリット):時間とリソースがかかるため、コミットメントが必要。

アーリー・ミドル期のプライシング:リデザイン

ミドル期になるとプロダクトのMVPは完成していて、誰が顧客なのかといったデータは揃ってくる。シード期に一旦置いていた価格をリ・デザインし、既存・潜在顧客がフェアと感じるプライシングを「パッケージ」として完成させる必要がある。

パッケージが正しくできれば営業チームは異なる顧客セグメントのニーズに応えられるようになり、プロダクトチームは新しい機能への投資の優先順位を付けられるようになる。

パッケージのタイプとしてはここで4種類を紹介する。

(1)All-in Bundling:全てのプランをまとめる(バンドル)するタイプ。プロダクトのラインアップの幅はあるが、それぞれの深さはそこまでない場合に有効。(例:Microsoft Office)

(2)Category Bundling:特定の顧客にとって機能性が備わっていたり、領域ごとに異なる競合がいる場合、All-in Bundlingは意味がなくなるため、カテゴリー別のプランを出すタイプ。(例:Salesforce)

(3)Use Case Bundling:プラットフォームビジネスで法人/個人、供給側/需要側といった対象ごとにプロダクトの使われ方・購買意欲が違うタイプ。(例:LinkedIn)

(4)Good / Better / Best:いわゆる松竹梅タイプ。どんなプロダクトの成熟度合いであっても幅広い潜在顧客にリーチできる。(例:Slack)
最後のGood / Better / Bestは一番ポピュラーでありながら奥が深い。それぞれの機能やサービスの価値と顧客セグメントによってその価値がどう変わるかを考える必要がある。

Simon-Kucher & Partners(プライシング分野でのリーディングカンパニーとされるコンサル会社)のマックメニューの”Leader”, “Filler”, “Bundle Killer”の例えが分かりやすい。

  • Leader:マックのセットメニューにおけるハンバーガー。大半の人が欲しがり、どのパッケージにも入っていなければならない。
  • Filler:ポテトフライやドリンク。あったらいい機能だが、アラカルトで売ると顧客は慎重に選ぶため、セットにすることによって購入率を高め、ARPUが上げられる。
  • Bundle Killer:コーヒー。バーガー+フライ「+コーヒー」のセットを頼む人はほぼいないだろう。必要以上のものなので、コーヒーをセットに加えることは購入意欲を削ぐ可能性が高い。しかし少数でもカフェイン不足の人がマックに来るかもしれないので、アラカルトで置いておくのがベスト。

Leader / Filler / Bundle Killer のカテゴリー分けを顧客セグメントごとに整理しておくのはとても重要。特にSMB、Midmarket、Enterpriseの企業を対象とするサービスは特にそうだ。SSOやインテグレーション機能、高度なセキュリティ機能は大企業の全社導入には必須かもしれないが、基本的な機能で十分な零細企業にとってはBundle Killerになりえる。

初期は限られたセグメントを対象にしているとシンプルで良かった価格設定も、裾野が広がってくる段階になるとこうしたパッケージの見せ方を気を付ける必要があるだろう。

レイター期のプライシング:最適化

レイターステージまでくると、プロダクトラインは拡大していて、より広い顧客ベースにサービスを提供しており、事業としての複雑性は増している。その複雑さを適切に整理し、オンライン上での顧客への見せ方をどうするかによってレイターになっても成長速度を上げることが可能になる。

パッケージと価格プランのデザインの最適化のために心がけるべきことやテクニックをここでは紹介する。

料金ページを常にアップデートし続ける

先述したWistiaの料金ページは常に変わり続けている。実はこちらのメニューは2年以上前のもので、動画数と容量を価値指標にしていて、プランも6つあった。

直近のプランは3つにまとめられており、価値指標も容量はなくなって動画数のみになっている。このような継続的な改善はマーケやセールスだけでなく、プライシングでも非常に重要な要素。

価格プランごとのペルソナを設定する

上記のように価値指標の数を減らしたり、逆に増やしたりする判断はどのように行えばいいのか?一つは、ペルソナごとに価値指標を考えることだ。

例えばCFOと営業マネージャーという複数のペルソナが考えられる場合、それぞれ何を価値を感じるのか?CFOは複雑な業務をなるべくユーザーの手が入らなくとも遂行できるのが理想であるなら、トランザクション数が価値指標になる。

一方で、営業マネージャーはチームのメンバーが上げる見積もりの標準化と効率化がしたいならば、ユーザー数が適しているだろう。

このようにペルソナごとの価値指標が異なると分かれば増やしたり、実は同じだった・複雑になってユーザーにとって分かりにくくなったと感じたら減らすというPPF(=プライシング・ペルソナ・フィット)を重ねていくことになる。

不安感を取り除く

料金ページは購入者を説得する難しい課題を与えられている、ある意味トップパフォーマーの営業人材のようなものだ。説得材料を少しでも与えるために既存顧客の熱量を可視化するのは一つの手。SlackはWall of Loveというユーザーのツイート集が価格プランの下に流れるという見せ方をしている。

こうした「購入」や「営業担当者に問い合わせる」のボタンを押すのをためらう人の不安感を取り除くUIを考えるのもいいかもしれない。

行動心理学の知見を活かす

この段階までくると、アンカリング効果やおとりプラン、イチキュッパ効果などの心理テクニックを使うのもありだろう。

最後に:プライシング担当/チームは必要?

事業が大きくなるとマーケ、インサイド/フィールドセールス、CSなどそれぞれの部署ができ、The Modelに代表されるような分業体制が敷かれる。しかし、プライシングを担当する部署は決まってないことが多い。

OpenViewの調査によると次のようなデータがある。

  • 拡大期(ARR$1-20M)のSaaS企業において55%の会社が業務内容にプライシング関連の仕事が含まれる担当者がいない
  • グロース期(>ARR$20M)になると26%はプライシングチームを持つが、それでも37%はまだ担当者がいない

ではプライシングは経営層が気にしていないのかというと、そんなことはない。実は2/3以上の会社でCEOが結局オーナーになっている。重要性が高いトピックにもかかわらず、データを扱う担当者がいない中で直感に頼ったアドホックな意思決定を行っているというのが現状かもしれない。

必ずチームを作らなければならないというわけではなく、プライシング担当者を置くとすれば、営業、プロダクト、マーケ、ファイナンス、オペレーションのどれかに所属する存在になることが多いようだ。

(この記事は、STRIVE 四方 智之氏のnoteエントリを再構成して転載しています)

最適なプライシング戦略構築ならプライシングスタジオ

この記事では、SaaS企業が取るべきプライシング戦略をシード・アーリー、ミドル、レイターと段階別に解説しました。

プライスハックを運営するプライシングスタジオでは、バリューベースプライシングなどの手法を活用した戦略的なSaaSプライシングを提案可能です。プライシングについてお悩みの方は、こちらをご一読いただくか、プライスハックまでお問い合わせください。

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新たなMaaSアプリ「mobi」 月額5,000円で20キロ圏内は移動可能


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WILLERが5月から「mobi」本格展開へ

大手高速バス会社のWILLERは、5月以降に新たなMaaSアプリ「mobi(モビ)」を開始する。

ユーザーの予約状況に合わせて、AIが最適なルートや運行スケジュールを算出し、最適な配車や運行を行う。

アプリで車両を呼び出すと、指定した場所へ10分程度での配車が可能で、約2km圏内を自由に移動できる。

月定額料金は、本会員となる人が月5,000円、家族は1人当たり月500円の追加で利用可能。

3月8日から3月31日まで京丹後市で実証実験を行ったりと、「mobi」の開発を進めている。

実証実験での「mobi」の車両(出典:WILLER 公式サイト)

MaaSアプリでのオンデマンド交通

小田急電鉄のMaaSアプリ「Emot(エモット)」では、新百合ヶ丘駅周辺でしんゆりシャトルを利用できる。

回数 大人 子供
一回限り 500円 250円
1か月間無制限 2万1,000円 1万500円

トヨタのMaaSアプリ「my route」では、福岡県糸島市内でよかまちみらい号を利用できる。
1回乗車は中学生以上は200円、小学生と障がい者は100円である。

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「ふわふわうさちゃんマスク 35枚セット」再販売へ サブスクで割安価格に


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「ふわふわうさちゃんマスク」2日からサブスクで再販売

デジタル機器の通信販売を行うスリー・アールシステムは2日に、エアスルー不織布を使用したマスク「ふわふわうさちゃんマスク 35枚セット」の再入荷分の販売を開始した。

同社は1月26日に、「ふわふわうさちゃんマスク 35枚セット」のサブスクリプションサービス(サブスク)を開始。3か月間で累計33万枚を超える注文を受け、完売していた。
生産体制を強化して、再入荷分の販売を開始するという。

「ふわふわ うさちゃんマスク」の新しいパッケージ(出典:ココロミクラブ)

配送サイクルは、2週間、1か月、2か月から選択可能で、いつでもキャンセル、スキップできる。具体的な価格は、次の通り。

 

配送サイクル 料金
通常購入 1,990円
2週間 995円
1か月 1,095円
2か月 1,194円

 

割引戦略 ボリュームディスカウントとは

上の価格表から、配送サイクルが短いほど、商品1個当たりの値段は安くなっている。

このように、より多くの商品を買った場合に割安価格を適用することをボリュームディスカウントという。
言い換えると、大量購入を理由として行う値引きのこと。

ボリュームディスカウントを適用すると、利益が低くなるだけで終わらず、確実に高い売上を得ることができる。

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エンタメサブスクの「recri」開始 5,900円から2万9,900円まで3プラン


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新たなエンタメサブスク1日から先行受付中 選べる3プラン

雑貨専門商社であるrecri(レクリ)は2日に、エンタメチケットが毎月自宅に届くエンターテイメントサブスクリプションサービス(サブスク)「recri」を開始すると発表した。
1日より先行予約受付中。

毎月15日までに気分・ライフスタイル・趣味嗜好・欲求・好みなどの5つの質問に答えると、AIや評論家やアーティストなどがチケットをセレクトして、翌月にチケットが複数枚届くサービス。

対象のエンターテイメントは、イベント・舞台・ショー・フェス・アート・映画・音楽・スポーツ・体験・季節・パーティー・伝統芸能などがある。

料金プランは3種類。土日のどちらかは遊びに行きたい人は5,900円のENTRYプラン。週末はガッツリ遊びたい人は1万3,900円のSTANDARDプラン。平日も土日も思い切り遊びたい人には2万9,900円のPLAYERプランが用意されている。

PLAYERプランには、より細かいチケットオーダーが可能で、チケットの返品交換を受け付けるコンシェルジュ機能がついている。

サービスの本登録スタートは5月1日から。

在庫の関係で、しばらくの間は先着500名まで、東京・神奈川・千葉・埼玉限定としている。

3つのプランから選べる(出典:recri リリース)

「recri」の価格体系、複数パッケージ価格モデルとは

「recri」にはENTRYプラン、STANDARDプラン、PLAYERプランの3プランある。

このように、複数のプランを提示する価格体系のことを複数パッケージ価格モデルという。

さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づける。

さらに、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取ることができることから、利益を増加させることが可能。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながる。
そのため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるように注意が必要である。

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大丸松阪屋百貨店がサブスク「AnotherADdress」開始 月額1万1,880円

大丸松阪屋百貨店は始めたサービス「AnotherADdress」とは

大手デパートの大丸松坂屋百貨店は3月12日に、ブランドの衣料品を3着まで1か月レンタルできるサブスクリプションサービス(サブスク)「AnotherADdress」を開始した。本サービスは、百貨店の構造からの転換と、持続的な未来を実現するための新たな挑戦の第⼀歩だとしている。

料金は、月額1万1,880円で、1アイテム3,850円で追加レンタル可能。往復の送料やクリーニング、基本的な修繕料金も含まれている。自宅やコンビニから返却をする。また、気に入ったアイテムは割引価格で購入できる。

(出典:大丸松阪屋百貨店 公式サイト)

5年目で登録者3万人、6年目で売上高55億円~60億円を目指す。

サブスクのサポートが手厚い理由

サブスクを利用するメリットの1つに手厚いサポートを受けられるという点がある。

サブスクは、顧客の継続率が非常に重要であるため、顧客の課題を積極的に解決しようとする。売り切り型ビジネスの購入後のサポートに比べて、サブスクでのサポートは、問題対応のスピードや手厚さが優れていることが多い。

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松本駅前の3つのホテルで新たなサブスクプラン 4月1日から


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割安で1か月間利用できる「宿泊サブスクリプションプラン」

長野県松本市で交通・観光サービスを提供するアルピコホールディングス傘下の東洋観光事業は、松本駅前で運営する3つのホテルに「宿泊サブスクリプションプラン」を導入すると発表した。

コロナ禍で宿泊客が落ち込むなか、「宿泊サブスクリプションプラン」を通じて新しい顧客の開拓につなげる。

「ホテルブエナビスタ」「アルピコプラザホテル」「エースイン松本」の3つのホテルを対象に4月1日から6月30日まで展開する。
3月16日から予約受付している。

契約は1か月単位となるが、宿泊数を週あたり2泊から7泊まで選択可能。朝食の有無も選べる。

サブスクプランでの宿泊料金はホテルによって異なる。「ホテルブエナビスタ」の料金は次の通り。

宿泊数 料金(朝食なし) 料金(朝食あり)
2泊/週(総泊数8日/月) 5万2,000円 6万5,000円
3泊/週(総泊数12日/月) 7万7,000円 9万7,000円
4泊/週(総泊数16日/月) 10万1,000円 12万7,000円
5泊/週(総泊数20日/月) 12万4,000円 15万6,000円
6泊/週(総泊数24日/月) 14万7,000円 18万6,000円
7泊/週(総泊数30日/月) 18万円 21万円

ホテルによって異なるが、利用者にはレストランや駐車場などの割引サービスも用意する。

「ホテルブエナビスタ」のスタンダードセミダブルルーム(出典:ホテルブエナビスタ 公式サイト)

コロナ禍で変わるホテルのプライシング

ホテル業界は、ダイナミックプライシングがかなり早くに導入された業界である。

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」で、商品の需給に合わせて価格を変更させて適正価格で売ることに活用されている。

しかし、ホテル業界はコロナ禍の影響で出張客や観光客が減り、宿泊需要が大きく減少している。こうした状況下では、ダイナミックプライシングがうまく機能しない。

長期滞在が可能なサブスク化は、ホテルの稼働率を高める施策として効果を発揮しそうだ。

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