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ダイナミックプライシング導入

ダイナミックプライシングと相性の良い企業は?事例をもとにわかりやすく解説

この記事では、どんな企業がダイナミックプライシングを導入するのに適しているのかについて解説していきたいと思います。

ダイナミックプライシングとは何かわからない、という方はこの記事をご覧になってください!


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ダイナミックプライシングが適する企業

ダイナミックプライシングは、価格を動的に変更することを通じて収益最大化に貢献します。価格の動的な変更を需給の変動に合わせて行うことで収益を上げるのですが、その需給変動の予測が近年AIの発達、ビッグデータ利用の拡大によって容易になりました。それにより、現在多くの業界、事業での導入が可能となりました。

しかし、全ての事業でダイナミックプライシングが同様に適しているわけではありません。今回は特に導入を検討すべき企業の特徴を、2パターンに分けて紹介します。それらの特徴に当てはまっていれば、仮に業界内でどの企業もダイナミックプライシングを導入していなくても導入を考えることができるかと思います。

パターン1:導入による収益最大化・工数削減効果が見込まれる

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴1 「需要が変動する商品を扱っている」

そもそも、ダイナミックプライシングが収益の最大化につながるのは、商品の需要は変動するという前提があってのものです。スポーツの試合のチケットの需要は、雨の日と晴れの日で異なりますよね。そのように需要が変動する商品を扱う場合、実際は販売することができる最高の価格は変動するはずです。同じ試合でも、晴れの日のチケットは4000円、雨の日のチケットは1000円の価値しかないかもしれません。その需要の変動に合わせて実際に価格を変更することで、収益を最大化させるのです。これがダイナミックプライシングが収益最大化につながる基本的な理由です。そのため、需要が変動する商品を扱う企業とって、ダイナミックプライシングは有用だと言えます。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴2 「商品価格の変更を大量かつ頻繁に行っている」

小売店など、市場内での供給(競合の状態)が変動する業界では、すでに大量の商品の価格変更や、頻繁な価格変更をしている企業があります。このような企業は導入を検討すべきです。

ダイナミックプライシングのメリットの一つに自動化による価格変更作業の工数削減があります。価格競争が厳しい業界や、価格を変更しようとすると大きなコストがかかるような業界では、手動での価格変更そのものに高いコストがかかっています。実際に、家電量販店などのオフラインの小売店では、毎日の価格張り替えコストが大きく、店員のそこにかける工数が大きすぎると問題視されています。実際に、オンライン/オフラインの小売店では、ダイナミックプライシングを導入することで、大量の商品の価格変更を頻繁に行うための人的コストを削減しています。このように、工数削減にも大きな効果を発揮するのです。

また、大量の商品の値段を頻繁に変更する場合、手動での価格管理は価格変更ミスなどのリスクを伴いますが、DPのシステムを導入することで、価格管理/変更をダッシュボード上で確実に実施できるようにります。

これらのメリットを享受しやすいため、大量の商品の価格変更や頻繁な価格変更を必要とする企業は導入を検討すべきです。

パターン2:導入に伴う顧客離れを起こしにくい

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴3 顧客との強い関係性を築けている

ダイナミックプライシングには、導入する際の注意点があります。それが顧客との関係悪化です。短期的な収益向上につながっても、長期的にみた場合、導入による不信から顧客離れを起こし、収益減退につながる可能性があります。

しかし、顧客との間に強い関係性が築けている場合は違います。2019年1月からダイナミックプライシングをチケット価格に導入した、ユニバーサルスタジオジャパン(以下USJ)が挙げられます。USJはこれまでも一定価格制を取りながらも段階的に値上げをしてきました。そしてその間、来場者数を減らすことなく、その人気を保ち続けてきたのです。この背景には、USJが常に顧客からの支持を得るために、アトラクション開発や施設内サービスの充実させてきた事実があります。このように顧客と強い関係性を築けているがゆえに、ダイナミックプライシング導入後もUSJの評判が大幅に落ちることはありませんでした。実際、旅行予約サイトじゃらんやTripadvisorの口コミ評価も、導入前と比べて大きく下落してはいません。

また、スポーツチームでも、顧客離れは起きにくいと考えられています。スポーツチームと顧客を結ぶ強い関係性は「応援」です。ダイナミックプライシングによって上がった収益が自分の応援するチームの強化に繋がるという流れが見えれば、顧客は導入を納得感を持って受け止めてくれるでしょう。

このように強い関係性を顧客と築けている企業は、顧客離れの可能性というデメリットを受けることなくメリットを享受できるため、ダイナミックプライシングの導入に適していると言えるでしょう。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴4 ダイナミックプライシングによる値上げによって顧客にメリットを出せる商品を扱っている

ダイナミックプライシングによる大幅な値上げがあった際に、顧客に「この企業は、自社の儲けだけを追求している」とみなされてしまう可能性があります。値上げが頻繁に発生すると、ダイナミックプライシングを導入した企業に不信を持ってしまうかもしれません。しかし、値上げによって顧客の満足度が向上する場合、それは起きにくいと考えられます。このケースは、いくつかのCtoCサービスがあてはまります。

その例の一つが、個人がタクシーとして乗客を乗せることができるアメリカの配車サービス Uber です。乗客は行き先をアプリで入力し、近くにいるドライバーとマッチングする仕組みなのですが、マッチング時に提示される運賃がダイナミックプライシングによって調整されています。そして、このダイナミックプライシングでは、値上げしか行いません。一見顧客離れにつながりそうですが、実際には、Uberのでは、あまり問題になっておりません。これは、顧客満足度向上のためにダイナミックプライシングが必要だという、導入の理由があるためだと考えられます。

乗客にとって、近くにドライバーがおらず、乗りたくてもなかなか乗れないことは大きなストレスとなります。そのため、乗車待ちの客がが多いところには本来、ドライバーが多く向かうべきです。しかし、UberのドライバーはUber社員ではない第三者であるために、強制力を持ってドライバーを需要の多い地域に向かわせることができません。それでもドライバーを動かそうと思うと、金銭的な報酬動機付けが必要になるのです。

Uberのダイナミックプライシングは値上げのみのものですが、需要が集中した際に、乗客のもとに十分な数のドライバーを届けるという、顧客に適切にサービス提供する目的があるため、顧客にも一定納得感があるのだと思います。この例のように、顧客満足度向上のためにダイナミックプライシングが必要な商品/サービスを扱っている企業の場合、しっかりと顧客にそれが伝われば、顧客離れを起こさず、ダイナミックプライシングのメリットを享受することができるのだと思います。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴5 価値の変動が実感されやすいサービスを扱っている

ダイナミックプライシングのリスクとして、サービスの価格を値上げさせたのものの、サービスの質に値段が見合わないとして、サービス自体の評価が下がってしまうことがあります。

これは、サービスの価値の変動が実感できない場合に発生しています。例えば、タクシーでダイナミックプライシングを導入すると仮定すると、自分の興味のないイベントが行われていて、その会場付近のタクシーの需要が高いために値上げされれば、おそらく割高なタクシーだと感じられてしまうでしょう。

一方、価値の変動を顧客が実感しやすい場合は、値段が変わっていても、サービスや商品の質が低いとは思われにくいです。その例としては、サービスや商品そのものの価値が変動する場合が挙げられます。リーグ優勝が決定する試合になるとわかってから高騰するスポーツの特定の試合や、雪が溶ける春先と比べた真冬のスキー場の利用料金が高くなることがその具体例となりますが、このような場合だと、顧客はサービスの価値が変化していることを自ら理解しているため、価格が高くなったとしても、商品の価値と比較して値段が高いとは思われにくいです。

このような、価値変動を顧客が実感しやすいサービス・商品を扱っている企業は、商品価値がダイナミックプライシングによってに設定した値段に対して低いと思われず、顧客離れを起こしにくいため、そのリスクを負わずに導入を検討することができます。

まとめ

ダイナミックプライシングにはメリットとデメリットが存在しています。メリットが大きくなる企業デメリットが小さくなる企業は、導入の恩恵を受けやすいため、導入に適していると言えるでしょう。今回の記事で、導入すべき企業の特徴を理解していただき、導入の検討につながれば幸いです。

ダイナミックプライシング導入のメリットに関してはこちらからご覧ください。

デメリットに関してはこちらからご覧ください。

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ダイナミックプライシングとは?

EC小売業界で注目されるダイナミックプライシングの事例をわかりやすく解説

EC小売業界はダイナミックプライシングが長い間導入されてきて、実際に多くの成功事例が見られている業界です。この記事ではそんなEC小売業会のダイナミックプライシングの活用状況や機能、事例について解説します。

こちらの、ダイナミックプライシングについて網羅的に解説している記事もご覧ください。



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ダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」です。主に需給の変動に合わせて価格変更を行う形で活用されており、企業の利益最大化や混雑緩和など、多くの価値を発揮しています。

例えば、祝日のホテルや帰省ラッシュ時の航空券の様に、人々の需要が高まった商品や、供給が足りていない商品に対しては、価格を上げて利益を最大化します。また、これが混雑緩和に生かされることもあります。

逆に、人々の需要が小さくなった商品や、供給過多な商品に対しては、価格を下げることで、販売数を増やします
これがダイナミックプライシングの基本です。

それに加え、競合の価格を監視し、それを元に自社の価格を動かすアプローチや、売れる最大の値段に設定し続けながら商品を売り切るアプローチなど、業界によって多彩な手法が採られます。

EC小売におけるダイナミックプライシングの活用状況

EC小売 ダイナミックプライシング

ダイナミックプライシングが有力な領域の一つが、EC市場です。

消費者が特定の商品を購入する際の店舗選びは、その商品の販売価格が主要な基準となります。競合価格より安いことを売りにしている小売店はよく見かけられるかと思います。ビジネス構造上、価格が非常に重要な要素である小売業は、競合の価格や変動する需要に応じて価格を変動させることと非常に相性が良いのです。しかし、大量の商品を扱う小売店でそれを行うには、大量のデータと、データを元に正確な価格設定が行えるアルゴリズムが必要でした。これら可能になり、実用化されるようになったのが、海外では2000年代になってからした。

ダイナミックプライシングを導入している代表的なEC小売企業としては、10分ごとに商品の価格が変更されるAmazonと、オンラインストアで月に約50000回価格を変えるWalmartが挙げられます。Amazonがオフライン小売店との競争に勝利し現在の立ち位置を確保できた理由として、オフライン小売店よりも安い価格で商品を販売できたことが挙げられますが、この背景にはダイナミックプライシングによるスピーディーな価格変更があります。そしてオフライン小売で有名なWalmartは、オンラインストアで、もともとのEDLP(Every Day Low Price)戦略からダイナミックプライシングでの販売に移行し、現在はオンライン小売でも世界2位となりました。

EC小売においてダイナミックプライシングが非常に重要なシステムとなっていることが、これらの事例から見て取れます。そして現在はEC小売向けに多くのSaaS(Software as a Service)が世に出され、海外では個人店から大企業まで、大小問わずEC小売企業はダイナミックプライシングを導入するようになりました。一方日本国内では、まだ数は少ないのが現状ですが、小売向けのツールは少しずつ出てきています。

EC小売向けダイナミックプライシング 機能紹介

EC小売業界は、ダイナミックプライシングが導入される業界の中でもとても多くのSaaSが存在しています。ツールごとに固有の機能もあれば、サービス間で共通している機能も存在しています。今回は、ツールに広く搭載されている機能を4つ紹介します。

価格の自動変更

小売業者が扱う商品の数は、他の業種と比較すると、非常に多いです。数千から数万に及ぶ商品の価格を変動させることは容易ではありません。

オフライン小売店の中でも、最安値を売り文句にしている会社の場合、頻繁に商品価格を変更する必要があります。そしてそれは従業員が手で値札を入れ替える作業となり、勤務時間を圧迫するほどの作業です。

EC小売の場合、価格変更をオンラインで行なうことができるため、実際に店舗の値札を変えなければならないオフライン小売と比べて簡単ではありますが、ダイナミックプライシングツールを導入していない場合は、人間の手でPCを操作し、価格設定を変更する必要があり、これも大きな作業になります。またEC小売店は、Amazonマーケットプレイス、楽天市場、Shopifyなど多数のプラットフォームで販売を行っている場合があります。その場合、全てのプラットフォームで同様の価格変更を行なう手間は計り知れません。

そこで、自動価格変更機能を持つダイナミックプライシングツールを使用すれば、高速かつ簡単にに大量の商品の価格を変更できるようになります。ツールによっては、提案される価格にワンタップや自動で価格を変更することができ、大幅なコストカットにつながります。

もちろん、ダイナミックプライシングを導入せずとも、小売業者がよく売れる商品にフォーカスして値付けを行なうことで、あまりコストをかけずに価格変更をするケースはありますが、ニッチであるがゆえにあまり売れない多くの商品(ロングテール)の値付けは放置されます。しかし、ダイナミックプライシングツールの導入で、ロングテールまで適切な価格設定ができるようになれば、大きな収益向上が期待できます。

また、自動で価格が変わるために、社会情勢の変化などにより、需給のバランスが唐突に崩れた際に、速いスピードでそれに対応できるという利点もあります。

需給に応じたプライシング

ECの大量の商品の中で、全く売れない商品と、すぐ品切れになってしまう人気の高い商品は少なからず存在します。売れない商品は在庫処理のために値下げして販売量を増やし、人気商品は値上げして利益率を高めます。これは、変動する需給に応じて、売れる商品は高く、売れない商品は安く販売するという、ダイナミックプライシングの基本的な考え方です。

EC小売は、品数が膨大なうえに、価格変更タイミングが多いという特性上、天気などの複数の変数をもとに需要を予測することが困難です。そのため、EC小売向けダイナミックプライシングツールでは、商品の価格変更履歴と販売実績データを収集し、データに基づいて最適な価格を提示する機能が搭載されている場合が多いです。

競合他社のデータを元にしたプライシング

EC小売ならではの特徴として、価格設定時に競合他社の価格を参照することが多い点が挙げられます。競合他社の価格を自動で確認し、それを元にした価格変更を行う機能は、EC小売のSaaSによく見られます。また、その発展形として競合他社の供給量、在庫量を元にして、自社の価格を変更するプライシングモデルも存在します。

競合他社のデータを参考にしたダイナミックプライシングがEC小売業界で盛んな理由として、「消費者がEC店舗間で容易に価格を比較できる」というEC小売の特徴が考えられます。同じ商品や似た商品を取り扱うことが多い小売業において、「他社の価格よりも少し安くする」という他社価格を参考にしたプライシングが重要になるのです。また、前日の売り上げや当日の天気など複数の要素から値決めをするアルゴリズムは、ECの品数の多さを考えると導入が難しく、競合価格という単一の要素から値決めするシンプルなアルゴリズムを利用しているとも考えられます。

人間の手で価格を調整する余地がある(ルールベース)

小売向けダイナミックプライシングツールでは、AIにプライシングを任せきるのではなく、利用する小売業者が価格設定のルールや前提条件を定めることができます。
その例としては、

  • ・目標販売数
  • ・価格を変化させる商品の条件
  • ・価格変動の上げ幅、下げ幅
  • ・最高価格と最低価格

などが挙げられます。

こうしたルール/条件の設定のメリットとして、最低価格の設定による価格崩壊防止が考えられます。EC小売のダイナミックプライシングの黎明期、「設定した競合他社の価格より常に100円安い価格にする」などの競合他社の価格ベースに値段を設定するだけのオートプライシングという手法が存在しました。しかし、オートプライシングだけだと、価格競争どころかアルゴリズムによって商品の価格が崩壊してしまうケースがあります。例えば、二つの競合している企業が互いに、他社よりも100円安く価格設定を行う、というアルゴリズムでプライシングを行った場合、自動で値段が互いに下がっていき、値段は0円になってしまいます。このようなケースを防ぐためにも、最低価格や最高価格を定義できる「人間による調整余地」は重要となるのです。

 

これら4つの機能が搭載されているダイナミックプライシングをEC小売業者が導入するメリットとして、

  • ・需給のバランスが崩れた時に迅速な対応ができるようになること
  • ・価格設定にかかっていた時間を他の部分に当てられるようになること
  • ・利益率と売り上げの増加
  • ・在庫処理が簡単になること
  • ・競合他社の価格を確認する手間を省けること
  • ・顧客の価格の捉え方についての情報が集められること
  • ・競合他社に対する競争力を得られること
  • ・人間がプライシングに介在する余地もあるため、納得感のある値付けができる。

が挙げられます。

EC小売向けダイナミックプライシングツールは、この記事で紹介しています。

EC小売店のダイナミックプライシング導入事例

北アイルランドの大手独立系電気小売業者の「Donaghy Brothers」という企業が、イギリスのダイナミックプライシングSaaS企業「Black Curve」のサービスを導入したケースを見てみましょう。

Donaghy Brothersは、約6,000の製品の在庫を管理し、オンラインと実店舗の両方で販売していたのですが

  • ・少数の人気商品以外の売り上げが小さい
  • ・競合の迅速な価格変更に対応できない
  • ・競合の価格をどの程度参考にすれば良いのかわからない
  • ・値段を引き上げたいが顧客の反応が怖い

という課題を抱えていました。同社はBlack Curveのサービスを3ヶ月間、一部の商品に試験導入し、これらの課題の解決が見込めるかテストしました。

Black Curveのサービスは、これまで売れていなかった商品の在庫販売を目的として、競合他社の価格と自社の販売履歴データを活用し、人力で価格変更条件を設定したプライシングを行いました。

その結果、試用期間の3ヶ月で、これまで売れていなかった93点の商品の在庫を販売することができ、90000ポンドの収益増加を果たしたそうです。

参考 「Black curve

小売業界のダイナミックプライシングの展望

EC小売の黎明期には、単純に競合価格を参照にしたダイナミックプライシングがほとんどでしたが、現在は需給に応じたダイナミックプライシングをするツールなど、機能が多様化してきています。現在EC小売向けツールでは競合価格だけを参照して値付けするものよりも、競合価格と共に需給など複数の変数を参考にするツールの方が正確とされています。今後は後者のようなサービスを中心に、日本でもオンライン小売のダイナミックプライシングは広がっていくと思われます。

また、EC小売だけではなく、オフラインでの小売も、ビックカメラなどの家電量販店を中心に広がりつつあります。

オフライン小売のダイナミックプライシングについては、こちらの事例解説記事の一部で紹介しています!

EC小売業界は、ダイナミックプライシングが早くから導入された業界です。現在は様々なツールが存在しており、個人業者でも様々なメリットを享受することができます。高い投資利益率が見込める業界でもあるため、ECで小売を行っている方は導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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ダイナミックプライシングとは?

Jリーグでも!スポーツチケット販売で活躍するダイナミックプライシング

この記事では、ダイナミックプライシングの業界解説として、プロスポーツ業界について、海外の状況や日本の事例を踏まえながら解説していきます。

ダイナミックプライシングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。



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ダイナミックプライシングとは

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」です。主に需給の変動に合わせて価格変更を行うかたちで活用されており、企業の利益最大化や混雑緩和など、多くの価値を発揮しています。

例えば、祝日のホテルや帰省ラッシュ時の航空券の様に、人々の需要が高まった商品や、供給が足りていない商品に対しては、価格を上げて利益を最大化します。また、これが混雑緩和に生かされることもあります。逆に、人々の需要が小さくなった商品や、供給過多な商品に対しては、価格を下げることで、販売数を増やします

それに加え、競合の価格を監視し、それを元に自社の価格を動かすアプローチや、売れる最大の値段に設定し続けながら商品を売り切るアプローチなど、業界によって多彩な手法が採られます。

スポーツ業界のダイナミックプライシングの現状

スポーツ ダイナミックプライシング

近年注目が集まるダイナミックプライシング。実はサッカーのJリーグやプロ野球などのいくつかのスポーツの試合で既に取り入れられ始めています。スポーツチームがチケットの価格を需要に合わせて変動させ、収益と動員数の最大化を図っているのです。

スポーツのチケットの需要は、試合ごとに大きく異なります。その需要はシーズンのはじめに予測できるものではなく、試合が近づくにつれて刻々と変動するものでもあります。例えば、試合当日が雨予報となると、チケットを買いたいと思う人は減ってしまうでしょう。また、リーグが進む中でとある試合が、重要な試合になったら、観に行きたいと思う人は増えるはずです。

ここでスポーツチームの視点になってみましょう。

チームは、全席満員のかたちで観客を動員したいという思いがあります。しかし実際には、上記のように試合ごとに需要に大きな差があり、チケットの販売前に決めた価格のままでは人気の試合にだけ人が集まり、一方で人が集まらない試合も発生してしまいます。

需要に見合わない価格が集客を阻害する。この問題をを解決するために、ダイナミックプライシングが近年導入されるようになったのです。需要が小さくなると見込める試合の値段を安くすることで動員数を増やし、一方で大きくなると見込める試合の値段を高くすることで利益の最大化、および他の試合への観客の誘導を実現できます。

スポーツにおけるダイナミックプライシングは、アメリカでは、2009年にMLBのサンフランシスコ・ジャイアンツが導入したことから各種スポーツチームに広がり、現在はMLB、NBA、NFLといった大きなリーグのほとんどの試合で導入されています。海外では、Digonexという企業が、ダイナミックプライシングの開発では活躍しているようです。

一方日本では、ここ4年ほどで導入が進んでおり、野球やサッカーで取り入れられています。これまで固定価格で提供されてきたチケットの値段が変動することに対しては消費者から疑問の声が上がることもあり、まだ浸透しているとは言い難いですが、やはり収益が10%ほど向上する場合があるため、スポーツ業界全体で注目が集まっています。

ダイナミックプライシングの導入は、楽天のように自社で最適価格を算出する仕組みを開発しているチームもあれば、ソフトバンクのように外部の受託開発企業に委託しているチームもあります。このように外部委託先ができたことも、スポーツ業界でのダイナミックプライシングの盛り上がりにつながっています。

また、スポーツ業界におけるダイナミックプライシング導入の意義は、上記の「収益の最大化」以外にも、「盛り上がりの演出」「転売の防止」が挙げられます。ダイナミックプライシングを通じて、需要の小さかった試合に来場者を多く招くことができれば、会場に賑わいが出て、盛り上がりが演出できます。また、時間による需要の差を利用して儲けようとする転売に対しても、実際の需要の変化に応じて値段を変化させるダイナミックプライシングは防止策になりうると考えられます。

スポーツチケットのダイナミックプライシングの特徴

ダイナミックプライシングでは、時間と共に変化する需要をAIを用いた機械学習で予測し、さらにスタジアムの残り席数という供給(在庫)の状態も加味して、試合ごとのチケットの値段を決定していきます。

スポーツの試合の場合、もちろん値段を引き上げて、人気の試合の利益を最大化することも目的ですが、それ以上に人気のない試合を満席にすることが目的になっていると考えられます。というのも、観客が一人増えることによる費用(変動費)が、観客の入りに関わらない費用(固定費)と比較して非常に少ないうえ、一度観客が会場に入ってしまえば、グッズやフード・ドリンクなどチケット収入以外の収益源を獲得できるため、安くしてでも席を売り切ることが有益なのです。これは航空業界のダイナミックプライシングと似た部分のあるモデルです。

しかし、1980年代に導入を開始した航空業界と違い、スポーツ業界では2009年まで導入されませんでした。この原因は、需要予測の難しさにあると考えられています。需要予測では一般に、過去の繁忙期/閑散期データや天候・曜日などの変数に基づいて見込み需要を推定します。

航空業界の場合、繁忙期・閑散期の時期の明確さや人気航路の変化が激しくない上、需要に影響する変数が少ないため、需要予測が比較的容易です。一方スポーツのチケットの場合、天候やチームの状態、チームの順位など、需要に影響する変数が多いうえ、それぞれの変数は毎年同様のパターンを繰り返すわけではないため、需要予測が困難なのです。しかし近年のAIの発達により、多くの変数を元にした需要予測が可能となったため、導入が盛んになったのでしょう。

スポーツのダイナミックプライシングでは、チケットの販売状況、対戦相手や成績、天候情報、が価格決定の主要な変数となります。これらの時間と共に変動するデータ 及び データに基づく予測と実績のギャップをAIが機械学習していき、学習に基づいてその時点でのチケットの需要を予測をします。需要が高い場合はチケットの値段は上がり、需要が低い場合はチケットの値段は下がります。また、いくつかのチームではAIによる算出だけで価格を決定するのではなく、ルールベースと呼ばれる人間の手による調整も加えています。例えば、AIの価格決定の上限と下限を設定し、機械学習の変数として取り入れていない項目を手動で反映することで、価格決定を最適化させているのです。

スポーツチケットのダイナミックプライシングの導入事例

スポーツチケットで、ダイナミックプライシングは実際に収益増加につながっています。

海外の事例だと、イギリスのサッカーチームで初めてダイナミックプライシングを導入したDerby Countyは、30万ドルを超える収益増加を達成しました。

国内の事例としては、プロ野球の球団であるオリックスの例が挙げられます。試合の当日席の値付けがダイナミックプライシングで実施された結果、実施しなかった試合のうちで条件が実施時と近い試合と比べ、チケットの平均単価が2%安くなったものの、販売数量が17%、チケット収入が14%それぞれ多くなりました。

また、導入している有名サッカーチームとして、横浜Fマリノスが挙げられます。

2018年10月14日の横浜Fマリノス対鹿島アントラーズの試合でもダイナミックプライシングは活用されました。試合の1ヶ月ほど前の時点では、早割価格で安く販売していました。その後通常価格として、それよりも高い値段で販売していました。しかし、その後、そのリーグでの横浜Fマリノスの優勝が見えたていたため、需要が高まっていると判断され価格が急騰しました。その結果、利益が増加し、チームの収益は拡大しました。

参考:日経X TREND』自由席を3倍値上げ

スポーツ業界におけるダイナミックプライシングの今後の展望

スポーツの試合では、これまでにも席によって値段が違うなど、価格が同じ試合でも異なることに顧客の慣れが一定あるものの、時間によって価格が変動するダイナミックプライシングは、まだ日本では浸透しきっておらず、不信感を抱く顧客もいるようです。そのため、短期的な収益増加につながっても、長期的に顧客離れにつながってしまうリスクもあります。たしかに消費者の感覚として、私も高い値段で買ったチケットが、あとで値下げされたら少し損した気分になってしまうでしょう。

そのため、顧客の心理にも配慮しながら導入することが重要です。例えば、導入理由と、価格の変動要因を顧客に真摯に伝え、理解してもらうことがそのためにできることとして挙げられます。特にスポーツチームの場合、増えた収益がチームの強化に繋がるという、納得感のある説明がしやすいため、顧客の納得感は比較的得やすいのではないでしょうか。

ダイナミックプライシングは、スポーツチームの収益を最大化し、それをもとにチームの強化に投資することができる有用な手段です。これからも顧客満足度を下げない形での導入が期待されますね!

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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシング導入のデメリットは?リスクと解決策を解説

ダイナミックプライシングには、収益最大化など、魅力的なメリットがあります。しかし同時に、安易に導入することで企業に大きな悪影響を与えるリスクも抱えているのです。

この記事ではそのリスクと、解決のためにすべきことを解説します。ダイナミックプライシングについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参照にしてください。



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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」です。主に需給の変動に合わせて価格変更を行うかたちで活用されており、企業の収益最大化や混雑緩和など、多くの価値を発揮しています。

ダイナミックプライシングの基本は、需要超過や供給不足の商品に対して価格を上げて利益を最大化、需要過少や供給過多の商品に対して価格を下げて販売数の増加を目指しています。

また、競合の価格を監視し、それをもとに自社の価格を動かすアプローチや、在庫状況に合わせて価格変更を行い、商品を売り切るアプローチなど、業界によって多彩な手法が採用されています。

ダイナミックプライシング導入のデメリット

ダイナミックプライシングは収益最大化などの効果が期待できますが、一方で導入を誤ると顧客離れにつながる危険性もあります。

今回は、そのリスク・危険性を2パターンに分けて説明します。

デメリット1.導入への不信による顧客離れ

ダイナミックプライシングの導入のデメリットとして、消費者からの信頼を下げ、自社商品・サービスから離れていってしまうリスクがあります。

ダイナミックプライシングは近年、アーティストのライブやスポーツの試合のチケットに導入されるようになりましたが、まだ世間一般的に認識されているわけではありません。

そのため、ダイナミックプライシングにより大幅な値上げがあった際、顧客に「この企業は、自社の儲けだけを追求している」とみなされる可能性があります。ダイナミックプライシングは値下げも行いますが、顧客の心理としては、値下げよりも値上げの方が気になってしまうのです。

また、値下げがあった際にも顧客が不満を抱く場合もあります。

例えば、ある日7,000円で販売されていた飛行機のチケットが、翌日に6,000円に値下がりしたとします。7,000円の時に購入した顧客からすると、翌日に同じチケットが6,000円に値下げされた場合、損をした気分になり、不信感を抱くかもしれません。

このように価格を変動させることで、顧客はダイナミックプライシングを導入した企業に対して不信感を抱き、商品・サービスの購入を止め、長期的な利益を失うリスクがあります。特にダイナミックプライシングの馴染みが浅い領域では、導入の理由を納得感のあるかたちで伝える努力が必要です。

納得感を伝える施策として、「価格を左右させる要因とその公正さを顧客に伝える」ことがあげられます。それを怠ると、否定的なメディアの報道やSNSの炎上で顧客離れを引き起こしかねません。実際に公正な価格変更を顧客に伝達できている業界として、「航空業界」が挙げられます。ダイナミックプライシングを導入している航空会社は、残席数などを価格決定の要因として顧客に伝えてきました。結果、現在顧客はダイナミックプライシングを享受し、サービスを利用しています。このように、価格変動の要因を顧客にしっかりと伝えることで、公平だとみなしてもらうことも重要です。

そのため導入企業は、ダイナミックプライシングにより算出された商品価格の理由を説明する必要があり、アルゴリズムのブラックボックス化は防がなければなりません。

デメリット2.高騰した値段による顧客離れ

ダイナミックプライシングによる値上げは、価格そのものに対する不信感、言い換えれば「価格に見合ったサービスかどうか」に対する不信感を顧客が抱く危険性もあります。

例えば繁盛期のホテルでは、宿泊料が通常価格よりも何倍にも高騰することがありますが、提供されるサービスの質に違いが出るわけではありません。消費者からすれば、値段に対してサービスの質が低いと判断される場合があります。

ダイナミックプライシングを導入したという事実を顧客が知らないとしても、値上げされた価格に対して商品・サービスが見合っていないと判断し、顧客が離れてしまうリスクをはらんでいるのです。

ダイナミックプライシングを導入すると、このように顧客離れに繋がる可能性があります。それを回避するためには、導入前に、顧客が受け入れてくれるかどうかを考えること、そして導入する場合は顧客に導入理由と仕組みについて説明して納得してもらうように動くことがやはり重要になります。

実際にダイナミックプライシングが顧客に受け入れられず失敗してしまった事例を紹介しています。

まとめ

ダイナミックプライシングは企業にとって有益なシステムです。しかし、しっかりと顧客にその導入理由を伝える努力をすることを怠ると、顧客離れにつながり、長期的な損失を被ってしまいます。そのため、導入するべきだと判断したならば、企業はしっかりと顧客に導入理由や価格変動の要因を伝える努力をしていく必要があります。顧客との対話を真摯に行うことが、顧客離れのリスク回避には欠かせません。

今回は導入時の注意点について詳しく解説いたしましたが、もちろん大きなメリットがあるのがダイナミックプライシングです。メリットに関してはこちらからご覧いただけます。


ダイナミックプライシングの導入について検討されている場合は、こちらの記事をご覧ください。

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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングのメリット4選|決め手は収益の最大化!

この記事は、「最近耳にすることの多いダイナミックプライシングだけど、どんな利点があるのだろう?」とお考えの方にぴったりの記事となっています。

ダイナミックプライシングを導入することで一体何ができるようになるのか、それを4つ挙げて導入のメリットについて解説していきます。

ダイナミックプライシングが何なのかわからないという方はこの記事をご覧ください。


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ダイナミックプライシングのメリット4選

ダイナミックプライシングは価格を動的に変化させる価格戦略です。近年日本でも導入されることが増えてきていますが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか?この記事ではダイナミックプライシングを導入することの何が良いかということを解説していきます。

 

それでは、ダイナミックプライシング導入メリット4選を紹介します。

1.収益の最大化

ダイナミックプライシングの最大のメリットは、収益の最大化です。ここでは、一定価格での販売に比べて、DPでの販売がなぜ収益の最大化につながるかを解説します。

・一定価格での販売

まずは通常の価格設定、つまり一定価格での商品販売について解説します。

一定価格での販売

この図は、商品の価格と、その価格で販売できる商品の数量を表しています。商品の価格をA円に設定した場合、その価格でこの商品を消費者がほしいと思う度合い(=需要)から商品は最大でa個まで販売することができ、紺色部分(A円×a個)が実現可能な最大売上にあたる、というものです。

この商品がずっとA円で売れるならば特に問題はないのですが、実際には商品の需要は一定ではなく変動するものです。需要が小さくなると、Aの価格のままでは売れなくなってしまう時があります。一方で、需要が大きくなっている時でも同じ値段で商品を売り続けていると、本当はより高い値段でも買ってもらえたのに、その差額を逃してしまいます。また商品の在庫(=数量)が不足し、取引の機会をのがしてしまうかもしれません。

つまり、通常の一定価格では、需要が高い時には定価より高価での販売機会を、需要が小さい時には価格を下げれば獲得できたであろう販売機会を逃しているのです

・ダイナミックプライシングでの販売

ダイナミックプライシングでの販売

一方、ダイナミックプライシングを導入すると、価格はAだけでなく、BやCにまで引き上げたり、DやEに引き下げることができます。需要の変動や供給の状況に合わせて価格を変動させることで、収益を最大化させることができるのです。

需要が大きい または 供給が足りないと判断したときは価格を上げ、その値段でも購入する層からより多くの利益を得られます。また、夏休みに旅行に行きたい人が増えるような、一般的に需要が高まるタイミングなら多くの人たちがその層になると考えられますよね。さらに、飛行機など供給が限られる場合は、値上げにより需要の集中を抑え、需要が少ない時に購入するようにうながし、全体の収益を最大化します。

逆に、需要が小さい または 供給が多すぎると判断したときは価格を下げ、元の値段では購入を考えていなかった層から購入してもらい、販売数を増やすことができます。これには収益が増える、在庫処理をスピーディーにできるというメリットだけではなく、一定価格制では価格が高いゆえに商品に見向きもしなかった顧客に、自社製品を知ってもらえるというマーケティング的価値もあります。

つまりダイナミックプライシングでは、本来需要変動により生まれているものの、一定価格制のもとでは失っていた「定価より高価での販売機会」「販売する価格を下げれば獲得できたであろう販売機会」を逃さず掴み、収益を最大化できるのです。

2.より深い顧客の理解

ダイナミックプライシングでは商品の価格を何度も変動させますが、その中で企業側は顧客理解につながる情報を得ることが出来ます。それは「価格弾力性」「価格感度」「閾値」です。商品の価格決定をおこうなう際に、価格変更が需要に対してどのような影響を及ぼすのかを把握する必要があり、これらのデータはその役に立ちます。

しかし、「価格弾力性」「価格感度」「閾値」は、通常の一定価格制でビジネスを行っていては得ることが難しいデータです。プライシング改善のためにこのデータを得ようとすると、稀にある価格改定の結果から分析するか、専門的な調査(PSM分析など)を高いレベルで行うしかありません。しかしDPを導入すれば、実際に行う高頻度での価格変更を経てそうした貴重なデータを収集でき、既存商品や新商品のプライシングに活用することができます。

3.工数削減

ダイナミックプライシングの導入には、作業工数を減らすことができるというメリットもあります。

ここでは、ダイナミックプライシングが早くから導入されている小売業を例に説明します。小売業において、多くの場合価格は消費者の購入の決め手となります。そのため小売業界では競合他社の価格の把握が重要になります。価格が1000円他社より安いと選ばれ、逆に1000円高いと選ばれないかもしれません。しかし、競合価格の調査には非常に手間がかかります。一度把握できたとしても、小売業では大量の商品の価格が何度も変わるため、その都度膨大な調査をこなさねばなりません。

ダイナミックプライシングツールには、自動で競合他社の情報を抽出して価格決定を行う機能が搭載されている場合があります。導入すれば、競合価格の調査や大量の価格変更価格の反映も自動で行えるため、精度の高いプライシングを楽におこなうことができるのです。

EC小売業界のダイナミックプライシングについてはこちらの記事をご覧ください

4.安全な価格管理

人力でエクセルなどのツールを利用して価格の管理を行う場合、入力間違いや競合価格情報の見落としなど、ヒューマンエラーの可能性は捨てきれません。
ダイナミックプライシングを導入すると、ツール上で価格を管理し、システムやAIを活用し、そうしたミスを最小化することが出来ます。

ちなみに、コロナ禍でダイナミックプライシングが持つ「混雑緩和」という価値が大きなメリットとなってきました。それについてはこちらで解説しています。

まとめ

これらのように、ダイナミックプライシングの導入には幅広いメリットがあります。もちろん導入することのデメリットや注意点はあるものの、ダイナミックプライシングの導入は、収益最大化など、企業にとって有益な効果が期待できます。一度自社への導入を検討してみてはいかがでしょうか。

デメリットについてはこちらの記事を

導入方法についてはこちらの記事をご参照ください。

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ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングの歴史を徹底解説

「ダイナミックプライシングは理解したけど、起源は?歴史は?なぜ最近になって話題になっているのか?」この記事ではそんな疑問に答えます。今回は、ダイナミックプライシングの歴史を、商品の値決めの変遷とともに解説していきます

ダイナミックプライシングってそもそも何?とお思いの方は、こちらをご覧ください!


ダイナミックプライシングとは

まず、そもそもダイナミックプライシングとはなんでしょう?
一言で言うならば、

高頻度で価格を変更させる仕組み」です。

需給や競合価格などの変化する要因に対応して価格を最適に変更することで、企業の収益を最大化させています。

例えば、祝日のホテルや帰省ラッシュ時の航空券の様に、人々の需要が高まった商品や、供給が足りていない商品に対しては、価格を上げて利益を最大化します。逆に、人々の需要が小さくなった商品や、供給が過多な商品に対しては、価格を下げることで、販売数を増やします
これがダイナミックプライシングの基本です。

それに加え、競合の価格を監視し、それを元に自社の価格を動かすアプローチや、供給する商品の価値の変化を価格に反映するアプローチなど、業界によって多彩なアプローチが行われます。

メリットやデメリットについてはこちらで解説しています!

ダイナミックプライシングの歴史

「ダイナミックプライシングはつい最近登場した概念」と思うかもしれません。

しかし、実はダイナミックプライシングは、人間がずっと行っていた値決め方法の延長線にあるものなのです。
歴史的に見ると、商品の価格が一定だった期間は、値札が開発された1870年代からで、むしろ価格は変動的な方が主流だったと言っても過言ではありません。

原始的なプライシング

歴史 ダイナミックプライシング

値札が使われるようになる前は、商品の価格は消費者と店主の価格交渉で決まっていました。店主は、製品の需要が高い、または在庫が限られていると判断した場合、価格を引き上げて利益を最大化し、逆に在庫過剰の商品を処分したい場合は、価格を下げて販売量を増やしていたのです。

また、購入する人に応じて価格を変更することもしていたようです!例えば、お客さんがたくさんのお金を使いそうな場合、使うお金が少なさそうなお客さんの場合よりも、価格を高く設定する、などです。

ダイナミックプライシングを、勘に頼って手動で行っていたんですね!

 固定価格制の誕生

小売店 ダイナミックプライシング

しかし、このシステムは非効率的だったため、企業が大規模化するにつれて、すべての商品の価格を把握し取引ごとに価格を決定していくことは難しくなっていったようです。

そのため、価格管理のコストを大幅に下げる施策として、1870年代にタグが開発されたと言われています!(諸説あり)このタグの登場によって、店舗側は一度決めた価格を記録・表示しておけるようになり、価格決定作業を減らすことができたのです。

こうして、「取引のたびに価格を決めるシステム」から「一度決めた価格で取引を行うシステム」(=一定価格制)が生まれ、今でも商品の価格決定の主流になっています。このころから、現在の私たちに馴染み深い、商品タグによる価格管理が主流になっていたのです。

ダイナミックプライシングの復活と発展

商品タグの発明によってあまり使われなくなったダイナミックプライシングは、技術革新や法律改正があった1980年代を皮切りに、再び出現します!

先頭を走ったのは、アメリカの飛行機業界でした。
それまで政府によって厳しく規制されていた航空業界の座席価格が、1980年代の自由化に伴い航空会社で管理できるようになったことを契機に、アメリカの航空会社は数百万ドルを投資して、季節などの座席需要に影響を与える要素に基づいて価格を自動調整するコンピュータープログラムを開発したそうです。これが情報技術を使った初めてのダイナミックプライシングだと言われています。

その後、航空業界に続く形で、ホテルやクルーズなど、その他の旅行業界のプレイヤーもダイナミックプライシングを導入していきました。

2000年代中盤ごろ、EC小売市場では同じ商品が乱立した結果、消費者にとって”価格”が主要な商品の選択要因となっていました。したがって小売業者は、常に最適な価格で商品を提供するために、製品の価格を1日に数回上下させることが求められるようになりました。しかし小売業者は手動で価格調整を実施する他なく、時間的なコストがかかるうえに正確性が高いとは言い難いものでした。そこで、価格調整を自動化するソリューションとして、小売企業にもダイナミックプライシングツールが普及したのです。

初期のEC小売でのダイナミックプライシングツールは、競合価格をもとに値段を変更するだけの単純な仕組みしか持っていませんでした。競合価格だけではなく、実際の需給に応じてプライシングができるのは、当時は航空業界などの需要の変動が読みやすい業界だけでした。

しかし現在、商品ごとの需要の変動や供給量の変化も予測することができるEC小売向けSaaSや、需要変動が予測しにくいスポーツ業界での開発企業が登場しています。この背景にはAIの発達があります。AIを用いることで、自社のデータだけではなく、大量のビッグデータを収集し、分析し、これまでには扱えなかった複雑な条件を需要予測に加味することができるようになりました。需要予測の可能性が広がったことで、多くの業界でダイナミックプライシングを活用することできるようになり、現在わたしたちの暮らしに影響を与えるようになっています。

EC小売業界のダイナミックプライシングについて詳しくはこちらから

プロスポーツ業界のダイナミックプライシングについて詳しくはこちらからご覧になられます。

まとめ

もともと商品の値決めは、店主と客の取引のたびに調整されるため、決まった値段が存在しないものでした。一定価格制は、商品の値札を作り、たくさんの商品の値段を管理する手間を省くために生まれたものであり、本来収益を最大化するには、商品の値段をダイナミックプライシングで決定することはあたりまえだと言えます。

そのダイナミックプライシングは、現在、情報技術の発展、特にAIの発展により大量の商品や需要予測が簡単でない商品に対しても行えるようになり、需給や競合価格をもとに適切な値段設定を自動で行えるようになったのです。