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サブスクリプション

サブスクリプションにおける4つのビジネスモデル

サブスクリプションには、定期購入型モデル・頒布会(はんぷかい)モデル・利用権利型モデル・レコメンドモデルという4つのビジネスモデルがあります。この記事では、それぞれのモデルのメリット・代表例、また複数のモデルを組み合わせた事例を紹介します。


プライシングスプリント

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは、定額制で利用者に継続的に料金を支払ってもらい、商品・サービスを提供することです。

定額制ビジネスは歴史的に古く、従来は雑誌や新聞の定期購読などがありました。しかし、近年ではインターネットやITの進化や物流の進歩により、様々なサブスクリプションモデルが存在するようになりました。

サブスクリプションの4つのビジネスモデル

サブスクリプションの4つのビジネスモデルを紹介します。

定期購入型モデル

定期購入型モデルとは、顧客に対して特定の製品を販売するビジネスモデルです。扱われる商品は、飲料水やサプリメントなど、日常的に使用する商品になります。

例として、Amazonの定期お得便があります。Amazonの定期お得便は、洗剤や飲料水、カミソリの替刃など日常的に利用する商品の定期購入が可能です。全20カテゴリーの中から好きな商品の定期購入ができ、配送頻度や数量も「1ヶ月に1回」や「2ヶ月に3セット」など選択することができます。

定期購入型モデルのメリットとして、在庫商品の消費や売上に関する計画が立てやすいことがあります。定期的に買い足すのがめんどくさいという顧客の感じる課題に対して、定期的に配送するという手法を取ることで、在庫商品の消費や売上に関する目標を計画的に設定しやすくなります。

頒布会(はんぷかい)モデル

頒布会モデルとは、企業側が予めコース設定を行い、毎回異なる商材を販売するビジネスモデルです。扱われる商品は、日常的に利用するけれど、種類が多様な商品である、食品・酒などの飲料系、化粧品、雑貨などがあります。

例として、フランス発のMy Little Boxがあげられます。My Little Boxは、毎月コスメやメイクアップの詰め合わせが届くサービスです。専門家が厳選した商品であるということから信頼の高いサービスになっており、忙しい人や化粧品のサンプルを試したいという人が多く利用しています。

頒布会モデルを利用する顧客は、多種多様な商品の中から自分に合うものが選べないという人や新しい商品を試せる楽しみを求めている人が多いです。

そのため、頒布会モデルのメリットは、顧客側から商品の選択を任せてもらえるため、一般的なEコマースよりも在庫管理が容易になり、高い利益率を確保できることがあげられます。

利用権利型モデル(使い放題型モデル)

利用権利型モデルとは、企業がサービスやコンテンツの利用権利を顧客に貸与するビジネスモデルです。主に、ソフトフェアやデジタルコンテンツ、レンタルなどの、時間や金額に制限がかけられるものや場所になります。

例として、電子本の読み放題サービス「dマガジン」があります。月額400円を支払えば、dマガジンに掲載されている全ての本が読み放題になります。漫画からビジネス書まで幅広いジャンルの電子書籍が掲載されているため、幅広い層からの人気を得ています。他にもSpotify やLINE Musicなどもこのモデルです。

利用権利型モデルのメリットとして、リピーターを獲得しやすくなることがあげられます。会員登録した顧客でなければ、利用できないという条件を提示することや会員登録すれば、サービスが使い放題になるという手法を取ることによって、顧客は優遇されていると感じ、最大限にサービスを利用しようという消費者心理が働きます。その結果、顧客は利用できる権利に対しての満足感を得られ、リピーターの獲得につながります。

レコメンドモデル

レコメンドモデルとは、専門家や莫大な顧客データから顧客1人1人の好みや状況に合わせて商品を提供するビジネスモデルです。扱われる商品は、人によって好みが分かれやすい、ファッション・ヘルスケア・食品・デジタルコンテンツなどがあります。

例として、フィットネスアプリ「FiNC」があります。FiNCは、人工知能を搭載したパーソナルトレーナーが毎日の体重や睡眠、運動データを分析し、それをもとに顧客1人1人に合った美容や健康メニューを提案するサービスです。スマホのアプリで気軽に利用できる点や、個別の的確なアドバイスをもらえるという点で幅広い層から支持されています。

FiNCではAIを利用しており、レコメンドモデルはITやインターネットなどのデジタルコンテンツとの相性が良いビジネスモデルです。

レコメンドモデルのメリットとして、顧客からの信頼を得られることがあります。診断チャートや行動データなどをもとに、顧客の好みを効率的に集計し、専門家がその情報と自らの知見をいかして顧客にとって最適な商材やプログラムを選ぶという手順を踏んだ上で顧客にサービスを提供しています。

このような手順があることで、多種多様な選択肢かつ、正解がない分野においても、顧客にとって満足できる結果を導き出すことが可能です。

サブスクリプションのビジネスモデルの事例

サブスクリプションの4つのビジネスモデルは、それぞれで独立しているわけではなく、4つのモデルが交わりながら機能しているものも多く見受けられます。その中から、oisixとair Closetの2つのビジネスモデルを例に見ていきましょう。

oisix

oisixは、頒布会型を軸に他の3つのモデルを交えたサービスを展開しています。

oisixが提供しているおいしっくすくらぶでは、有機・無添加食品、ミールキットの会員制宅配サービスを主に行っており、「美味しいものセレクトコース」や「kit oisix献立コース」、「プレママ・ママコース」など用途に合わせて様々なタイプの定期宅配をおこなっています。この定期宅配の大きな特徴は、決まった食材の中で自分の食材を選ぶことができるという点です。

例えば、特定の食材にアレルギーがあるのなら、その食材の代わりに別の食材を選ぶことができます。こうすることで、「自分好みの商品が入っていない」や「当たり外れがある」という頒布会モデルのデメリットを解消しながら、さらに発展したサービスの提供を行っています。

oisixのビジネスモデルは、必要な商品を定期的に配送する定期購入型会員制のみ利用できる利用権利型・企業のコース設定のもとに定期配送する頒布会型・指定されたコースの中で自由に選ぶことができるレコメンド型と、全てのビジネスモデルを横断したサブスクリプションサービスサービスをおこなっています。

air Closet

air Closet とは、プロのスタイリストがそれぞれに合ったコーディネートを選び、配送してくれるファッションレンタルサービスです。会員として、一定額の料金を払うことで顧客の好みに合わせた「スタイルカルテ」をAIが作成してくれ、スタイリストがそれに基づいてコーディネートを選ぶという仕組みになっています。このようにair Closetでは、レコメンド型と利用権利型の2つのビジネスモデルのもとに展開されています。

まとめ

サブスクリプションモデルには、定期購入型モデル・頒布会(はんぷかい)モデル・利用権利型モデル・レコメンドモデルの4つがあります。古くから存在するサブスクリプションモデルも、ITやインターネットの発展により、多種多様なサービス形態を可能にしています。

例えば、定期購読の分野でも、紙媒体での雑誌や新聞の提供以外にオンライン上での定期購読という選択肢が追加されたり、割引だけでなくポイント加算精度を導入したりするなどがあげられます。

それだけでなく、oisixやair Closet の事例としてあげたように、4つのサブスクリプションモデルそれぞれが独立しているわけではなく、複数のモデルが組み合わさって成立しているサービスも数多く存在しています。サブスクリプションは、これからも4つのモデルの中で更に多様化していくサービスだということができるでしょう。

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コラム

ペネトレーションプライシング(市場浸透価格戦略)とは|低価格で市場シェアを高める価格戦略

ペネトレーションプライシングとは、低価格で製品を販売し、広く顧客を獲得するための価格戦略です。早期段階から高価格で販売するスキミングプライシングと対比されることが多いペネトレーションプライシングの戦略について、定義・流れ・メリット・デメリットを解説します。

ペネトレーションプライシングとは

ペネトレーションプライシングとは、新製品を市場に送り出す初期段階で価格を低価格に設定し、ある一定の期間でシェアを高める価格戦略です。

高所得者層をターゲットとしているスキミングプライシングに比べて、シェアを高めるために価格を低く設定するのがペネトレーションプライシングです。

ペネトレーションプライシングの流れ

ペネトレーションプライシングを行い、マーケットに浸透させるまでの流れの一例をステップごとに紹介します。

ステップ1:初期段階の価格を製造原価と同じかそれ以下に設定する

顧客の購買意欲を促進させるため、市場の競合よりもいかに低価格で提供できるかが重要であり、製造原価と同価格かそれ以下の価格に設定することが必要です。それにより、ターゲット層を広げられ、市場のシェアを高められます。

ステップ2:市場でのシェアが増えることで、製造量が増える

利用者数が増えることで、市場でのシェアが拡大します。製品のシェアを拡大できると、利用する人が増えるため販売量が増えます。販売量が増えることで、1単位あたりの生産コストを抑えることが可能になります。そのため、さらなる販売量増加と市場占有率の拡大を見込むことができます。

ステップ3:徐々に価格を上げる

低価格というブランドイメージとブランドの名前が浸透したことで、名前の知れた製品として信頼を得やすくなります。さらに市場シェアが高いので、利用者から製品への支持を受けやすく、一定の顧客からの利益を見込むことが可能です。この段階から徐々に価格を上げることで、利益を得ることができるようになります。

3つのステップをみても分かるように、ペネトレーションプライシングは、中・長期的に利益を上げていく価格戦略になっています。

ペネトレーションプライシングのメリット

初期段階での製品価格を低価格に設定しているため、活発な市場への参入がしやすいことがメリットです。

低い価格設定は、市場の大多数を占める低・中所得層の顧客にも購買を促すことができ、早期段階から市場におけるシェアを拡大させられます。市場の占有率が高くなると、知名度も顧客に知ってもらえることでブランドが浸透します。そうすることで、最終的には保守的で流行や世の中の動きへの関心が薄い層までにアプローチすることが可能です。

新しい市場に参入するにあたって、他の競合と比較してより顧客にとって魅了区的な条件を提示できる、つまり他の競合と常に差別化できることは、強みです。

ペネトレーションプライシングのデメリット

ペネトレーションプライシングのデメリットは以下の3つがあります。

利益を得るまでに時間がかかる

初期段階の価格を低く設定することで市場を拡大できる反面、利益を得るまでに時間がかかるというデメリットもあります。

ペネトレーションプライシングの初期段階では、投資額が利益より上回ってしまうことが予想されます。一連の流れがなければ、徐々に価格を上げて利益を得る段階まで到達出来ないことを考えると、中・長期的な視野が必要です。

そのため、ある程度の資金基盤がしっかりしている企業で行われることが推奨されます。

競合との価格競争に勝たなければならない

活発な市場でのシェアを狙うために、製品を低価格に設定するのがペネトレーションプライシングの意図です。

市場のシェアを狙うには、多くの人に受け入れられる価格設定である必要があります。市場の多くを占める低・中所得者層は一般的に、品質よりも価格に重きを置く傾向があるため、他の競合よりも低価格であることが求められます。

よって、常に競合との価格競争に勝つ必要があります。価格競争と同時に利益の獲得にも注目しなければならないため、初期段階での価格設定が非常に重要になります。

ブランドのイメージに影響する可能性も考えられる

低価格に設定することばかりを重視しすぎると、ブランドのイメージに影響する場合があります。

製品を購入する顧客は、価格と製品の質に一定の関係性があると感じる傾向にあります。そのため低価格に設定しすぎると、質が伴わないのではないかという懸念から顧客の信頼を失いかねません。

そうならないために、他競合よりも低価格かつ、製品に対する信頼を失わない価格設定にすることが必要です。

まとめ

ペネトレーションプライシングとは、新製品を市場に送り出す初期段階で価格を低く設定し、ある一定の期間で市場シェアを高める価格戦略です。初期段階で低い価格に設定し、顧客を獲得できるため、活発な市場で応用できる価格戦略です。

しかし、利益を得るには低価格から徐々に価格を上げていかなければなりません。「初期段階の製品を低価格に設定し、短期間で占有率を高める」という本来の目的だけでなく、その後どのように価格を上げて、どれくらいの利益を得るかという部分までの設計が必要になってきます。ペネトレーションプライシングは、十分な資金を調達できる基盤が整っていることが条件であり、長期的な視野を持つことが求められるでしょう。

価格戦略・プライシングに関してお悩みがある事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせ・相談してみてください。

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サブスクリプション

サブスクリプションのデメリットを企業・顧客目線で解説

もちろん、サブスクリプションモデルは顧客データを蓄えられる・売上が安定するなどのメリットがあります。一方で、サブスクリプションにおけるデメリットも考えられます。この記事では、サブスクリプションにおけるデメリットを企業目線・顧客目線から解説します。

サブスクリプションを導入する企業のデメリット

サブスクリプションを導入する際の企業側のデメリットを3つご紹介します。

短期的な利益・売上の低下

サブスクリプションの導入は、短期的な利益が見込めず、売上が低下してしまうことがあります。

サブスクリプションは、顧客に定額かつ継続的に課金してもらうことで、収益に持続性があるサービスです。顧客が手を出しやすく、かつ継続しやすい価格の設定が必要になります。

その反面、サービスを展開する上でシステム構築費用や新顧客獲得のための販売促進費用が必要になるため、顧客1人あたりの商品単価が下がります。サブスクリプションを提供する企業は、利益を得られるまでの期間を乗り切らなければなりません。

ビジネスモデルの転換に伴う社内混乱

ビジネスモデルの転換に伴い、既存の事業形態との価値観の違いにより、社内混乱が発生する場合があります。

既存の事業が製造・販売型のビジネスであれば、売れ行きの良い商品を開発し、短期的に利益を求めることが求められてきました。

しかし、サブスクリプションの場合は、少額の月額料金を継続的に積み立てることによって長期的に利益を得るという考え方に意識を変えなければなりません。それに伴い、顧客がサービスに求めるものも「サービスを所有する」というものから「サービスに出会ったり、体験する」という概念に変化することを社員が十分に理解する必要があります。

既存の事業やビジネスで通用していた概念や意識を根本から変える必要があるため、社内での反対が起こりやすくなります。社内教育などを通じて、社員が納得した環境で取り組むことが必要不可欠です。

業務オペレーションの変革

サブスクリプション導入により、業務オペレーションの変革を行う際に、部門ごとの負担に偏りが生まれてしまう場合があります。

サブスクリプションの企業側のメリットとして、「顧客との関係が構築されることで、サービス改善をしやすい」点があげえられますが、サービスを改善できるメリットが存在する反面、デメリットも存在します。

サービス改善が重要視されているため、常に改善を繰り返さなければいけません。サービスの解約率にも影響してくるため、サービスの開発部門は他の部門に比べて負担が大きくなります。

また、開発部門だけでなく、既存顧客からのデータを収集・分析するカスタメーサポート部門も大きな負担を担うことになります。カスタマーサポートの対応は、利用する顧客の満足度にも影響する重要な役割です。製造・販売事業では、営業部門が中心となって企業が動いて分、変革の際の社内での理解は必要不可欠になると考えられます。

サブスクリプションの顧客のデメリット

サブスクリプションサービスは、顧客にとってもデメリットが存在します。

長期間利用する場合はトータルコストが高くなる可能性がある

導入時の費用は低価格で済みますが、長期利用した場合トータルコストが高くなる可能性があります。

音楽や動画配信サービスなどの「コンテンツ系サービス」は、低価格かつ無制限でサービスを使用することできます。しかし、家電や自動車、ブランド品などのサブスクリプションなどの高価な商品におけるサブスクリプションサービスでは、長く使えば使うほど買った方が効率が良かったり、割安なことがあります。

全ての場合に共通するデメリットではありませんが、サブスクリプションによってはトータルコストが大きくなる可能性を念頭に、期間を限定した上で利用した方が良いでしょう。

サービスを利用していなくてもコストがかかる

サブスクリプションサービスでは、利用していなくてもコストがかかります。

音楽サービスや動画配信サービスなど支払い額が少額の場合、解約し忘れて支払い続けていたり、無料期間を過ぎて金額が発生したりしているケースがあります。日常生活の当たり前になっているからこそ気づかないことも多く、使っていなくても解約しない限り毎月の支払いが発生してしまいます。

契約しているサブスクリプションに関しては、支払い金額や解約したサービスは正式に解約されているか定期的にチェックする必要があるでしょう。

値上げのリスクがある

サブスクリプションサービスの値上げのリスクがあげられます。2020年に4月1日に施行された民法改正の際に追記される定形約款(定期取引)の項目において、事業者側はあらかじめ料金変更の可能性を明記していれば、契約期間中であっても随時料金を変更することが認められています。

代替サービスのない商品や比較的的料金が高額な場合は、値上げの可能性も踏まえた上で利用する方が良いでしょう。

まとめ

サブスクリプションは、これからも多くの業界で導入が加速していくでしょう。それにあたり、サブスクリプションモデルの新規事業開発や、既存事業をサブスクリプションモデルへの移行を検討している事業者様も多いと思います。

この記事では、サブスクリプションの企業側目線でのデメリットとして、「短期的な利益や売り上げの低下が考えられる」「ビジネスモデルの転換に意識変革の難しさ」「業務オペレーションの変革」をあげました。これら3つのデメリットは、社内環境の変化に対する社員の意欲の維持に影響してくるということができるでしょう。顧客のことを1番に考えることが必要なサブスクリプションサービスだからこそ、社員に対する対応が蔑ろになってしまいやすいので、気をつけた方が良いでしょう。

メリットでもご紹介した通り、今回紹介したデメリットに気をつければ、企業にとってメリットがあるだけではなく、顧客にとっても高い満足度が期待できるモデルです。ぜひご検討の際はプライスハックにご相談ください。

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コラム

キャプティブプライシングとは|ジレットのカミソリ事例からわかる価格戦略

カミソリ本体と替刃などの製品に用いられる主製品を低価格で、付属品を高価格で販売する価格戦略である「キャプティブプライシング」についてご紹介します。


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キャプティブプライシングとは

キャプティブプライシングとは、カミソリ本体と替刃のように「主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略」のことです。

高い価格に設定した付属品を定期的に購入してもらうことで、長期的なスパンで収益を得られます。

キャプティブプライシングのメリット

キャプティブプライシングのメリットは、以下のことがあげられます。

購入してもらいやすい

キャプティブプライシングを行なっている製品は付属品で収益をあげるため、本体価格を安く抑えて購入してもらいやすくなります。

初期費用が安く、どんな人でも製品が手にとりやすいため、新規顧客を獲得することが可能です。

高いLTV(顧客生涯価値)を見込める

キャプティブプライシングのメリットとして、高いLTV(顧客生涯価値)を見込めることがあげられます。

LTV(顧客生涯価値)とは、顧客から一生のうちに得られる利益のことを指します。

キャプティブプライシングでは、セットとなる付属品を定期的に購入することを前提としているため、収益を長期的にあげられるようになり、結果として高いLTVが見込めます。

キャプティブプライシングのデメリット

キャプティブプライシングのデメリットは、以下のことがあげられます。

付属品の価格設定が困難

主製品と付属品とそれぞれの価格設定が必要となるだけでなく、付属品の継続的に購買につながる価格設定が必要です。

付属品が高価格すぎると継続的な購買にいたらず、売上の損失に繋がる可能性があります。

顧客の購買意識を維持させるのが困難

キャプティブプライシングは顧客がサービスを活用し付属品を長期的に購買し続けることで収益化に繋がります。そのため、継続的に購買をしている間に他社の類似製品と比較されがちです。付属品の商品価値を上げるなどの手段で顧客が価格に納得感を持ち続けるようにする必要があります。

キャプティンブプライシングの実際の例

カミソリ本体と替刃

カミソリ本体と替刃の関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

実際に、ジレットでは「消耗品モデル」という名前で、キャプティブプライシングを行っています。カミソリ本体の値段は抑え、付属品である替刃の部分の価格を高く設定するというビジネスモデルを確立したので、このようなモデルは「ジレットモデル」とも言われています。

プリンターとインク

プリンターとインクの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

ここでは、エプソンのプリンターの例をご紹介します。エプソンのプリンター本体価格は、6,000円から20,000円の間が相場となっています。

印刷する際に必要なプリンターのインクは、純正のエプソンプリンター専用のインクを使用することが推奨されており、1セット6,000円で販売されています。

プリンター会社が作っていない互換インクだとより安く購入することができますが、エプソンのプリンター自体が専門のインクを指定しているので、インクから安定して収益を得ることが可能です。

コーヒーメーカーとカプセル

コーヒーメーカーとカプセルの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

主製品となるコーヒーメーカーは、比較的安い価格で販売している一方、コーヒーメーカーにいれるコーヒーカプセルを高い価格に設定することで利益を得られる仕組みになっています。

具体的な例として、ネスプレッソのコーヒーメーカーを見てみます。ネスプレッソのコーヒーメーカーは、12,000円から購入することができます。そこにいれるコーヒーカプセルは、1セット30カプセル約3,000円の値段がします。1日2回飲むとしたら、1ヶ月で6,000円12ヶ月で72,000円になります。付属のコーヒーカプセルを定期的に購入してもらうことでコーヒーメーカー以上の利益を出すことができます。

SaaS + a box

SaaS + a boxとは、近年話題になりつつある、最新のビジネスモデルです。ハードウェア製品に加えて、月額課金のオンラインサービス提供をすることで、満足度を高めることができるため、非常に注目が高まっています。

実は、このモデルは、キャプティブプライシングの例だと言えるのです。SaaS + a boxでは、ハードウェア製品を高い機能に対して比較的安く提供します。

lovotというサービスでは、ハードウェア自体は原価で販売する一方で、月額課金のオンラインサービスを提供し、収益をあげています。これは、キャプティブプライシングを利用しているといえるでしょう。

具体例としては、オンラインフィットネスのPelotonが挙げられます。現在アメリカで大流行しているサービスで、ランニングマシンやサイクリングマシンといったフィットネスマシンのハードウェアと、月額課金のレッスン動画などのフィットネスサービスを販売しています。

フィットネスマシンの効果を最大限発揮するには、月額課金のフィットネスサービスを利用する必要があるため、月額課金での安定した収益をあげられます。SaaS + a boxはキャプティブプライシングを使った画期的なビジネスモデルといえるでしょう。

まとめ

キャプティブプライシングとは、主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略のことです。

主製品と付属品のビジネスモデルを確立した「ジレットモデル」を参考に、ネスカフェやネスプレッソなどのコーヒーメーカーの価格戦略が誕生したと言われています。このことから様々な製品に応用することができる価格戦略だということができるでしょう。

デメリットでも解説しましたが、主製品と付属品の価格の設定を適切に行うことが重要になってきます。キャプティブプライシングは、顧客の購買意欲を継続的に保つ価格で行うことが成功の鍵になってくるでしょう。

 

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コラム

スキミングプライシング(上層吸収価格)とは|iPhoneの事例からわかる価格戦略

この記事では、スキミングプライシングについてご紹介します。「スキミング」という言葉を聞くと、カードの情報を読み取って不正に使用することだと思っている人もいるかもしれません。

ですが、スキミングプライシングとは、価格設定における戦略の1つであり、不正利用とは全く別の概念になります。スキミングプライシングについて、メリットやデメリット、注意点などを分かりやすく解説します。


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スキミングプライシングとは

スキミングプライシングとは、「初期段階の製品を高価格に設定し、早期に投資資金を回収する価格戦略」です。

スキミングプライシングは、活用次第では製品をマーケットに浸透させることができます。スキミングプライシングを行い、マーケットに浸透させていくまでの流れの一例をご紹介します。

ステップ1:新しい製品を早期から受け入れてくれる顧客を探す。
ステップ2:顧客からフィードバックをもらい、製品の改善する。
ステップ3:徐々に価格を低下させ、ターゲットを拡大する。
ステップ4:ターゲットを全市場に拡大する。

ステップ1:新しい製品を早期から受け入れてくれる顧客を探す

ステップ1の顧客とは、高価格でも買ってくれる層のことを指します。新しい製品に早期の段階から興味を持ち、受け入れてくれる人をターゲットにすることがポイントです。

このような顧客は市場での割合は少ないですが、固定化することが出来れば早期に投資資金の回収が可能になります。

ステップ2:顧客からフィードバックをもらい、改善する

早い段階から受け入れてくれている顧客から評価を聞くことでより良い製品に改善することができます。

ステップ2では、価格と製品の質の満足度をあげた上で市場を拡大することを視野に入れて行動します。この段階をいかに効率的に進行できるかによって、競合の参入を防げます。

ステップ3:徐々に価格を低下させ、ターゲットを拡大する

より良い製品に改善した後、徐々に価格を低下させることで、ターゲットを拡大します。

ステップ3でターゲットとする顧客は、製品を購買するかの意思決定に関しては慎重でありながらも新しい製品への関心が高い層です。

このような顧客は、口コミを信頼材料としているケースが多いため、早期から自社の製品を使用している顧客の評価をより一層重視する必要があります。

ステップ4:ターゲットを全市場に拡大する

ターゲットを全市場に拡大するためには、製品が市場においてどの程度一般化されているかが重要になります。

全市場をターゲットにする場合、周囲を見て判断する顧客や保守的な顧客も入ってきます。信頼性の面でもステップ3の基盤を固められているかにかかっています。そのため、ターゲットを全市場に拡大する前に、ターゲットの中でどれだけ一般化できているかを確認する作業を行った方が良いでしょう。

スキミングプライシングのメリット

スキミングプライシングには、3つのメリットがあります。

1.資金の早期回収ができる

早期段階で顧客を獲得することで、顧客に企業側の希望する価格を提示することが可能です。そのため、早期の段階から高い収益をあげられ、研究費や宣伝費を早期に回収できます。さらに資金の早期回収をすることで、開発した製品の改善のための費用も確保できます。

2.ブランドイメージを確立することができる

顧客に初期段階で高価格な製品に興味を持ってもらうには、顧客側の立場になって考えてみることが必要です。高価格でも購入する製品は、分野において革新的な特性を持つことがあげられます。ステータスを求める顧客に対して、最先端の製品を高価格で提供することで、製品のブランディングに役立ちます。

3.ターゲットを拡大できる

早期の段階で新製品の顧客を獲得しておくことで、口コミによって実際に広い顧客層に対して宣伝することが可能になります。関心がある顧客だけでなく、興味を持っていない顧客層までを最終的に狙うことができるというのがスキミングプライシングの強みです。製品の機能や価格の面でどの層にも受け入れられる製品に仕上げることが必要になってきます。

スキミングプライシングのデメリット

一見、メリットが多い印象のスキミングプライシングですが、デメリットもあります。

競合が参入しやすい

スキミングプライシングにより、革新的な新製品を高価格で販売することに成功すると、競合が安い価格で参入してくる可能性が高いです。

スキミングプライシングの特徴として、初期段階からの支持層の評価にもとづいて、改善を行うことがあげられていました。より良い製品を提供できるようになる反面、より多くのターゲット層に浸透するまでに時間がかかるため、競合の参入を許してしまいがちになってしまいます。

代替商品が世に出回ると、顧客が選べる選択肢が増え、どうしても高い値段では買われにくくなってしまうことが問題点としてあげられます。そうならないために、類似品が出る前に独占的な利益を獲得する必要があります。

スキミングプライシングの注意点

メリットとデメリットを理解した所で、スキミングプライシングを導入する際に注意しなければいけないことについてご紹介したいと思います。

1.高い価格に見合う製品の質が求められる

スキミングプライシングでは、製品に高い価格を設定することになります。それにより独自のブランドを築くことができますが、それには初期段階での価格と製品の質が釣り合っていることが非常に重要です。

仮に製品の質が見合わないまま製品の価格だけを高く設定しても、顧客から信頼されるブランドは築けない上に、初期段階での顧客の集客は見込めません。そのため、まだ市場に競合がいない製品や分野において革新的な特性を持つ製品でないと、スキミングプライシングを行うのは難しいでしょう。

2.価格弾力性が大きい製品では難しい

スキミングプライシングを価格弾力性が大きい製品で活用することは非常に難しくなります。

価格弾力性とは、価格の変動によって製品の需要と供給が変化する度合いのことを言います。価格弾力性が小さい製品では、商品価格の差が購買意欲にあまり影響をおよぼしません。製品の価格を高く設定しても、高い製品価値を生み出すことができれば顧客に選んでもらえます。一方で、価格弾力性が大きい製品を高い価格に設定してしまうと、低価格で提供する競合に勝つことは難しいです。

スキミングプライシングと事業領域

スキミングプライシングの応用をしているのが、アップル社のiPhoneです。アップル社は、iPhoneを売り出す際にブランドイメージを重要視しました。

ブランドイメージを確立するため価格を高価格に設定することで、確固たるブランドイメージを植え付けるだけでなく、高価格の製品を早い段階から受け入れてくれる顧客の興味を引くことに成功しました。

それと同時に発売前からiPhoneの宣伝を積極的に行なうことで発売予定日が決まる頃には、顧客のiPhoneに対する関心を最大限まで高めました。当時の携帯電話よりiPhoneがどれだけ優れているかを比較するという手段を使うことで、価格と質の釣り合いも証明することが出来ました。

アップルの応用例をみても、スキミングプライシングは、特にハイテク産業と相性が良いと言えます。常に最先端を追求され、そのために莫大な資金を必要とする事業が向いていると考えられます。

まとめ

スキミングプライシングとは、初期段階の製品を高価格に設定し、早期に事業の投資資金を回収する価格戦略です。

主に初期段階の価格戦略であるため、導入後の戦略は様々です。スキミングプライシングの例として取り上げたアップル社は、その後も価格を変えずに市場を伸ばしています。

一方で、スキミングプライシングの流れの中で紹介した様にターゲット層を広げるために低価格にしていく価格戦略も考えられます。

「初期段階の製品を高価格に設定し、早期に投資資金を回収する」という本来の目的を達成するためには、初期段階での顧客の存在なしにはなし得ません。初期段階での顧客によって、その後の市場のターゲット層や価格が変わってくると考えられます。企業ごとにターゲットとしたい層を確認しながら、市場を広めることが必要になってくるでしょう。