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PSMの分析の交点の取り扱い方について解説

(この記事は、PSMの分析の交点の取り扱い方について解説の解説記事です)

【質問】
PSM分析を行いました。最高価格や最適価格など、どれを選べば良いのでしょうか。基準など様々だと思うので具体的な事例などがあれば教えて欲しいです。
【回答】
4つの交点の中から価格を選ぶというプロセスは間違っています。ターゲット層やビジネスの目的を踏まえた上で価格を決定しましょう。

PSM分析を用いた価格決定のやり方

PSM分析では、まずアンケートを用いて4つの質問を行います。以下の4つの価格を回答者に答えてもらいましょう。
・高すぎて検討に乗らない価格
・高く感じる価格
・安く感じる価格
・安すぎて品質が低いと感じる価格

注目するべき価格

この4つの中で特に大切なのが「高すぎて検討に乗らない価格」と「安すぎて品質が低いと感じる価格」の2つです。前者よりも高い価格で売ってしまえば、高すぎてお客さんに買ってもらえません。同様に、後者よりも安い価格で売ってしまえば品質に不安を持たれてお客さんに買ってもらえません。これらのことから逆に、この2つの価格の間の金額で売ればお客さんは買ってくれるだろうと考えられます。PSM分析の結果を見るときは、この仮定を置くことが大切です。

数量(客数)と売上の推計

先ほど挙げた2つの価格に注目することで、それぞれの価格にした場合どのくらいのお客さんが買ってくれるか推測できます(数量の推計)。売上は「単価×数量」で求まるので、この方法で推計した数量を用いることで売上の推計も行えます。
このとき注意が必要なのが、お客さんの数が最大になる価格と売上が最大になる価格は一般的に異なるということです。事業戦略を踏まえてどちらを優先するべきか考えましょう。その上で価格決定を行う必要があります。

PSM分析の落とし穴

アンケート回答者の結果すべてを用いて数量や売上の数量を推計してはいけません。セグメント分けをした後で、推計を行いましょう。

あるサービスを同じ価格で売っても、購入してくれるペルソナと購入してくれないペルソナが発生します。購入してくれないペルソナが自分達のターゲットであるならば、その価格設定は間違えていますし、ターゲットでないのならば問題ない場合もあります。つまり売りたいセグメントを決めて、そのセグメントごとに購買推計を行うことが重要です
セグメント分けは複数条件の掛け合わせによって行います。例えば、toCであれば収入・性別・居住地・同居人の人数など。toBの事業であれば、その会社の従業員規模・業界・部門・経済インパクトなどです。これらを掛け合わせて「男性×30代×東京在住」のようにペルソナを設定します。
PSM分析は1度行うだけではありません。掛け合わせる条件を変えてみるなど、何回も行ってみる必要があります。それを行うことで最終的に、ターゲットとするペルソナに買ってもらえ、顧客数の確保ができる。そして、目標とする売上も達成できる。といった価格を見つけることができるはずです。

まとめ

今回はPSM分析における交点の扱い方について解説しました。4つの交点を見て価格を決めるというのはあまりレベルの高いプライシングではありません。今回説明した方法を用いることでプライシングが上手くいくので、是非チャレンジしてみてください。

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【ステルス値上げ】値段を変えずに内容量を減らすのはありなのか?

(この記事は、【ステルス値上げ】値段を変えずに内容量を減らすのはありなのか?の解説記事です)

【コメント】
値上げをしない企業は商品を小さくする策を取りますが騙された気分になります。
【返答】
そのような実質の値上げをステルス値上げと呼ぶことがあります。今回はステルス値上げの是非について説明します!

ステルス値上げはありなのか?

おすすめできる場合とおすすめできない場合の両方があります。一部のおすすめできる商品を除いて、基本的にはあまりおすすめできません

値段を上げない代わりに、商品を小さくしたり中身を減らしたりして利益を上げる方法をステルス値上げと呼ぶことがあります。ステルス値上げをおすすめできる場合について、例を用いて説明します。

ステルス値上げをおすすめできる例

「このサービスだったらこの金額」と価格がその商品の象徴になっているサービスではおすすめです。例えば、うまい棒がこれに該当します。

価格を訴求点として用いる場合や、サービスのブランディングに使用している場合は価格が非常に大事です。このような場合、安易な価格変更は良くないでしょう。利益向上の代替案としてステルス値上げを検討してみても良いと思います。
このような例として、うまい棒が挙げられます。先日10円から12円への値上げが発表されましたが、「うまい棒 = 10円」という認識をもっている方も多いのではないでしょうか。

ステルス値上げのデメリット

ステルス値上げにはお客さんの満足度が下がるというデメリットがあります。そのため、安易に行ってしまうのは良くないでしょう。

内容量が減ったことに対してポジティブな感情を抱くお客さんはほとんどいません。サービスのブランディングという観点でもこれは良くないと様々な研究で言われています。
なので、ステルス値上げをする前に支払い意欲調査を行うことを推奨しています。支払い意欲調査をした結果、値上げをしてもお客さんが買ってくれることが見込まれるのならば、サービスを変えずに値上げした方が受け入れられやすいです。
値上げに対してネガティブな印象を抱く経営者の方もいますが、お客さんが払える範囲での値上げであれば問題ないと私は考えます。値段を維持することに固執してサービスの質を下げても、お客さんの反感を買ってしまうリスクがあります。

まとめ

基本的にステルス値上げはおすすめできません。例外として、うまい棒のように価格がそのサービスの象徴となっている場合では検討してみる余地があります。ステルス値上げをする前に、まずは支払い意欲調査を行って本当に値上げできないのか検討してみましょう。

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【価格変動制】ダイナミックプライシングの今後について解説

(この記事は、【価格変動制】ダイナミックプライシングの今後について解説の解説記事です)

【質問】
今後あらゆるサービスの価格がダイナミックプライシングになっていくと聞きますが、本当にそう思いますか?
【回答】
私はそうは思いません。サービスの価値が一定であるのに価格が変化することは、顧客目線からして満足度が高くないためです。

本日も質問に回答していきます!ダイナミックプライシングとは、高頻度で価格が変化する仕組みのことを言います。例えばホテルに宿泊するとき、直前になると高くなったり安くなったりと、アクセスするタイミングや時間によって金額が異なります。飛行機の航空券も同様です。このように時間単位で次々と価格が変化していく仕組みのことをダイナミックプライシングと言います。コロナ渦においてニュースなどで取り上げられる機会が増えたことが最近流行っている理由であると思います。

ダイナミックプライシングについて

ダイナミックプライシングはディズニーランドが導入したことで最近注目されている価格決定方式です!

ダイナミックプライシングはホテルや航空券など、キャパシティーのあるビジネスとの相性が良いとされています。限られたキャパシティーの中で売り上げを最適化するために価格を変動させているのです。最近ではコロナウイルス蔓延の影響から、入場制限を設けるテーマパークが増えています。課された入場制限の中で売り上げを向上させようと、ダイナミックプライシングが1つの選択肢として出てきたのです。

ダイナミックプライシングの概念

ダイナミックプライシングの概念は「機会損失を無くして販売利益を最大化する」というものです。高くても購入する層に対して金額を上乗せできないか?安くしないと購入しない層にもアプローチできないだろうか?といった問いに価格変更でアプローチし、販売利益を最大化しようとするものです。
しかしながら、私はこの概念自体がおかしいと考えています。サービスの価値が一定であるのにも関わらず価格が変更されることは、顧客目線で考えたときに好ましくありません。同じサービスに高く支払ってしまった人には、サービスの体験として嫌な感覚が残ってしまいます

過去の失敗事例

ダイナミックプライシングの失敗事例として、海外の自動販売機での導入事例があります。

海外の大手飲料メーカーが、自販機でダイナミックプライシングを導入した事例があります。暑い日はジュースの値段を高くして、そうではない日は安く設定しました。しかしながらこの施策は顧客からの評判が悪く、炎上の末にプロジェクトが頓挫したようです。
このことからもダイナミックプライシングの抱えるリスクが分かると思います。同様のサービスにもかかわらず価格が変化することは、顧客目線で納得し難いことなのです。付加価値が変わらない状況で損する人と得をする人がいるため、多くのユーザーにとって受け入れられない価格決定方式なのです。そのためほとんどのビジネスにおいて今後導入されて行かないと予想されます。ダイナミックプライシングが流行しているからといってむやみに導入すると、失敗する可能性が高まります

ダイナミックプライシングの成功事例

商材の特性によってはダイナミックプライシングがうまく機能する場合もあります!

それではなぜホテルや航空券の販売ではうまく機能しているのでしょうか。機能している理由として次に2つが挙げられます。1つ目は「もともとそういう文化があったこと」です。レベニューマネジメントとも言われますが、もともとこの手法が使われてきた業界であれば成功しやすいです。2つ目は「価格が変動しても、付加価値として受け入れられるから」です。旅行を例に考えてみましょう。ホテルなどの予約が埋まってしまうと旅行の体験が台無しになってしまいます。事前に高く支払ってでも予約をすることで不安を解消できます。早い時間に予約することで精神的な安定が得られます。これが消費者にとって付加価値と認識され、受け入れられているのです。
「時間の変化に伴って価格を変えても、高く支払う人にメリットを与えられる」このようなビジネスであればダイナミックプライシングとの相性が良いと言えます。しかしながら、ほとんどのビジネスはこれに当てはまりません。今後あらゆるサービスの価格がダイナミックプライシングになるとは考えていません。サービスの価値に基づいて価格を決定するといった、本質に基づいた価格決定方法が大切です。

まとめ

本日はダイナミックプライシングについて解説してきました。ダイナミックプライシングと相性の良いビジネスは存在するものの、多くのビジネスにおいては推奨されません。推奨されない多くのビジネスではサービスの価値に基づいたプライシングを行っていくことが大切です。

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価格を決める際にABテストは有効か?

(この記事は、価格を決める際にABテストは有効か?の解説記事です)

【質問】
価格を決定する際、調査ではなくABテストで価格を決めれば良いのではないでしょうか?
【回答】
ABテストを行う際にも入念な調査が必要です。炎上リスクも考えると、PSM分析を用いることを推奨します

今回も質問に対して回答していきます。私は価格の調査方法としてPSM分析を推奨していますが、「そんな面倒なことしなくてもABテストを実施すれば分かるのではないか?」という意見もあると思います。しかしながら様々な理由からABテストはおススメできません

価格を決める際にABテストは有効か?

ABテスト自体は有効な方法の1つです。ただし、価格分析に用いることはオススメできません。

ABテストでは実際の顧客の行動をベースに価格を決定します(スプリットテスティングプライシング)。LPにおいては「スプリットテスト」が主に用いられます。これは数パターンの仮説を基に表示を変更し、表示ごとのクリック率変化を分析する手法です。この手法には「顧客の行動に基づくため信憑性が高い」「断定することができるため、迷いなく意思決定を行える」というメリットがあります。

ABテストの弱点

実はABテストは非常に手間のかかる手法なのです。リスク対策や精度を高めるための事前調査などが必要です。

ABテストは非常に手間がかかります。例えば炎上リスクに対処する必要があります。
1,680円と1,880円で同じ商品の価格をテストした場合について考えてみましょう。この2つの価格で販売したとき、1,880円で購入したお客さんは200円の損をすることになります。「1,880円で購入してくれるお客さんは高くても購入したいと考えている。だから高く売ってもよいのではないか」と考える方もいるかもしれません。ですが、同じサービスをより高い金額で購入したいと思うお客さんはほとんど存在しません。
このようにABテストはお客さんの不満に繋がり、炎上によってブランドが傷つくリスクもあります。それでもABテストを行いたい場合は1,880円で販売してから1,680円で販売しましょう。実際に支払った金額が顧客間で平等になるため実質損をしていない状態を作ることができます。もしくは、実験を行っていたことを後で伝えて、損をさせてしまった分を返金する形をとりましょう。しかし、これらの手法には、「顧客の支払う金額を平等にする作業」に手間がかかってしまうのです。

ABテストに必要なサンプル数

顧客の購買データを分析していくためには膨大なサンプル数が必要です。十分なサンプル数を集められないと有意な結果が得られません。

統計的に有意な数字を作るためにはPSM分析で100〜200サンプル、スプリットテストでは1万〜2万サンプルが必要です。ユーザー数の多いサービスであれば問題ありませんが、そこまでのユーザー数を保持しているサービスは少ないと思います。立ち上げ段階やグロース段階では統計的に有意な数字が得られない場合が多いです。

実はABテストの方が労力が大きい?

ABテストを行う際には事前調査が必要です。調査せずにABテストを行うことは「適切なデータが得られない」「炎上リスクが上がる」という点からオススメできません。

ABテストでは仮説出しのために別の調査を行う必要があります。PSM分析でもABテストと変わらないレベルの精度で結果がでるので、敢えてABテストを用いる必要はありません。
またABテストを実施する際には、データに差が出ないよう条件を調整する必要があります。ECサイトでのアイス販売を例に考えてみます。冬と夏で異なる金額で販売しても、そもそも顧客の購買意欲が異なるため適切なデータが得られないでしょう。
とはいえ、どの条件がデータに変動を及ぼすか想定することは非常に難しいです。
仮説出しに労力がかかる上に、支払い意欲の差を発見するためのペルソナ特定にはかなりの調査が必要になるためABテストはかなり労力がかかるといえるでしょう。

ABテストを行うべきケース

ここまでABテストを否定してきましたが、行うべき場合もあります。1つ目はダメ押しをしたい時です。アンケートの精度が高いとはいえ、顧客の実際の動きに勝るFACTはありません。FACTを取りに行きたい時にABテストはおススメです。2つ目は調査で判明した価格よりも高い価格で売りたい時です。ABテストで検証した結果売れるのであれば、その価格で販売しても問題ないでしょう。より高額での販売を望むならABテストを用いる価値ありでしょう。これら2つの場合においてはABテストは非常に有効です。実施してみても良いのではないでしょうか。

まとめ

今回はABテストについて解説しました。ABテストを行う際にも入念な調査が必要なのです。炎上リスクも考えてPSM分析を用いることを推奨します。
ABテストの実施は非常に大変なので、今後の動画で解説していけたらと考えています。

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プライシングの基本について徹底解説。価格設定の3Cとは!?

(この記事は、プライシングの基本について徹底解説。価格設定の3Cとは!?の解説記事です)

本日はプライシングの基礎について説明します!プライシングは3Cである、  Cost(コスト)、Competitor(競合)、Customer(顧客)の3つの観点で考えることが重要です。これを踏まえて本日は3つのプライシングについて解説していきます。

【この記事の結論】
・プライシングには主に3つの方法がある!
・バリューベースプライシングがオススメ!
・コストよし、競合よし、顧客よしの3つを全てクリアしよう!

価格の3Cの重要性

プライシングは3C(コスト・競合・顧客)の3つの観点で考えることが重要です!

例えば、いくら価格を安くして多く売れたとしても、コストが高くて利益を確保できていなければ売れば売るだけ赤字の状態になってしまいます。競合の価格を考慮した上で自社のサービスの価格を考えることも非常に重要ですし、この金額でお客さんは払ってくれるかどうか検討することも重要です。
高価なサービスだとお金持ちの人が購入し、反対に安いサービスであればお金持ちではない人が買っていくケースが多いと思います。
これらの観点から自分達のサービスを誰に対して売っていきたいのか、どういったサービスにしていきたいのかを考え、それに対してお金を支払ってくれる人はどういった人であるか考えることが非常に重要です。これらを踏まえ、3つのプライシングについて解説していきます。

3つのプライシングについて

プライシングには主に、次の3つの方法があります。それぞれについて詳しく解説していきます!

【3種類のプライシング】
・コストベースプライシング
・競合ベースプライシング
・バリューベースプライシング

コストベースプライシング

コストベースプライシングとは、原価を基に価格を決めるプライシング手法です。原価に対してどれだけ利益を得たいのかを決め、マークアップを乗せて販売する方法です。このプライシング手法が用いられている場所としては飲食店が挙げられます。原価率30%になるように逆算して価格を設定しています。

競合ベースプライシング

競合ベースプライシングとは、競合の価格を起点に自社の価格を設定する方法です!

そのため競合の値段の動きに応じて価格を変更することが必要になります。プライシングは事業に対しての影響が非常に大きいです。このプライシング方法を用いると、その重要な要素を競合企業に依存させてしまうため、基本的にはオススメできません。競合ベースプライシングのみで価格決定を行うことはやめましょう
しかしながら一部例外も存在します。それは、競合製品と差別化された要素を持たないサービスです。例えばECサイトが挙げられます。中古本を例に取るとAmazonなどでは多くの業者が同じ中古本を販売しています。これは全く内容の同じサービスを販売しているため、競合製品との差別化要素はほとんどありません。このような場合に売れるのは、最も安いサービスです。そのため最も安い価格をつける必要があります。もしサービスの規模が小さいのであれば、目視でもいいので定期的に競合の価格を見て一番安い価格で売っていくことが重要です。また、サービスの規模が大きい場合には、競合監視アルゴリズムを用いる戦略も考えられます。スクレイピングで競合の価格を自動で吸い上げることにより、競合の値下げに応じてさらに低い価格を設定するアルゴリズムを組んで値段をつけていきます。ECの他にもメルカリのようなフリマサイトに商品を出すときにも同じような考え方を用いることができます。

バリューベースプライシング

バリューベースプライシングとは、競合製品と差別化されている価値に対しての顧客の支払い意欲を起点に価格設定する方法です!

バリューベースプライシングは我々が最も推奨するプライシングです。難易度が高い反面、実現することができれば非常に高収益を上げられます。なので、可能であればバリューベースプライシングにチャレンジしていただきたいと考えています。
バリューベースプライシングについて、自社が他社よりも高画質なカメラを販売している例を用いて考えてみます。他社製品と差別化されている「高画質」を求める顧客は、プロのカメラマンや写真にこだわりを持っている人でしょう。その顧客たちは、その他の顧客たちよりも高い金額を支払ってでも良い画質のカメラを購入したいと考えています。画質が良いという差別化された要素に対して、いくらまで払っても良いと思っているのかを定量化し、それを価格に上乗せして販売していくことこそがバリューベースプライシングなのです。
バリューベースプライシングの利点は、収益を上げていける点です。価値が向上したタイミングで値上げを実行し、それによって得られた新しい利益で投資を行う。その投資によって、さらに新しい価値を作るといった循環を作ることができます。そのため継続的にサービスの収益を向上させることができ、またサービスの価値も上げていくことができることから長期的に見ると競合優位性に繋がるだけでなく、差別化された価値を生み出すことにも繋がります。このようにポジティブな循環が生じるため、バリューベースプライシングを武器にすることができれば非常に良い成果を上げられるでしょう。

まとめ

ここまで3つの方法のプライシングについて解説してきました。ここで一番大切なことは、自分達が3つから1つを選ぶかではなく、コストよし、競合よし、顧客よしの3つを全てクリアする状態で値段を確定していくことが非常に重要です。その前提の上で、3つの中のどのプライシング方法に最も相性が良いのかを見極め、事業特性に合ったプライシング方法を軸として価格設定をすることが重要です。

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ディズニーランドのチケット値上げから学ぶプライシング戦略

(この記事は、ディズニーランドのチケットから学ぶ上手な値上げの方法とは?ディズニーのプライシング戦略についての解説記事です)

2021年9月にディズニーチケットの最大700円の値上げが発表されました。現在の価格が約8,000円なので驚く方も多いと思いますが、開業当時のチケット価格はなんと3,900円でした。1983年から100円、200円など少額の値上げを繰り返した結果今のチケット価格になったのです。今回は、なぜディズニーがこのような少額の値上げを繰り返していったのかについて紐解いていきます。

【この記事の結論】
・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば問題ない!

チケット価格と来場者数の変遷

定期的に値上げを行っているのにも関わらず、ディズニーの来場者数は減っていません!

ディズニーランドはお客さんが離脱しないギリギリの価格まで値上げをするということを徹底しています。その結果、毎回の値上げが100円や200円といった小さいものになっています。次の図は各年のディズニーの来場者数をまとめたものです。定期的に値上げを行っているのにも関わらず、来場者数は3,000万人前後で安定してほとんど減少していません。

値上げが収益に与えたインパクト

ディズニーが値上げをしていなかった場合について考えてみます。2016年に500円の値上げを実行していますが、もしこれを行なっていなかったらどうなるでしょうか。
ディズニーの来場者数は年間約3,000万人です。年間3,000万人×500円なので、この値上げをしなかった場合150億円の利益を機会損失をしていたことになります。見方を変えれば、この値上げによって150億円の増収に成功したとも言えるでしょう。

ディズニーの場合、100円の値上げでも成功すれば30億円売り上げが増加します!

内的参照価格とは

「今より追加でいくら払えるか」を基に決めた価格のことを内的参照価格といいます!

お客さんは今払っている金額をもとに過去の経験から「いくらまでなら追加で払えるか」を考えます。このように決められる参考価格を内的参照価格といいます。
内的参照価格に基づいてお客さんは意思決定を行うことが多いので、大幅な値上げをすることはお客さんの支払い意欲を落としてしまい現実的ではありません。

短期スパンでの価格変更

そんなに頻繁に値上げして大丈夫?と思うかもしれませんが、それが値上げ成功の秘訣です!

ディズニーがとても短いスパンで値上げを行っているのにもかかわらず入園者数が安定しているのは、先ほど説明した内的参照価格にそった値上げを行なっているからです。一気に1,500円の値上げをした場合客離れが考えられますが、少額の値上げなのでそれを避けられています。
お客さんが払える範囲内で少しずつ値上げをしていくことで、ディズニーは長期的な収益インパクトを創り出すことができました。この例のように1年や2年に1度、プライシングを見直す機会を設けることが非常に重要です。

まとめ

・少しの値上げの積み重ねが大きな収益につながる!
・ディズニーは1〜2年のスパンで価格を見直している!
・値上げは正しく行えば何の問題もない!

これら3つのポイントを、ディズニーの価格戦略から学ぶことができました。

「追加でいくらまでなら払ってくれるか」を定期的に考えて、長期的なスパンの値上げも考えてみましょう!

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PSM分析について解説します。(Pricing Sensitivity Meter)

(この記事は、PSM分析について解説します。(Pricing Sensitivity Meter)の解説記事です)

今回のテーマは「PSM分析」です。以前竹内社長のYouTubeのチャンネルでも触れましたが、これはプライシングのプロである私たちが最も信頼している分析の手法です。この記事ではPSM分析の用い方、正しい使い方について細かく解説していきます。

【この記事の結論】
・PSM分析により、顧客が支払える金額を知ることができる!
・アンケートでは「いくらなら買ってくれますか?」とは質問しない!
・セグメント毎にPSM分析を行うことが成功の秘訣!

PSM分析とは?

PSM分析は「お客さんがいくらで買ってくれるか」を知るための価格分析方法です!

PSMとはPricing  Sensitivity  Meter の略であり、これらの頭文字をとってPSM分析というネーミングとなっています。オランダの経済学者 Van  Westendorp によって開発されたモデルであることからVan  Westendorp モデルと呼ばれることもあります。PSMはお客さんの支払い意欲を特定するために開発されたモデルです。値段を下げようと考える時や値上げを模索する際、PSM分析を用いることによって「お客さんがいくらで買ってくれるか」を知ることができます。

PSM分析の手順

実際にPSM分析を行う際の手順について解説します。アンケート調査を行いそれをグラフで表現するというのが大まかな流れです。それぞれの手順について詳しく説明していきます。

1.アンケート調査

アンケートを行う際のポイントは「いくらなら買ってくれますか?」と聞かないことです!

お客さんには安く買いたい心理があります。この心理のせいで「いくらなら買ってくれますか?」と直接的に聞くと、実際に買ってくれる価格よりも安い価格をお客さんは答えてしまいます。そのため、この質問で得られた結果は精度が悪いです。
これを避けるためにPSM分析では間接的にいくらで買ってくれるかを聞き出します。
具体的には以下の4つの項目を質問に混ぜ込むことでバイアスの無い答えを聞き出すことができます。

1.高いと感じ始める金額
2.これ以上高いと買いたくなくなる金額
3.これ以上安いと品質や効果に不安を感じ始める金額
4.やすく感じ始める金額

2.グラフの作成・読み取り

アンケートを取り終えたら集計をして、次のようなグラフを作成します。図を見ると交点が4つあることがわかります。4つの中で左にあるのが下限価格、上にあるのが妥当価格、下にあるのが最適価格、右にあるのが上限価格です。

PSM分析では、グラフの交点に着目してはいけません!交点をそのまま価格に反映するのは間違いです。

実はPSM分析のグラフから得られた交点には根拠がなく、「交点に全く意味がない」という弱点があります。そのため、グラフ上の最適価格をそのまま価格として選べば良い訳ではありません。同じサービスを購入している人の中でも新規の顧客やリピーター、所得の大小など様々な属性の人が存在します。異なる属性を持つ人々がアンケートに回答しているため、すべてのアンケート結果から得られた最適価格は回答者全員の平均的な答えであり、それが売り手の設定したターゲットに刺さるとは限りません。従ってPSM分析の交点をそのまま価格にすると精度が低下してしまいます。

3.価格決定

セグメント毎に分析を行い、ターゲット層にあった価格を決めることが大切です!

先ほど弱点について触れましたが、PSM分析をセグメントごとに行うことは非常に効果的です。お客さんには様々な属性の人がいます。サービスによってお客さんの支払い意欲が変わる要素や条件が存在しており、その条件ごとにお客さんをセグメント分けし、そのセグメントごとにPSM分析を行なっていきます。それぞれのセグメントについて分析すると、お金持ちの人はいくらくらいまで払ってくれる、そうでない人はこれくらいまで払ってくれるというように分析することができます。
セグメント毎の支払い意欲を見た後は、誰に合わせて価格を決めるのか について考えます。例えば、今後はお金持ちの層を中心に売っていきたいという経営戦略を取るのであれば、そのお客さんのセグメントに合わせて価格を決めることになります。

まとめ

今回はPSM分析について解説しました。

【この記事の結論】
・PSM分析により、顧客の支払える金額を知ることができる!
・アンケートでは「いくらなら買ってくれますか?」とは質問しない!
・セグメント毎にPSM分析を行うことが成功の秘訣!


これら3つのポイントを抑えることが重要です。特にセグメント毎にPSM分析を行うことで分析の精度が向上します。正しくPSM分析をすることができれば、強力な武器となりますので皆さんもぜひやってみてください。

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SaaSのプライシング成功事例について解説します

(この記事は、SaaSのプライシング成功事例について解説しますの解説記事です)

今回はSaaSのプライシングについて解説します。
成功している企業がどのように価格を決めていったのか、どのようにすればプライシングを成功できるのか、実際の事例を用いつつ説明していきます。

【この記事の結論】
・価格の耐用年数は非常に短いので定期的に価格を見直すことが重要!
・SaaSの価格を決めるときはPSM分析だけでは不十分!
・SaaSのプライシングは関係する部門が非常に多くて難しい!

SurveyMonkeyについて

今回紹介するSurveyMonkeyはアンケート配信ツールを提供していることで有名なSaaS会社です!

今回紹介するのはSurveyMonkeyの事例です。「なぜ彼らがうまくいったのか」や「どのように価格を決めていったのか」について、ネット上に公開されていた情報を整理して解説していきます。

価格改定を行った要因

彼らが価格改定を行った要因は以下の3つです。

【要因1】
競合他社が価格を変更しているにも関わらずSurveyMonkeyでは価格を変えていなかった。
【要因2】
プロダクトの開発速度が速くてお客さんがついて来れていなかった。
【要因3】
顧客の80%が個人的な目的ではなく法人のビジネスシーンで活用していた。

お客さんに「追加でお金を払ってでもこんな機能が欲しい!」と挙げられた機能が既に開発済みだったなんてこともあったそうです。

価格を変えてどうなったのか?

得られた効果を見てみると非常にインパクトがあった成功事例と言えるでしょう!

価格変更を行った結果、以下のような効果が得られたそうです。

【効果1】
年間プランの利用者が77%から85%まで大幅に増加した
【効果2】
ARPUが423ドルから483ドルへ104%増加した。
【効果3】
個人利用から法人利用へのスムーズなセルアップにつながり法人向けの売り上げが128%増加した。

(ARPUはAverage Revenue Per Unitの略であり、「ユーザー1人当たりの平均売上金額」を表す数値。)

なぜ価格を変えるのか?

価格の耐用年数は非常に短いです。そのため、1, 2年に1回は価格を見直す必要があります!

価格の耐用年数が短い理由の一つとして「開発スピードが非常に速い」というものが挙げられます。機能が追加されていくにつれてサービスの価値は上がっていきますし、使ってくれるお客さんの幅も広がっていきます。幅広いニーズに対応するため、また価格の機会損失を生まないようにするためにも定期的に価格を見直す必要があります
また、価格を見直すことでサービス提供側の意図通り使ってもらうことができます。今回の事例で言うと、価格を見直すことで個人利用から法人利用に移行してもらうことができました。

SurveyMonkeyも開発スピードが非常に速かったが故に価格改定を迫られることになりました。

なぜSurveyMonkeyは成功したのか?

SurveyMonkeyの成功要因は以下の3つであると分析しています!

【成功要因1】
全社を巻き込んだプロジェクトにした。
【成功要因2】
調査の手法が適切であった。
【成功要因3】
顧客対応を適切に行った。

以下で1つ1つ詳しく解説していきます。

成功要因1~全社を巻き込んだプロジェクト~

SurveyMonkeyでは、リサーチ・プロダクト・開発・営業など合計7つの部門が価格改定に関わりました。まさに全社を巻き込んだプロジェクトと言えるでしょう!

価格は様々な事業の至るところに影響を与えます。そのため全社を巻き込んだプロジェクトとして行い、価格に関わる多くの人が納得できる座組を作ることが重要です。
経営層だけで価格を決める場合はスムーズな意思決定を行うことができますが、この方法では価格に関わる多くの人が納得できる座組を作ることが難しいです。価格変更を全社を巻き込んだプロジェクトとして扱うことの難易度は高いですが、それが価格変更の成功に繋がります

成功要因2~調査手法~

SaaSの価格を決めるときはPSM分析だけでは不十分です。他のアプローチと併用しましょう。

SurveyMonkeyは調査として、以下の3つを行ったそうです。

【調査手法1】
顧客セグメンテーション
【調査手法2】
質的インタビュー
【調査手法3】
PSM分析

ここで注意が必要なのは、SaaSの価格を決めるときはPSM分析だけでは不十分ということです。SaaSは価格体系の選択肢が多岐に渡るので、PSM分析のみで価格を決めるのは非常に難しいです。PSM分析とあらゆるアプローチを組み合わせて考えていく必要があります。SurveyMonkeyの場合、顧客セグメンテーションと質的インタビューを行うことでPSM分析の精度を高めて価格を決めることに成功したと言えます。PSM分析については以下の記事で詳しく解説しています。

成功要因3~顧客対応~

SurveyMonkeyでは、値上げに対して既存の顧客がショックを受けないように段階的に新プランに移行し包括的にコミュニケーションを実施しました。この戦略によって、最終的にはほとんど解約が生まれなかったと言われています。

まとめ

今回は事例を交えつつ、SaaSのプライシングをどうやって決めるかについて解説しました。SaaSのプライシングは関係する部門が非常に多かったり従来のPSM分析だけでは通用しなかったりと非常に難易度が高いです。ですが、Survay Monkeyさんが注視した観点を参考に価格を決めていくと非常に優れたプライシング戦略を作ることができると思います。是非みなさんもプライシングに挑戦してみてください。

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高級ブランドの商品が高額でも売れる秘密

(この記事は、ヴィトンやフェラーリが高くても売れる理由。高くても売れる商品の理由とは?の解説記事です)

一般的に価格が高いほど需要は下がっていきますが、高級ブランドにはこれが適用されません。今回は、なぜ高級ブランドの商品が高くても売れるのかについて解説していきます。

【この記事の結論】
・価格は品質指標になる!
・価格が品質指標になる要因は「経験」「比較しやすさ」「コストプラス心理」の3つ!
・高い価格に設定することで威光効果が得られる!

価格が品質指標になる

価格は品質指標になり得るので、一概に安くすれば売れるというわけではありません。

商品によっては価格が品質指標になることがあります。家具・カーペット・シャンプー・歯磨き粉・コーヒーなどがその例です。皆さんも高いカーペットやコーヒーの方が良いものに感じた経験があるのではないでしょうか?その他にも購入したことのない商品やほとんど購入しない商品の場合、お客さんにとって価格が品質指標になりやすいと言われています。そのため必ずしも安ければ良いというわけではなく、価格を高くすることで品質指標が高いとお客さんに評価されやすくなります。
例えば、ある電気カミソリを販売している会社が当時業界トップだった会社の価格に合わせて大幅に値上げをしたところ売上が4倍になったという事例もあります。

価格が品質指標になる3つの要因

価格が品質指標になる要因は以下の3つです。
・経験
・比較しやすさ
・コストプラス心理

それぞれについて詳しく解説していきます。

経験 〜価格が品質指標になる3つの要因①〜

「高い商品を購入して高い満足度が得られた」という経験をしていると価格を品質指標として捉えやすくなります。例えばいつもより高い電子レンジを買ったとします。普段だと2年で壊れていた電子レンジが4年も使えたという経験をしていると、高いものは良い商品だと消費者は認識しやすくなります。

比較しやすさ 〜価格が品質指標になる3つの要因②〜

価格が固定されていて交渉の余地がない場合、価格によって商品を客観的に比較することができます。スーパーでは価格が品質指標になりますが、フリーマーケットやバザーなど価格交渉が行われる場では価格が交渉によって変わってしまうため品質指標になりません。

コストプラス心理 〜価格が品質指標になる3つの要因③〜

コストに対してどれぐらい上乗せしているのかという風に消費者は考える傾向があります。これをコストプラス心理といいます。飲食店で1000円のステーキを食べたときに、大体いくらぐらいの肉を使っているのだろうかと無意識のうちに考えてしまうのがこれに該当します。なので、金額が高いと良いものを使っているという風に思ってもらいやすいです。

価格が生み出す威光効果

あえて価格を高くすることで、その商品や企業の印象が良く見えることがあります!

価格が品質指標になることを応用したテクニックとして威光効果があります。威光効果とは、一部の特徴によって全体が実際以上に良いと感じてしまう現象のことを言います。
プライシングにおける威光効果は、価格がその商品や企業の印象に影響を与えて結果的に良いサービスだと思ってもらえる仕組みのことを指します。これをうまく使っているのがLOUIS VUITTONやFerrariです。

威光効果を利用した価格戦略

最初から威光効果を利用することは難しいです。サービスの向上とともに価格を上げていきましょう!

当然ですが、高い価格に設定することでコスパが悪い・値段に対して見合っていないと思われてしまう危険性もあります。そのため、ただ高く売ればいいというわけではありません。値上げを行う際は以下の2点が重要です。

・お客さんがいくらまでなら払ってくれるのかを考える。
・サービスが向上するタイミングで値上げを行う。


サービスは企業努力によってどんどん良くなっていきます。サービスが良くなるとお客さんの支払い意欲も上がるので、その時に少しずつ値上げをしていきましょう。最初は数百円の値上げが、積み重なると数千円・数万円の差、BtoBのサービスであれば数百万円の差になることもあります。小さい値上げを繰り返した結果、いつの間にか高い商品になり初めて威光効果が生まれます。

まとめ

今回は価格が品質指標になるということと、それを上手く使ったプライシングのテクニックである威光効果について解説しました。是非サービスの向上に沿って値上げを行ってみてください。

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価格戦略論:コストベースプライシングについて解説

(この記事は、原価率から値段を決めるコストベースプライシングはありか?値付けの専門家が解説の解説記事です)

【質問】
原価率の相場が決まっていない業界ではどのように価格を決めれば良いのでしょうか?
【回答】
顧客の払える金額をベースに価格を考えましょう。原価を基に価格を決めることはおすすめしていません!


本日も質問にお答えしていきます。飲食業界においては原価率30%にすればよいという通説がありますが、原価率の相場が決まっていない業界も存在します。今回は原価率の定まっていない業界での原価率の考え方について解説していきます。

原価率の定まっていない業界での価格の決め方

コストをかけた分価格を高くするのではなく、顧客の払える金額をベースにコストを決定していく」が正しい考え方です。

私は原価率で価格を決定することを推奨しません。原価を基に決定した価格がお客さんの予算を超えてしまったら買ってもらえないからです。
例えば、仕事の合間のランチについて考えてみましょう。1,500円の予算で店を探していたところ、入店したお店の商品がすべて3,000円だったとします。高級な素材が使用されていたとしても、あなたは3,000円を支払いたくなるでしょうか?予算である1,500円を上回るため、進んで購入したいとはならないはずです。
この例から分かることは、「良いものを使っているから」と価格を上げても、お客さんの予算を超えてしまったら買ってもらえないということです。つまり、コストにお金をかけたからと言ってその分値段を高くしても売れるとは限らないのです。
コストをかけた分価格を高くするのではなく、顧客の払える金額(予算)をベースに価格を決定していく方が良いでしょう。

原価率の相場が決まっている業界は例外です。飲食店のように30%と決まっているなかで、「原価率60%にします!お得ですよ!」と宣伝することは、お店が損しながら安くしているアピールになるため良いと思います。

コストベースプライシングってアリ?

コストベースプライシングとは原価から利益を計算する価格決定方法です。


顧客のターゲット層を決めると、高価格帯・中価格帯・低価格帯のどれで勝負していくのかも大まかに決まると思います。「その価格帯で利益を出すためにはコストをこのくらいにする必要がある」と顧客の払える金額(予算)から逆算してコスト構造を考えるのが良いでしょう。
その上でコストを価格の何パーセントにすべきかという問題は、答えのない問題であると思います。ただ、損益分岐ギリギリのラインでの価格設定は避けるべきだと考えます。「消費者の満足度に影響を与えない範囲でコストを削減し、そこで得られた利益をサービスに投資する。サービスへの投資によってサービスのバリューアップを実現し、価格を上げていく」という流れがとても大切です。
コストベースプライシング(原価率から逆算した価格の決定)をするのではなく、お客さんの予算から逆算してコストを整えるというアプローチで価格設定をしていきましょう。

まとめ

原価率の相場が定まっていない業界においては、顧客の払える金額をベースにコストを決定していくことを推奨します。顧客の満足度に影響のない範囲内でなるべくコストを抑え、利益率を上げていくことが大切です。