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Web接客ツールのプライシングまとめ|価格体系の調査と考察

Web接客ツール業界におけるプライシング・各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。

Web接客ツールとは

Web接客ツールは、Webサイト上で、まるで実店舗での店員の接客のように、ユーザーの質問に答えたり、おすすめの商品やサービス、お得な情報などをリアルタイムで紹介する、まさに「Web接客」と表現するのにふさわしいサービスです。

具体的には、チャットボットなどを用いたテキストでのコミュニケーションや、各ユーザーの状況や属性に合った情報を提供することで、購買活動の促進や、利用上の疑問解決などを目的としています。

Web接客ツールには、大きく2つのタイプに分かれます。

1つ目が、顧客獲得を目的とした、ポップアップを用いて営業・マーケティングを促進させる「ポップアップタイプ」です。ユーザーの属性・購買履歴・滞在時間などの行動データをもとに、キャンペーンやクーポンなど最適な情報を最適なタイミングで表示させられます。

2つ目は、既存顧客の満足度向上や対応の効率化を目的とし、チャットを用いてカスタマーサポートを効率化させる「チャットタイプ」です。Webサイトを訪問したユーザーとチャットを通じてリアルタイムにコミュニケーションを取れます。

ただはっきり2つに分かれるだけでなく、「ポップアップタイプ」と「チャットタイプ」どちらの機能も備えた「ハイブリッドタイプ」も存在します。

Web接客ツールの価格・料金体系の概要

現在、公開されているWeb接客ツールの価格一覧は以下の通りです。

タイプ サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
ポップアップ FLIPDESK 5,000円〜 従量課金モデル 150,000円
ecコンシェル 9,800円〜 複数パッケージ価格モデル
フリーミアム
30,000円
チャット Olark  $12〜 従量課金モデル  ー  ◯
zendesk chat $14〜 従量課金モデル×複数パッケージ価格モデル
フリーミアム
Intercom 1,500円〜 複数パッケージ価格モデル
Chat Plus 9,800円〜 複数パッケージ価格モデル
フリーミアム
Chamo 6,500円〜 従量課金モデル×複数パッケージ価格モデル
フリーミアム

(調査日:2021年1月24日)

Web接客ツールの「ポップアップタイプ」でよく使われている価格体系

従量課金モデルの概要

従量課金モデルは、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすくなります。

また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。ユーザー課金モデルやアクティブユーザー課金モデルも、従量課金制の1つです。

従量課金モデルの考察

「ポップアップタイプ」では、キャンペーンやクーポンなど最適な情報を最適なタイミングで表示させることで、申し込み率や購入率の向上につながります。この場合、サイトのPVが大きければ大きいほど、申込数が増えやすくなります。

つまり、PV数が大きいサイトを持っていればいるほどサービス価値は増大し、支払意欲は増加します。そこで、ツールを利用するサイトのPV数に合わせて従量課金モデルを設定していると考えられます。

複数パッケージ価格モデルの概要

複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。

また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取れることから、利益を増加させられます。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるよう注意が必要です。

複数パッケージ価格モデルの考察

提供する顧客のサイトのPVによりサービスに対する支払意欲(または支払可能額)が向上する場合、従量課金モデルだけでなく、複数パッケージ価格モデルも相性がいいです。

従量課金モデルの場合、事前に利用料を把握することが不可能なため、前払いによる資金回収ができません。これにより、キャッシュフローの悪化や、資金回収コストが積み上がることになります。一方、利用セグメント毎(10万PV以上のサイトと、それ以下のサイトなど)にある程度導入効果が均一化されるようであれば、利用セグメント毎の支払意欲(または支払可能額)に合わせた複数パッケージ価格モデルの設定をすることで、それをその課題を解決できます。

Web接客ツールの「チャットタイプ」でよく使われている価格体系

ユーザー課金モデルの概要

ユーザー課金モデル(Per User Pricing)とは、ユーザーの使用状況に応じて単価が決まる従量課金の一種の課金体系で、顧客に対し発行(付与)したアカウント数にもとづいて料金が発生します。

ユーザー課金モデルの考察

チャットタイプでは、チャットを利用する人(=カスタマーサポート)の数が多ければ多いほど価値が増大しますし、多くのカスタマーサポートが必要な企業ほど事業規模が大きくなる傾向にあります。そのため、チャットを利用する人(=カスタマーサポート)の数に合わせて課金額を増加させることができるユーザー課金モデルは相性がいいといえるでしょう。

これを応用して、一定ユーザー数毎にプランを設定する複数パッケージ価格モデルを採用している企業も見受けられました。

プライスハックが推奨する価格体系

「ポップアップタイプ」の場合、複数パッケージ価格モデルを推奨します。やはり、キャンペーンやクーポンなど最適な情報を最適なタイミングで表示させることによる、申し込み率や購入率の向上が最もわかりやすい価値であり、申し込み率向上の恩恵を受けやすいサイトはPV数が高い傾向にあります。当然、PV数が多くあるサイトをもつ企業ほど支払いに寛容になります。そのため、PV数の変化により支払意欲にどれだけ影響するのかを分析した上で、それに合わせたパッケージを複数作るのが最適といえます。また最上位のプランは用意せず、見積もりで対応すると、売上の機会損失を避けることができるでしょう。

「チャットタイプ」の場合、ユーザー課金モデルと複数パッケージ価格モデルを組み合わせることを推奨します。無人対応か有人対応か、チャットの量が多い業界か少ない業界か、など様々なユースケースが想定されます。そのため、複数パッケージモデルを採用することで多様なニーズに対応することができます。また、チャットを利用する人(=カスタマーサポート)の数が多ければ多いほど価値が増大するため、これにユーザー数による従量課金を設定することで、顧客あたりの単価を最大化することが可能になります。

プライシングを適正化するためには

これまでWeb接客ツールに最適な価格体系について考察してきました。

最適なプライシングは、大きく3つの要素から決まります。

①顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか(ある機能、ユーザー体験、外部ツール連携など)、顧客セグメント(SMB、エンタープライズなど)によって支払意欲は大きく変わります。どんな顧客の課題を解決するために生まれたプロダクトか、現在の顧客はどのような属性かといった内容をプライシングに反映させる必要があります。

②競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。SaaSにとっては、同じSaaSの競合の他、買い切りソフトウェアや代替サービスも競合となるので注意が必要です。

③コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。SaaSにとっては、開発コストの他、カスタマーサクセスのコストを検討する必要があります。

これらの要素は、絶えずおこなわれる機能アップデートや、大型ファイナンスによる積極的なマーケティング、組織拡大などから日々変化します。理想は四半期に一度、少なくとも半期に一度は、価格改定をするべきです。米国では約40%のSaaSスタートアップが少なくとも半期毎に価格を見直しているというデータもあります。

社内で画一化された分析手法を確立し、迅速な意思決定ができる体制を構築する必要があるでしょう。それには、プライシング分析の専任者を採用するか、プライシングの分析ツールを導入するのが最も効果的です。実際のところ、国内スタートアップでは、まだまだ価格分析におけるアプローチが浸透していないのが現状で、専任者の採用は困難を極めます。費用的にも圧倒的にお得な分析ツールの活用が最も手軽なアプローチといえるでしょう。

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皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。

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MA(マーケティングオートメーション)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

この記事では、MA(マーケティングオートメーション)業界における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。

MA(マーケティングオートメーション)とは

MA(マーケティングオートメーション)とは、オンライン上で企業の商品やサービスを販促させるための自動最適化ツールです。MAは、マーケティング担当者が行ってきたリードジェネレーションやナーチャリングといった仕事を自動・最適化させます。

MAを活用すると、見込み顧客の自社サイトやメールへの反応が明らかになり、営業を適切なタイミングでおこなえるようになります。

機能 概要
見込み顧客の生成・育成 見込み顧客を獲得し、購買を促す施策の策定・実行/td>
訪問者分析 見込み顧客が閲覧するランディングページの作成
トラフィック分析 管理する見込み顧客を、購買可能性をもとにスコアリング
行動分析 設定したシナリオに沿って、見込み顧客へメール配信
Web行動解析機能 各コンテンツ上での見込み顧客の行動を解析

(調査日:2021年5月24日)

MA(マーケティングオートメーション)の市場規模

矢野経済研究所によると、2020年のMA市場の市場規模は、447億3500万円と見込まれています。次のグラフは、MAとDMP(Data Management Platform)を合算した市場規模の推移を示します。薄い青色の部分がMA市場です。

(出典:矢野経済研究所)

MA(マーケティングオートメーション)の価格・料金体系の概要

MAは、主に月額制の利用料金を設定しています。「単一価格モデル」「機能数によって値段が変動する複数パッケージ価格モデル」が設定されています。これに加えて、獲得したリードの件数や、ナーチャリングのためのメール送付件数などに応じて「従量課金モデル」を採用していることが多いです。MAツールは導入前の要件定義や設定に時間がかかるため、月額費用とは別で、初期費用を設定しているサービスが多いです。導入コストがかかるため、顧客が慎重に検討できるよう、無料トライアルを設定している企業も見受けられました。

MA(マーケティングオートメーション)の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
Marketo 非公開 複数パッケージ価格モデル 非公開
SATORI 148,000円 単一価格モデル(※1) 300,000円
xcross data 5,000円〜 複数パッケージ価格モデル 50,000円
HubSpot Marketing 5,400円〜 複数パッケージ価格モデル
フリーミアム
Synergy! 15,000円〜 複数パッケージ価格モデル 118,000円
List Finder 39,800円〜 複数パッケージ価格モデル 100,000円
Salesforce Pardot 150,000円〜 複数パッケージ価格モデル
Probance 180,000円〜 複数パッケージ価格モデル 500,000円

(※1)オプションで従量課金モデルが発生する場合あり

(調査日:2020年12月17日)

MAツールでよく使われている価格体系

MAツールでは、「従量課金モデル」と「複数パッケージ価格モデル」という2種類の価格体系がよく採用されています。

従量課金モデルの概要

従量課金モデルは、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客に納得してもらいやすくなります。

また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。ユーザー課金モデルやアクティブユーザー課金モデルも、従量課金制の1つです。

従量課金モデルの考察

MAツールの主な機能の一つは見込み顧客(リード)の生成、育成です。いわゆるこのリードジェネレーション・ナーチャリングを行うためには、獲得したリードのステータス管理、スコアリング、シナリオに沿ったメールの送付などが必要になります。管理するリードの数やメールの件数が大きければ大きいほど、自社サービスへの誘導数が増えるので、MAツールのサービス価値は増大し、支払意欲は増加します。そこで、ツールを利用するリードやメール数に合わせて従量課金モデルを設定していると考えられます。

複数パッケージ価格モデルの概要

複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取れることから、利益を増加させられます。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるよう注意が必要です。

複数パッケージ価格モデルの考察

MAツールは従量課金に加えて、ベースの価格体系として複数パッケージ価格モデルを採用しています。企業によって実現したいマーケティング施策が異なることから、機能ごとにパッケージを用意し、顧客のフェーズに合わせて選べるようにしていると考えられます。グローバルでT2D3を達成しているMarketoはMAツールの代表格ですが、同社ではSELECT、PRIME、ULTIMATE、ENTERPRISEの4つのパッケージを用意しています(いずれも価格は非公開)。

MAツールに初期費用が設定されている理由

MAツールは他のSaaSと比較して導入時のサポートコストが高いことから、初期費用を設定する企業が多くあります。いざ導入しても、正しく活用されなかったり、導入企業と相性が悪いことも少なくありません。その際でも、売上を回収できるようにしておこうという意図もあると考えられます。

フリーミアムと無料トライアル

Hubspot Marketingでは期間の区切りがなく、限られた機能でサービスを利用できるフリーミアムを設定しており、xcross data・List Finderでは一定期間利用できる無料トライアルを設定しています。

MA(マーケティングオートメーション)の価格体系に関する考察

複数パッケージ価格モデルを推奨

MAツールには、複数パッケージ価格モデルが推奨されます。複数の価格帯で提供することで、複数の顧客セグメントに対してのニーズを満たすことが可能です。リード数が多ければ多いほど利用価値が高まるため、リード数の上限をパッケージの区分とするが適切といえるでしょう。

プライスハックが推奨する価格体系

MAツールの場合、従量課金+複数パッケージ価格モデルを推奨します。MAツールはさまざまな機能を持っていますが、企業によって活用できる機能は異なります。そこで、機能ごとに複数の価格を用意し、幅広いニーズに対応できる価格体系の整備が必要です。加えて、管理すべきリード数や送付できるメール数が増えれば増えるほどに多くの価値を享受できますので、リードやメールの数に応じて従量課金を設定するのがよいでしょう。

プライシングを適正化するためには

これまでWeb接客ツールに最適な価格体系について考察してきました。最適なプライシングは、大きく3つの要素から決まります。

①顧客:顧客は誰か、顧客は自社の製品の何に価値を感じるか(ある機能、ユーザー体験、外部ツール連携など)、顧客セグメント(SMB、エンタープライズなど)によって支払意欲は大きく変わります。どんな顧客の課題を解決するために生まれたプロダクトか、現在の顧客はどのような属性かといった内容をプライシングに反映させる必要があります。

②競合:誰が競合なのか、競合はいくらで提供しているか、競合との価値の違いは何かを把握する必要があります。SaaSにとっては、同じSaaSの競合の他、買い切りソフトウェアや代替サービスも競合となるので注意が必要です。

③コスト:販売するほど生まれるコストはいくらか、販売量によってコスト構造は変わるかを検討します。SaaSにとっては、開発コストの他、カスタマーサクセスのコストを検討する必要があります。

これらの要素は、絶えずおこなわれる機能アップデートや、大型ファイナンスによる積極的なマーケティング、組織拡大などから日々変化します。理想は四半期に一度、少なくとも半期に一度は、価格改定をするべきです。米国では約40%のSaaSスタートアップが少なくとも半期毎に価格を見直しているというデータもあります。

社内で画一化された分析手法を確立し、迅速な意思決定ができる体制を構築する必要があるでしょう。それには、プライシング分析の専任者を採用するか、プライシングの分析ツールを導入するのが最も効果的です。実際のところ、国内スタートアップでは、まだまだ価格分析におけるアプローチが浸透していないのが現状で、専任者の採用は困難を極めます。費用的にも圧倒的にお得なPricing Sprintなどのプライシングの分析ツールが最も手軽なアプローチといえるでしょう。

戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、プライシングスタジオまでお問い合わせください。

皆様のSaaS事業が価格によって、より加速することを願っております。

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CRM(顧客管理システム)業界の料金体系比較まとめ調査・価格設定の考察

この記事では、CRM(顧客管理システム)における各社の価格調査および価格設定に関する考察をおこないます。

CRMとは

CRMとは、Customer Relationship Management(顧客関係管理)の略で、顧客管理システムの意味で使われることが一般的です。

企業が獲得した顧客情報を一元管理し、見込み顧客および既存顧客を分析・抽出し効果的なセールス・マーケティングを可能にするシステムです。

CRMの主な機能は次のとおりです。

機能 概要
顧客情報の管理 顧客情報や購買履歴の一元管理
顧客対応履歴の管理 顧客とのコミュニケーション履歴を蓄積・管理
顧客の分析・抽出 顧客の傾向や確度の高い見込み顧客の抽出

CRMの市場規模

IT調査会社のIDC Japanによると、日本国内のCRM市場は2024年まで平均で5%以上の成長が見込まれています。顧客を獲得するだけでなく長期的な関係性を育み一顧客あたりの売上を向上すべく、CRMを導入する企業が増えているのです。

出典:IDC Japan

CRMの価格・料金体系の概要

CRMは、月額料金制で「ユーザーごとの従量課金」と「機能数によって値段が変動する複数パッケージモデル」とを組み合わせた価格体系が設定されています。

また、一部のサービスでは設定費用として初期費用を設定している場合がありますが、CRM業界の中では一般的ではありません。

無料でサービスを試用できる体系として、フリーミアム・無料トライアルが設定されています。

CRMと似た料金体系を採用している業界としては、経費精算システムなどがあげられます。従業員の業務効率化を図るシステムでは、ユーザーである従業員が増えるほど料金が発生するため、売上を作りやすいこの料金体系が設定されています。

CRM業界の価格体系比較

サービス名 月額料金 価格体系 初期費用 無料
トライアル
ボリューム
ディスカウント
Kintone 780円~ 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
FlexCRM 1,200円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
Zoho CRM 1,440円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
ちきゅう 1,480円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Dynamics 365 Sales 2,170円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Salesforce Sales Cloud 3,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
HubSpot CRM 5,400円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格
フリーミアム
 ー
eセールスマネージャー 6,000円~  従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
Senses 5,000円〜 従量課金(ユーザーごと)×複数価格  ー
GEO CRM 1,800円~ 段階的ユーザー×複数価格 5万円

(調査日:2021年6月10日)

CRMでよく使われている価格体系

CRMにおいては、従量課金モデルと複数パッケージ価格モデルの2種類の価格体系が採用されています。

初期費用が設定されている理由

初期費用は一般的に初期費用はシステムを導入しても活用できなかった場合にも売上が回収できるようにするために設定されています。

フリーミアムと無料トライアル

CRM業界では、主に人数制限なくフル機能で2週間から1ヶ月ほどシステムを利用できる無料トライアルが設定されています。FlexCRMでは法人向けのサービスでは珍しい広告表示型のフリーミアムを設定しています。

月額料金でユーザーごとの従量課金が設定されている理由

利用ユーザー数に沿って、月額料金を支払い始めることで各パッケージで開放されている機能が利用可能になります。CRMに格納された顧客情報はセールスチームだけでなく、多岐にわたる部署の人が利用するためユーザーごとの従量課金を設定することで売上をたてやすい構造になっています。

ボリュームディスカウントのタイプ

Zoho CRM・Salesforce Sales Cloud・HubSpot CRMの3社では、「年間契約をおこなうことで割引される」タイプのボリュームディスカウントが設定されています。

CRMの価格体系に関する考察

初期費用は非推奨

CRMでは初期費用の設定は通例的ではなく、導入検討時にユーザーが割高に感じ足切りする可能性を高めるため、収益性を改善するには初期費用を設定するよりはその他の料金の値上げを推奨します。

フリーミアムを推奨

フリーミアムはリード獲得の他に、サービス価値を感じるまで利用して有料プランへアップセルさせるという重要な目的を持っています。そのため、無料トライアルでは有料プランへアップセルする前に離脱してしまう可能性があるため、フリーミアムが推奨されます。

月額料金はユーザーごとの従量課金が推奨

一般的にはユーザーごとの従量課金はユーザーからすると価格帯が分かりやすいというメリットがあるものの、アップセルしにくいというデメリットがあります。そのため、事業社には段階的パッケージにすることで多くの収益をあげやすくなります。しかし、階層が細かすぎると、ユーザーは混乱しアップセルしにくくなることが考えられます。

価格体系比較でも述べたようにCRMは1つの企業の中で多くの部署の人が利用するシステムです。そのため、顧客の企業に見合った収益をあげられるため、ユーザーが増えるごとの従量課金が推奨されます。

適切なボリュームディスカウントが設定されています

CRM業界で設定されている、1年分を一括で支払うことで毎月料金を支払うよりも割安になるボリュームディスカウントは事業者の収益性を向上する適切なボリュームディスカウントです。

プライシングを適正化するためには

これまで業界全体の価格体系について解説してきました。しかし、これはあくまで現在のトレンドであり、日々の変化に対応していく姿勢が大切になります。また、価格体系はあくまでプライシング戦略の表現方法です。

プライシングは、売上最大化や顧客数最大化などに最も効果的な手段です。自社のビジョンを考えた際、今何が必要なのかを適切に把握し、それに合わせた価格戦略を検討しましょう。

以下の記事を読めば、どんな価格戦略を実行すればいいかがわかると思います。それを踏まえて、価格戦略を策定し、この記事で解説した価格体系という表現方法を検討してみてください。驚くほど、数字に結びつくでしょう。

まとめ

CRMでは、月額料金で主にユーザーごとの従量課金制と複数パッケージモデルが組み合わせて設定されており、一部のサービスでは初期費用・無料トライアル・フリーミアム・ボリュームディスカウントが設定されています。

また、各料金体系に関しては下記のような設定が推奨されます。

  • 初期費用は設定せずその他の料金に反映
  • 月額料金はユーザーごとの従量課金制を設定
  • フリーミアムを設定
  • ボリュームディスカウントをおこなう場合は一定条件を付加する

価格に対して、お悩みの事業者様は一度、プライシングスタジオにお問い合わせください。