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キャプティブプライシングとは|ジレットのカミソリ事例からわかる価格戦略

カミソリ本体と替刃などの製品に用いられる主製品を低価格で、付属品を高価格で販売する価格戦略である「キャプティブプライシング」についてご紹介します。


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キャプティブプライシングとは

キャプティブプライシングとは、カミソリ本体と替刃のように「主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略」のことです。

高い価格に設定した付属品を定期的に購入してもらうことで、長期的なスパンで収益を得られます。

キャプティブプライシングのメリット

キャプティブプライシングのメリットは、以下のことがあげられます。

購入してもらいやすい

キャプティブプライシングを行なっている製品は付属品で収益をあげるため、本体価格を安く抑えて購入してもらいやすくなります。

初期費用が安く、どんな人でも製品が手にとりやすいため、新規顧客を獲得することが可能です。

高いLTV(顧客生涯価値)を見込める

キャプティブプライシングのメリットとして、高いLTV(顧客生涯価値)を見込めることがあげられます。

LTV(顧客生涯価値)とは、顧客から一生のうちに得られる利益のことを指します。

キャプティブプライシングでは、セットとなる付属品を定期的に購入することを前提としているため、収益を長期的にあげられるようになり、結果として高いLTVが見込めます。

キャプティブプライシングのデメリット

キャプティブプライシングのデメリットは、以下のことがあげられます。

付属品の価格設定が困難

主製品と付属品とそれぞれの価格設定が必要となるだけでなく、付属品の継続的に購買につながる価格設定が必要です。

付属品が高価格すぎると継続的な購買にいたらず、売上の損失に繋がる可能性があります。

顧客の購買意識を維持させるのが困難

キャプティブプライシングは顧客がサービスを活用し付属品を長期的に購買し続けることで収益化に繋がります。そのため、継続的に購買をしている間に他社の類似製品と比較されがちです。付属品の商品価値を上げるなどの手段で顧客が価格に納得感を持ち続けるようにする必要があります。

キャプティンブプライシングの実際の例

カミソリ本体と替刃

カミソリ本体と替刃の関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

実際に、ジレットでは「消耗品モデル」という名前で、キャプティブプライシングを行っています。カミソリ本体の値段は抑え、付属品である替刃の部分の価格を高く設定するというビジネスモデルを確立したので、このようなモデルは「ジレットモデル」とも言われています。

プリンターとインク

プリンターとインクの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

ここでは、エプソンのプリンターの例をご紹介します。エプソンのプリンター本体価格は、6,000円から20,000円の間が相場となっています。

印刷する際に必要なプリンターのインクは、純正のエプソンプリンター専用のインクを使用することが推奨されており、1セット6,000円で販売されています。

プリンター会社が作っていない互換インクだとより安く購入することができますが、エプソンのプリンター自体が専門のインクを指定しているので、インクから安定して収益を得ることが可能です。

コーヒーメーカーとカプセル

コーヒーメーカーとカプセルの関係もキャプティブプライシングの例としてあげられます。

主製品となるコーヒーメーカーは、比較的安い価格で販売している一方、コーヒーメーカーにいれるコーヒーカプセルを高い価格に設定することで利益を得られる仕組みになっています。

具体的な例として、ネスプレッソのコーヒーメーカーを見てみます。ネスプレッソのコーヒーメーカーは、12,000円から購入することができます。そこにいれるコーヒーカプセルは、1セット30カプセル約3,000円の値段がします。1日2回飲むとしたら、1ヶ月で6,000円12ヶ月で72,000円になります。付属のコーヒーカプセルを定期的に購入してもらうことでコーヒーメーカー以上の利益を出すことができます。

SaaS + a box

SaaS + a boxとは、近年話題になりつつある、最新のビジネスモデルです。ハードウェア製品に加えて、月額課金のオンラインサービス提供をすることで、満足度を高めることができるため、非常に注目が高まっています。

実は、このモデルは、キャプティブプライシングの例だと言えるのです。SaaS + a boxでは、ハードウェア製品を高い機能に対して比較的安く提供します。

lovotというサービスでは、ハードウェア自体は原価で販売する一方で、月額課金のオンラインサービスを提供し、収益をあげています。これは、キャプティブプライシングを利用しているといえるでしょう。

具体例としては、オンラインフィットネスのPelotonが挙げられます。現在アメリカで大流行しているサービスで、ランニングマシンやサイクリングマシンといったフィットネスマシンのハードウェアと、月額課金のレッスン動画などのフィットネスサービスを販売しています。

フィットネスマシンの効果を最大限発揮するには、月額課金のフィットネスサービスを利用する必要があるため、月額課金での安定した収益をあげられます。SaaS + a boxはキャプティブプライシングを使った画期的なビジネスモデルといえるでしょう。

まとめ

キャプティブプライシングとは、主製品を低価格に設定し、付属品を高価格に設定する価格戦略のことです。

主製品と付属品のビジネスモデルを確立した「ジレットモデル」を参考に、ネスカフェやネスプレッソなどのコーヒーメーカーの価格戦略が誕生したと言われています。このことから様々な製品に応用することができる価格戦略だということができるでしょう。

デメリットでも解説しましたが、主製品と付属品の価格の設定を適切に行うことが重要になってきます。キャプティブプライシングは、顧客の購買意欲を継続的に保つ価格で行うことが成功の鍵になってくるでしょう。

 

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値上げを成功させるプライシング戦略|事例から学ぶ効果的に売上を伸ばす考え方

事業者の皆様は普段値上げにどのように取り組まれているでしょうか?

値上げはうまく行えれば大きな効果をあげられますが、一歩間違えると大きな損失を巻き起こす可能性の高い諸刃の剣のようなものです。

この記事では「値上げ」を様々な方面から解説します。


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値上げ戦略の重要性

値上げ戦略を成功させた場合、想像以上のインパクトをもたらします。
1%の値上げを行い、顧客離れが起きなかった場合、最大12.8%の収益改善効果があると言われているのです。

しかし、値上げにはメリットがあることを承知でも、事業者にとって実際に実行するのは怖いものです。

単純に購買数が減るかもしれない…。
もしかしたら値上げの事実によって顧客からの印象が悪くなるかもしれない…。
なのに、どの商品を何円値上げすれば良いのかわかない…。

など様々な懸念点があげられると思います。

そんな値上げを成功させるためには、「顧客離れを防ぐ」ことが重要です。

そのため、企業は顧客離れを防ぐための値上げ戦略を考えなければいけません。

今回は値上げ戦略を3つ具体的なテクニック・事例とともに紹介します。

値上げを成功させる戦略1.支払意欲の把握

支払意欲の把握とは

消費者は、1つの製品に対して、「XX円までなら払える」という、いわゆる「支払意欲」を持っています。例えば、1つ牛丼があったとして、そこに対してターゲット顧客は390円までなら払って良いと思っている、のようなかたちです。

この支払意欲を理解することで、無駄に安く価格設定してしまうことや、高く設定しすぎて顧客が離れてしまうことを防げます。

「支払意欲の把握」の価格戦略

支払意欲を把握した場合、「支払意欲内での値付け」「安すぎる価格からの脱却」「価値の向上に応じた値上げ」という観点から、プライシングの決定が可能です。

1.支払意欲内での値付け

支払意欲を把握することで、適切な値上げが可能になります。
例として、10000人の顧客が牛丼を購入するときの支払意欲で解説します。

牛丼の価格(円) 支払意欲のある人数
(10,000人中)
合計売上(円)
case.1 350 9,200 3,220,000
case.2 390 9,000 3,510,000
case.3 400 7,000 2,800,000

上記の例の場合、支払意欲を把握することで、牛丼の価格が390円のときの「case2」が1番売上が最大になることがわかります。

仮に350円から390円という40円の値上げなら、ほとんど顧客離れが起きずに、100人あたりの売上も3000円近く上昇します。一方、400円まで値上げをすると、極端に支払意欲のある人数が減少するために、売上を下げてしまう恐れがあるのも事実です。「case2」と「case3」では10円の差しかないにも関わらず、売上が大幅に変わってしまいます。

値上げを実施する前に、顧客の支払意欲を事前に把握しておくことで、値上げ幅を確定させて大きな利益があげられます。

2.安すぎる価格からの脱却

顧客の支払意欲は、実は安ければ安いほど高まるわけではありません。実際に複数の分析結果から、顧客にとって「安すぎて買うのをためらう価格」があることがわかっています。

例えば、牛丼の料金が80円で販売されていたらどうでしょうか?もし、品質や業態が他で販売されているものと同じであったとしても、価格が安すぎて、怪しさを感じると思います。

そのため、価格を安くしすぎた結果、顧客の購買意欲を削がないようにしなければなりません。

3.価値の向上に応じた値上げ

商品が同じでも、顧客の支払意欲は不変ではなく、時間とともに変化することがあります。

例えば、SaaSなどのサブスクリプションサービスの場合、新しい機能やコンテンツの追加をした際に、顧客の支払意欲が変動します。

機能・コンテンツの追加が利用者にとって魅力的な改善だと、顧客の支払意欲は向上します。そのタイミングで支払意欲を分析し向上していれば値上げを成功させられるチャンスです。

「支払意欲の把握」事例:東京ディズニーランド

東京ディズニーランドのチケット価格は、なんと開園以来13回もの値上げがされてきました。しかし、ディズニーランドが値上がりしても、来場者数は減ることはなく、むしろ増加しています。

これは、ディズニーランドがその時々の来場者の支払意欲を把握し、それに応じて値上げをした結果です。度重なるコンテンツの追加や、人気の向上は、来場者の支払意欲を高め、そしてディズニーは顧客の支払意欲を把握して値上げを実施しています。

値上げを成功させる戦略2.安値と高値の共存

安値と高値の共存とは

安値と高値の共存とは、値下げと値上げをともに実施する価格戦略です。

値上げによる顧客離れは、単純に「高すぎて検討に乗らない」と感じさせてしまった時だけではなく、「手は出るが価格が不当に高い」と感じられた時にもおきます。つまり、支払う意欲があったとしても、値上げという行為自体が不誠実に捉えられる時があるのです。

ここで紹介する戦略が、そう感じさせないための「安値と高値の共存」です。

値上げをしても顧客のマイナスな感情を引き起こさないためには、値上げだけではなく、値下げも織り交ぜることで、顧客にとっての不利益を感じさせないことが重要なのです。

「安値と高値の共存」の価格戦略

1.顧客の気持ちに寄り添うプライシング

値上げを実施するときに、顧客のマイナスな感情を引き起こさないために、商品Aの値上げと商品Bの値下げを両方実施します。そうすることで、単純な値段引き上げではなく、「価格変更」という印象を顧客に与えることが可能です。

2.キャプティブプライシングの応用

キャプティブプライシングとは、メイン製品を低価格で、付属製品を高価格で販売する価格戦略です。この戦略を応用することで、一部の商品の値上げを成功させ、収益拡大が見込めます。

例えば、カミソリなどの商品は、本体の値段を下げ、何度も購入される刃の値段を上げる価格戦略が行われています。
長期的に買われる付属品を値上げしつつも、本体の値段を下げて購入を促進することで、通常の販売方法より長期的に高い収益が見込めます。さらに、この形式でも「安値と高値の共存」が実施できており、顧客が値上げを不当だと感じにくく、顧客離れが起きにくいのです。

3.ダイナミックプライシングの応用

ダイナミックプライシングとは、「高頻度で商品価格を変更させる仕組み」です。主に需給の変動に合わせて価格変更を行うかたちで活用されており、企業の収益最大化や混雑緩和など、多くの価値を発揮しています。

ダイナミックプライシングを用いると、需要が高い時に価格を上げることで利益率をあげ、一方需要が低い時は価格を下げることで顧客の不信感は抑えられます。つまり、これは時による需要変動を利用した、「安値と高値の共存」です。

さらに、ダイナミックプライシングは、需要によって価格を変更するため、混雑緩和や在庫処分などの恩恵も受けられます。

ダイナミックプライシングについては詳しくこちらで解説しています。

「安値と高値の共存」事例:JR東日本

JR東日本は、コロナ禍によって収益に大きな打撃を受けた企業です。2020年の4月から6月の売り上げは、前年度比2640億円も落ちてしまっていました。

そんな中、収益改善のための値上げを実施しましたが、そこでJRはダイナミックプライシングを検討していることを発表しました。ラッシュ時の価格をあげるだけでなく、混雑しない時間帯の価格を下げることで、人々から反感を持たれずに値上げすることを可能にしています。

値上げを成功させる戦略3.適切な値上げのお知らせ

適切な値上げのお知らせとは

適切な値上げのお知らせとは、値上げの伝え方を工夫する戦略です。

ここまで解説してきた値上げ自体を工夫する方法もありますが、適切な値上げのお知らせも重要になります。

商品値上げをした際の取引先への文章や、世間に対しての説明を真摯に行うだけでも、値上げに対する印象は変わります。

適切なお知らせでの戦略

1.メールでの値上げのお知らせ

メールでの値上げのお知らせは、工夫次第で顧客の印象を高く保つことができます。

まず、心得として、早い通知を心がけましょう。出来る限り前もって通知することで、誠実な印象を与えられます。

ここに、値上げのお知らせの際に必要な項目をまとめました。ぜひご参考になさってください。

値上げ取引先をメールでメールで記載すべき項目

  • 値上げを実施する旨
  • 値上げの対象商品
  • 値上げ開始の日程
  • 値上げ前の価格と値上げ後の価格
  • 値上げに対する考え方の表明(必要に応じた謝罪)
  • 継続しての利用のお願い

2.営業チームへの値上げの浸透

値上げを直接対面で通知してやりとりをする営業チームとの協力は、「適切な値上げのお知らせ」のために重要です。

しかし、実際に販売数の増加が目的であることの多い営業チームは、値上げを嫌うこともあります。実際に売りにくくなる他、取引を行っている企業との関係悪化をもたらす危険性があるため、値上げに反感を持たれるかも知れません。

そのため、実際に営業を行う彼らに、値上げの必要性や、競合と比較した時の値段感、値上げの背景を強く理解しもらい、心から共感してもらうことが重要です。

「適切な値上げのお知らせ」事例:ともえ庵

ともえ庵は都内のたいやき屋です。

2018年1月に、定番商品のたいやきの価格を150円から180円に値上げを発表し、2月に実施したところ売り上げ増加を達成しました。

この価格変更の際にともえ庵は、ブログ上で、値上げの背景や値上げが必要な理由、値上げに関するお詫びなどを長文で行ったのです。顧客に対する真摯な態度が成功の秘訣の1つと言えます。このように値上げのお知らせを工夫することで、顧客離れを防ぐ方法もあります。

参考:エンタメウィークたいやき「ともえ庵」ブログ

まとめ

「値上げ」は大きなインパクトをもたらす一方、「顧客離れ」のリスクを持ちます。この記事では、そんなリスクを回避することで値上げを成功させる戦略を3つ紹介してきました。

しかし、値上げに関しては実際の実行に際して専門家の協力が必要になることは多くあります。値上げや価格に関してお悩みでしたら、ご気軽に一度プライスハックにご相談ください。

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スキミングプライシング(上層吸収価格)とは|iPhoneの事例からわかる価格戦略

この記事では、スキミングプライシングについてご紹介します。「スキミング」という言葉を聞くと、カードの情報を読み取って不正に使用することだと思っている人もいるかもしれません。

ですが、スキミングプライシングとは、価格設定における戦略の1つであり、不正利用とは全く別の概念になります。スキミングプライシングについて、メリットやデメリット、注意点などを分かりやすく解説します。


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スキミングプライシングとは

スキミングプライシングとは、「初期段階の製品を高価格に設定し、早期に投資資金を回収する価格戦略」です。

スキミングプライシングは、活用次第では製品をマーケットに浸透させることができます。スキミングプライシングを行い、マーケットに浸透させていくまでの流れの一例をご紹介します。

ステップ1:新しい製品を早期から受け入れてくれる顧客を探す。
ステップ2:顧客からフィードバックをもらい、製品の改善する。
ステップ3:徐々に価格を低下させ、ターゲットを拡大する。
ステップ4:ターゲットを全市場に拡大する。

ステップ1:新しい製品を早期から受け入れてくれる顧客を探す

ステップ1の顧客とは、高価格でも買ってくれる層のことを指します。新しい製品に早期の段階から興味を持ち、受け入れてくれる人をターゲットにすることがポイントです。

このような顧客は市場での割合は少ないですが、固定化することが出来れば早期に投資資金の回収が可能になります。

ステップ2:顧客からフィードバックをもらい、改善する

早い段階から受け入れてくれている顧客から評価を聞くことでより良い製品に改善することができます。

ステップ2では、価格と製品の質の満足度をあげた上で市場を拡大することを視野に入れて行動します。この段階をいかに効率的に進行できるかによって、競合の参入を防げます。

ステップ3:徐々に価格を低下させ、ターゲットを拡大する

より良い製品に改善した後、徐々に価格を低下させることで、ターゲットを拡大します。

ステップ3でターゲットとする顧客は、製品を購買するかの意思決定に関しては慎重でありながらも新しい製品への関心が高い層です。

このような顧客は、口コミを信頼材料としているケースが多いため、早期から自社の製品を使用している顧客の評価をより一層重視する必要があります。

ステップ4:ターゲットを全市場に拡大する

ターゲットを全市場に拡大するためには、製品が市場においてどの程度一般化されているかが重要になります。

全市場をターゲットにする場合、周囲を見て判断する顧客や保守的な顧客も入ってきます。信頼性の面でもステップ3の基盤を固められているかにかかっています。そのため、ターゲットを全市場に拡大する前に、ターゲットの中でどれだけ一般化できているかを確認する作業を行った方が良いでしょう。

スキミングプライシングのメリット

スキミングプライシングには、3つのメリットがあります。

1.資金の早期回収ができる

早期段階で顧客を獲得することで、顧客に企業側の希望する価格を提示することが可能です。そのため、早期の段階から高い収益をあげられ、研究費や宣伝費を早期に回収できます。さらに資金の早期回収をすることで、開発した製品の改善のための費用も確保できます。

2.ブランドイメージを確立することができる

顧客に初期段階で高価格な製品に興味を持ってもらうには、顧客側の立場になって考えてみることが必要です。高価格でも購入する製品は、分野において革新的な特性を持つことがあげられます。ステータスを求める顧客に対して、最先端の製品を高価格で提供することで、製品のブランディングに役立ちます。

3.ターゲットを拡大できる

早期の段階で新製品の顧客を獲得しておくことで、口コミによって実際に広い顧客層に対して宣伝することが可能になります。関心がある顧客だけでなく、興味を持っていない顧客層までを最終的に狙うことができるというのがスキミングプライシングの強みです。製品の機能や価格の面でどの層にも受け入れられる製品に仕上げることが必要になってきます。

スキミングプライシングのデメリット

一見、メリットが多い印象のスキミングプライシングですが、デメリットもあります。

競合が参入しやすい

スキミングプライシングにより、革新的な新製品を高価格で販売することに成功すると、競合が安い価格で参入してくる可能性が高いです。

スキミングプライシングの特徴として、初期段階からの支持層の評価にもとづいて、改善を行うことがあげられていました。より良い製品を提供できるようになる反面、より多くのターゲット層に浸透するまでに時間がかかるため、競合の参入を許してしまいがちになってしまいます。

代替商品が世に出回ると、顧客が選べる選択肢が増え、どうしても高い値段では買われにくくなってしまうことが問題点としてあげられます。そうならないために、類似品が出る前に独占的な利益を獲得する必要があります。

スキミングプライシングの注意点

メリットとデメリットを理解した所で、スキミングプライシングを導入する際に注意しなければいけないことについてご紹介したいと思います。

1.高い価格に見合う製品の質が求められる

スキミングプライシングでは、製品に高い価格を設定することになります。それにより独自のブランドを築くことができますが、それには初期段階での価格と製品の質が釣り合っていることが非常に重要です。

仮に製品の質が見合わないまま製品の価格だけを高く設定しても、顧客から信頼されるブランドは築けない上に、初期段階での顧客の集客は見込めません。そのため、まだ市場に競合がいない製品や分野において革新的な特性を持つ製品でないと、スキミングプライシングを行うのは難しいでしょう。

2.価格弾力性が大きい製品では難しい

スキミングプライシングを価格弾力性が大きい製品で活用することは非常に難しくなります。

価格弾力性とは、価格の変動によって製品の需要と供給が変化する度合いのことを言います。価格弾力性が小さい製品では、商品価格の差が購買意欲にあまり影響をおよぼしません。製品の価格を高く設定しても、高い製品価値を生み出すことができれば顧客に選んでもらえます。一方で、価格弾力性が大きい製品を高い価格に設定してしまうと、低価格で提供する競合に勝つことは難しいです。

スキミングプライシングと事業領域

スキミングプライシングの応用をしているのが、アップル社のiPhoneです。アップル社は、iPhoneを売り出す際にブランドイメージを重要視しました。

ブランドイメージを確立するため価格を高価格に設定することで、確固たるブランドイメージを植え付けるだけでなく、高価格の製品を早い段階から受け入れてくれる顧客の興味を引くことに成功しました。

それと同時に発売前からiPhoneの宣伝を積極的に行なうことで発売予定日が決まる頃には、顧客のiPhoneに対する関心を最大限まで高めました。当時の携帯電話よりiPhoneがどれだけ優れているかを比較するという手段を使うことで、価格と質の釣り合いも証明することが出来ました。

アップルの応用例をみても、スキミングプライシングは、特にハイテク産業と相性が良いと言えます。常に最先端を追求され、そのために莫大な資金を必要とする事業が向いていると考えられます。

まとめ

スキミングプライシングとは、初期段階の製品を高価格に設定し、早期に事業の投資資金を回収する価格戦略です。

主に初期段階の価格戦略であるため、導入後の戦略は様々です。スキミングプライシングの例として取り上げたアップル社は、その後も価格を変えずに市場を伸ばしています。

一方で、スキミングプライシングの流れの中で紹介した様にターゲット層を広げるために低価格にしていく価格戦略も考えられます。

「初期段階の製品を高価格に設定し、早期に投資資金を回収する」という本来の目的を達成するためには、初期段階での顧客の存在なしにはなし得ません。初期段階での顧客によって、その後の市場のターゲット層や価格が変わってくると考えられます。企業ごとにターゲットとしたい層を確認しながら、市場を広めることが必要になってくるでしょう。

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ダイナミックプライシング導入

ダイナミックプライシングと相性の良い企業は?事例をもとにわかりやすく解説

この記事では、どんな企業がダイナミックプライシングを導入するのに適しているのかについて解説していきたいと思います。

ダイナミックプライシングとは何かわからない、という方はこの記事をご覧になってください!


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ダイナミックプライシングが適する企業

ダイナミックプライシングは、価格を動的に変更することを通じて収益最大化に貢献します。価格の動的な変更を需給の変動に合わせて行うことで収益を上げるのですが、その需給変動の予測が近年AIの発達、ビッグデータ利用の拡大によって容易になりました。それにより、現在多くの業界、事業での導入が可能となりました。

しかし、全ての事業でダイナミックプライシングが同様に適しているわけではありません。今回は特に導入を検討すべき企業の特徴を、2パターンに分けて紹介します。それらの特徴に当てはまっていれば、仮に業界内でどの企業もダイナミックプライシングを導入していなくても導入を考えることができるかと思います。

パターン1:導入による収益最大化・工数削減効果が見込まれる

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴1 「需要が変動する商品を扱っている」

そもそも、ダイナミックプライシングが収益の最大化につながるのは、商品の需要は変動するという前提があってのものです。スポーツの試合のチケットの需要は、雨の日と晴れの日で異なりますよね。そのように需要が変動する商品を扱う場合、実際は販売することができる最高の価格は変動するはずです。同じ試合でも、晴れの日のチケットは4000円、雨の日のチケットは1000円の価値しかないかもしれません。その需要の変動に合わせて実際に価格を変更することで、収益を最大化させるのです。これがダイナミックプライシングが収益最大化につながる基本的な理由です。そのため、需要が変動する商品を扱う企業とって、ダイナミックプライシングは有用だと言えます。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴2 「商品価格の変更を大量かつ頻繁に行っている」

小売店など、市場内での供給(競合の状態)が変動する業界では、すでに大量の商品の価格変更や、頻繁な価格変更をしている企業があります。このような企業は導入を検討すべきです。

ダイナミックプライシングのメリットの一つに自動化による価格変更作業の工数削減があります。価格競争が厳しい業界や、価格を変更しようとすると大きなコストがかかるような業界では、手動での価格変更そのものに高いコストがかかっています。実際に、家電量販店などのオフラインの小売店では、毎日の価格張り替えコストが大きく、店員のそこにかける工数が大きすぎると問題視されています。実際に、オンライン/オフラインの小売店では、ダイナミックプライシングを導入することで、大量の商品の価格変更を頻繁に行うための人的コストを削減しています。このように、工数削減にも大きな効果を発揮するのです。

また、大量の商品の値段を頻繁に変更する場合、手動での価格管理は価格変更ミスなどのリスクを伴いますが、DPのシステムを導入することで、価格管理/変更をダッシュボード上で確実に実施できるようにります。

これらのメリットを享受しやすいため、大量の商品の価格変更や頻繁な価格変更を必要とする企業は導入を検討すべきです。

パターン2:導入に伴う顧客離れを起こしにくい

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴3 顧客との強い関係性を築けている

ダイナミックプライシングには、導入する際の注意点があります。それが顧客との関係悪化です。短期的な収益向上につながっても、長期的にみた場合、導入による不信から顧客離れを起こし、収益減退につながる可能性があります。

しかし、顧客との間に強い関係性が築けている場合は違います。2019年1月からダイナミックプライシングをチケット価格に導入した、ユニバーサルスタジオジャパン(以下USJ)が挙げられます。USJはこれまでも一定価格制を取りながらも段階的に値上げをしてきました。そしてその間、来場者数を減らすことなく、その人気を保ち続けてきたのです。この背景には、USJが常に顧客からの支持を得るために、アトラクション開発や施設内サービスの充実させてきた事実があります。このように顧客と強い関係性を築けているがゆえに、ダイナミックプライシング導入後もUSJの評判が大幅に落ちることはありませんでした。実際、旅行予約サイトじゃらんやTripadvisorの口コミ評価も、導入前と比べて大きく下落してはいません。

また、スポーツチームでも、顧客離れは起きにくいと考えられています。スポーツチームと顧客を結ぶ強い関係性は「応援」です。ダイナミックプライシングによって上がった収益が自分の応援するチームの強化に繋がるという流れが見えれば、顧客は導入を納得感を持って受け止めてくれるでしょう。

このように強い関係性を顧客と築けている企業は、顧客離れの可能性というデメリットを受けることなくメリットを享受できるため、ダイナミックプライシングの導入に適していると言えるでしょう。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴4 ダイナミックプライシングによる値上げによって顧客にメリットを出せる商品を扱っている

ダイナミックプライシングによる大幅な値上げがあった際に、顧客に「この企業は、自社の儲けだけを追求している」とみなされてしまう可能性があります。値上げが頻繁に発生すると、ダイナミックプライシングを導入した企業に不信を持ってしまうかもしれません。しかし、値上げによって顧客の満足度が向上する場合、それは起きにくいと考えられます。このケースは、いくつかのCtoCサービスがあてはまります。

その例の一つが、個人がタクシーとして乗客を乗せることができるアメリカの配車サービス Uber です。乗客は行き先をアプリで入力し、近くにいるドライバーとマッチングする仕組みなのですが、マッチング時に提示される運賃がダイナミックプライシングによって調整されています。そして、このダイナミックプライシングでは、値上げしか行いません。一見顧客離れにつながりそうですが、実際には、Uberのでは、あまり問題になっておりません。これは、顧客満足度向上のためにダイナミックプライシングが必要だという、導入の理由があるためだと考えられます。

乗客にとって、近くにドライバーがおらず、乗りたくてもなかなか乗れないことは大きなストレスとなります。そのため、乗車待ちの客がが多いところには本来、ドライバーが多く向かうべきです。しかし、UberのドライバーはUber社員ではない第三者であるために、強制力を持ってドライバーを需要の多い地域に向かわせることができません。それでもドライバーを動かそうと思うと、金銭的な報酬動機付けが必要になるのです。

Uberのダイナミックプライシングは値上げのみのものですが、需要が集中した際に、乗客のもとに十分な数のドライバーを届けるという、顧客に適切にサービス提供する目的があるため、顧客にも一定納得感があるのだと思います。この例のように、顧客満足度向上のためにダイナミックプライシングが必要な商品/サービスを扱っている企業の場合、しっかりと顧客にそれが伝われば、顧客離れを起こさず、ダイナミックプライシングのメリットを享受することができるのだと思います。

ダイナミックプライシングが適する企業の特徴5 価値の変動が実感されやすいサービスを扱っている

ダイナミックプライシングのリスクとして、サービスの価格を値上げさせたのものの、サービスの質に値段が見合わないとして、サービス自体の評価が下がってしまうことがあります。

これは、サービスの価値の変動が実感できない場合に発生しています。例えば、タクシーでダイナミックプライシングを導入すると仮定すると、自分の興味のないイベントが行われていて、その会場付近のタクシーの需要が高いために値上げされれば、おそらく割高なタクシーだと感じられてしまうでしょう。

一方、価値の変動を顧客が実感しやすい場合は、値段が変わっていても、サービスや商品の質が低いとは思われにくいです。その例としては、サービスや商品そのものの価値が変動する場合が挙げられます。リーグ優勝が決定する試合になるとわかってから高騰するスポーツの特定の試合や、雪が溶ける春先と比べた真冬のスキー場の利用料金が高くなることがその具体例となりますが、このような場合だと、顧客はサービスの価値が変化していることを自ら理解しているため、価格が高くなったとしても、商品の価値と比較して値段が高いとは思われにくいです。

このような、価値変動を顧客が実感しやすいサービス・商品を扱っている企業は、商品価値がダイナミックプライシングによってに設定した値段に対して低いと思われず、顧客離れを起こしにくいため、そのリスクを負わずに導入を検討することができます。

まとめ

ダイナミックプライシングにはメリットとデメリットが存在しています。メリットが大きくなる企業デメリットが小さくなる企業は、導入の恩恵を受けやすいため、導入に適していると言えるでしょう。今回の記事で、導入すべき企業の特徴を理解していただき、導入の検討につながれば幸いです。

ダイナミックプライシング導入のメリットに関してはこちらからご覧ください。

デメリットに関してはこちらからご覧ください。