カテゴリー
コラム

T2D3とは?SaaS企業の成長指標・達成のための7つのフェーズとプライシング戦略

T2D3という用語は、2015年にベンチャーキャピタリストのNeeraj Agrawal氏によって提唱され、SaaS企業が急成長を遂げ、高い企業価値を実現させるために達成すべき数値として世界的に知られるようになりました。

この記事では、T2D3という用語の意味と定義、達成するために行うべき施策、さらには成長フェーズに応じたプライシング戦略の考え方についても解説します。

T2D3とは

「T2D3(ティーツー・ディースリー)とは、ARR(サブスクリプションの年間売上)が1億円を突破してから、3倍(Triple)で2年、2倍(Double)で3年というペースで売上が伸びる状態を示した、SaaSスタートアップの成長スピードをはかる指標のことです。

T2D3という用語は、SaaSに数多く投資するBattery VenturesのNeeraj Agrawal氏が提唱したとされ、2015年2月に同氏がTech Crunchのエントリを公開したことで有名になりました。

T2D3を達成するための7フェーズとプライシング戦略

Neeraj氏のエントリでは、SaaS企業が市場参入してから成功するまでの段階を7つのフェーズに分け、それぞれで行うべきことを解説しています。具体的には、次の7つです。

  • フェーズ1:PMFの確立
  • フェーズ2:ARR(年間経常収益)200万ドル達成
  • フェーズ3:ARR600万ドル達成(3倍)
  • フェーズ4:ARR1800万ドル達成(3倍)
  • フェーズ5:ARR3600万ドル達成(2倍)
  • フェーズ6:ARR7,200万ドル達成(2倍)
  • フェーズ7:ARR1億4400万ドル達成(2倍)

フェーズ1:優れたPMFの確立

フェーズ1では、まずプロダクトマーケットフィット(PMF:Product-Market Fit)と呼ばれる顧客の課題を満足させるSaaSを提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態の確立を目指します。事業化するための顧客セグメントを見つけ出し、顧客獲得を優先すべきフェーズです。

プライシング戦略のポイント
スタートアップのステージでいうと、いわゆるシード期にあたります。このフェーズでは、企業はすでに規模の大きくなっている企業のように、既存顧客のデータをもとにプライシングを行えません。プロダクトをローンチしたばかり、またはローンチできるかどうかという時期のため、価格設定に割く時間は最小限に抑えながらも、次のような複数の切り口からデータを集め、意思決定を行えると良いでしょう。

フェーズ2:ARR(年間経常収益)200万ドル達成

フェーズ2では、ARRで200万ドルを目指します。1社あたりの平均経常収益が3万〜8万ドルと仮定すると、30〜60社の顧客を獲得できている状態を意味します。

フェーズ3:ARR600万ドル(3倍)達成

フェーズ3では、ARRをフェーズ2の3倍である600万ドルを目指します。この「最初のトリプル:T1」を達成するために、Neeraj氏はセールスリーダーと、5〜10人のセールスを採用して計画を進めるべきだと説いています。

プライシング戦略のポイント
フェーズ2、3あたりのミドル期になるとプロダクトのMVPは完成していて、誰が顧客なのかといったデータは揃ってきます。シード期に一旦置いていた価格をリ・デザインし、既存・潜在顧客がフェアと感じるプライシングを「パッケージ」として完成させる必要があるでしょう。

フェーズ4:ARR1800万ドル(3倍)達成

フェーズ4では、ARRをフェーズ3の3倍である1,800万ドルを目指します。フェーズ3からさらに半分以上セールスを増員し、10〜20人程度で推進していき、CEOはマネージャー育成と大きなアカウント獲得について時間を費やします。

プライシングの戦略ポイント
このあたりはレイターステージといっていいでしょう。すでにプロダクトラインは拡大していて、より広い顧客ベースにサービスを提供しており、事業としての複雑性は増している状況です。ここでは、複雑さを適切に整理し、オンライン上での顧客への見せ方をどうするかによってレイターになっても成長速度を上げられます。料金ページを常にアップデートし続ける、価格プランごとのペルソナを設定する、などの施策を行いましょう。

フェーズ5:ARR3,600万ドル(2倍)達成

フェーズ5では、ARRをフェーズ4の2倍である3,600万ドルを目指します。約20〜30人のセールスと3〜5人のマネージャーの組織を編成します。Neeraj氏は、このフェーズでの課題として「グローバルでの販売展開」であると指摘します。CEOは、英国、フランス、ドイツなどのEMEA地域におけるセールスを機能させるためにも、英国に3〜5人、その他の国で1,2人のセールス担当を配置します。

フェーズ6:ARR7,200万ドル(2倍)達成

フェーズ6では、ARRをフェーズ5の2倍である7,200万ドルを目指します。ここで取り組むべきは、非線形成長を確立すること、またはリセラーやパートナーチャネルを機能させることです。Neeraj氏は、ARR5000万ドル達成前にこうしたチャネルを立ち上げるのは時期尚早であり、また数十社ではなく、1、2社のパートナーとの生産性を高めることが重要だと指摘します。

フェーズ7:ARR1億4,400万ドル(2倍)に到達

フェーズ7では、ARRをフェーズ6の2倍である1億4,400万ドルを目指しますが、ここまでくれば企業価値10億ドル、IPOが見えてきます。しかしこれがゴールではなく、IPO後にさらなる成長を目指していくことになります。

T2D3を達成した海外SaaS企業事例

前述したプロセスでARRが成長していけばT2D3となり、急成長を遂げているSaaSスタートアップとして世界的にも高く評価されます。しかし、これを達成することは簡単ではありません。次の7つの企業は、いずれもT2D3の指標を達成したSaaSですが、T2D3を達成したあともグローバルで高い成長を遂げている企業ばかりです。

  • Marketo
  • NetSuite
  • Omniture
  • Salesforce
  • ServiceNow
  • Workday
  • Zendesk

一方、日本のSaaS企業の中でT2D3を達成している企業はあるのでしょうか。

各SaaS企業の決算発表資料やメディアでの発言を調べたところ、SmartHR、プレイドといった企業がT2D3達成を目指していると発言していますが、2021年4月時点では、まだT2D3を達成しているとSaaS企業はないように思えます。もしT2D3を達成している企業があれば追記しますので、ぜひ編集部にお問い合わせください。

富士キメラ総研の調査によれば、日本国内SaaS市場は2024年に1兆円規模に達すると予測されており、今後ますますの成長が見込める領域です。国内からもグローバルで広く普及するSaaSが生まれることを期待したいです。

すべてのSaaS企業はT2D3を目指すべきか

T2D3は、投資家がSaaS企業の事業成功を予測するための指標として使用されますが、「T2D3を達成できない=SaaSとして失敗している」というわけではありません。日本のSaaS市場と米国とではマーケットの規模も異なるため、単純にT2D3の指標を当てはめるべきかどうかは議論の分かれるところです。

しかし、世界を見据えてグローバル市場をターゲットにしているSaaSであれば大いに参考にすべきでしょう。フェーズ5のARRを達成するにはドメスティック市場だけでは難しく、グローバルでの販売展開戦略がカギを握ります。

T2D3ペースで成長するためにプライシング戦略の見直しを

T2D3を達成している多くのグローバルSaaS企業で実践されているのが、プライシングの見直しです。2021年4月に開催されたセミナー「グローバルトレンドから考える サブスクビジネスのプライシング戦略」では、実際にグローバルSaaSが策定、実行しているプライシング戦略が解説されています。

プライシングを見直す企業のLTVは11倍を超える

セミナーに登壇したSTRIVE 四方智之氏によれば、「米国のスタートアップのじつに80%が年1回に価格の見直しをしており、そのうち40%は2回以上行っている」といいます。

また、計画的にプライシングを見直している企業とそうでない企業で、ユニットエコノミクス(LTV/CAC)に大きな差が出ており、継続的にレビューしている企業の11.1倍に対し、価格改定しない企業は1.7倍程度にとどまっています。

詳しい内容は次の記事をお読みください。

T2D3のスピードで成長したいSaaS企業、急成長をめざしたいサブスク事業者にとって、プライシングの課題に取り組むことは非常に大切です。

戦略的なSaaSプライシングを実践したい方は、無料ホワイトペーパー「ワークショップ形式で理解するSaaSプライシング実践の基本」をご一読いただくか、プライスハックまでお気軽にお問い合わせください。

プライシングによって皆さまのSaaS事業成功のお手伝いができることを楽しみにしています。

カテゴリー
コラム

CAC(顧客獲得単価)とは|定義・計算方法・重要な理由

顧客を獲得する状況を把握するために、CACを知ることは重要です。この記事では、CACの定義・計算方法・改善方法などを紹介します。

CAC(顧客獲得単価)とは

CACとは、Customer Acquisition Costの略で、日本語で顧客獲得単価のことです。
顧客獲得単価とは、1顧客を獲得するために必要な活動の総コストで、マーケティング費用・営業活動費・人件費など全てのコストを含みます。

サブスクリプションモデルのサービスが健全な状態であるためには、CACを意識して、拡大させながらもコストを抑えたサービス展開が必要です。

CAC(顧客獲得単価)の計算式

CACの計算は以下の式で行えます。

CAC(顧客獲得単価)=マーケティング費用・営業費などを含む総コスト÷獲得顧客数

例えば、100の顧客を獲得するのに500,000円を投資したとしたら、CACは5,000円となります。

・CACに含まれるもの

マーケティング費用・営業活動費(人件費・広告費など)

・CACに含めるべきではないもの

CS(カスタマーサクセス)におけるコスト

CSのコストは、営業の一部としてCACに含むとする議論もありますが、LTVの計算に使うCACには含まないとする考えが一般的です。

CAC(顧客獲得単価)が重要な理由

CACが重要な理由としては、次の2点があげられます。

ビジネスの将来性をはかれる

CACはビジネスの将来的な成功を測るために利用される重要な指標です。

サービスが多くの顧客に利用されるようになったとしても、CACが非常に高い場合、利益率が悪く、儲かるビジネスにはなりません。そのため、CACの把握は、企業の将来を考えるにあたり必須です。

LTVとCACの関係

企業は、資金を投資して顧客を獲得します。その際にかかるコストがCACであり、利益としてはマイナスになります。時間が経つとともに課金されて利益は高まっていきます。(紺色の部分)

その後、損益分岐点を迎えてからは、契約期間中である限り利益は積み上がっていきます。(水色の部分)

一般的に、LTV>CAC×3の状態が健全な状態といわれています。

収益回収期間の想定

顧客獲得における費用の回収期間を概算し、黒字化するタイミングを算出できます。

CACの回収期間は次の計算式です。
CACの回収期間=CAC÷顧客1人あたりの月平均単価

CACの回収期間は、短ければ短いほどキャッシュフローがよくなります。

CACを改善するための施策

CACを改善するための施策を4つ紹介します。

顧客獲得のプロセスの改善

顧客獲得に必要な複数の施策を、定量的に管理します。数値をもとに、それぞれを改善していくことで、無駄を省いた顧客獲得が可能になり、CACを下げられます。

価格設定・プライシングの工夫

価格設定・プライシングを工夫することがCACを改善できます。toCのサービスにおける会員登録費用、toB向けサービスにおける導入前のガイダンス費用や導入費用など価格体系を工夫することで、CACの早期回収が可能です。

マーケティング・営業の費用対効果を高める

収益性が証明されている>マーケティング・営業方法に資金を集中させて、安定して結果を出すことで、CACを減らせます。

インバウンドマーケティング

顧客自らが自社の商品・サービスを知ってもらえるような仕組みを作るために、オウンドメディアを利用するなどインバウンドマーケティングがあげらます。インバウンドマーケティングは、ストック型コンテンツとして蓄積されるため、長期的にCACを削減します。

まとめ

CACは1人の顧客を獲得するのにかかる総コストのことです。LTV/CAC比率が比較的高い状態にあると、事業拡大をしてもあまり利益を得られません。そのため、CACを常に見つめて、状況に応じて改善する施策をうつことが重要だと言えるでしょう。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

カテゴリー
コラム

LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)とは|計算方法・顧客獲得との関係

企業の状態を理解するために、顧客のLTVを把握することは、最も重要なことの1つです。この記事では、LTVの定義・計算方法・顧客獲得との関係性などを紹介します。

LTV(生涯顧客価値)とは

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、日本語では顧客生涯価値のことです。
顧客生涯価値とは、顧客1人が生涯のうちに、企業にもたらす売上または利益がどれくらいあるかを算出したものです。

LTVが売上であるか、利益であるかの明確な定義はなく、業界によって使われ方は様々です。小売業界などの売り切り型モデルのビジネスを展開する企業では、売上ベースのLTVの考え方が主である一方、SaaS業界などのサブスクリプションビジネスを展開する企業では、利益ベースのLTVの考え方が主流です。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法・公式

LTV(顧客生涯価値)の計算方法は、次のようにあらわされます。ここでも売上ベースであるか、利益ベースであるかは注意しなければいけません。

売上ベースのLTVの計算方法

LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数(購入期間)

利益ベースのLTVの計算方法

LTV=ARPU(顧客あたりの平均月間収益)×粗利率×解約率

LTVと顧客獲得の関係

LTV(顧客生涯価値)は、顧客獲得を考える際に重要な指標となります。LTVを算出できれば、企業は顧客獲得のための広告費やマーケティング費用をいくらに設定すれば、健全に利益を生み出せるかを計算できます。

ここでLTVを利用した顧客獲得を考えるうえで、顧客獲得単価と称されるCPA(Cost Per Acquisition)とCAC(Customer Acquisition Cost)の違いについて解説します。

CPAとは、1人の顧客獲得に必要となった広告費のことを指します。一方、CACは顧客1人を獲得するために費やしたコストを意味し、広告費だけではなく、マーケティング費用・人件費など様々なコストを合計したものです。

顧客獲得単価の違いを理解すると、LTVの売上ベースであるか、利益ベースであるかを理解できるようになります。

売上ベースのLTVと顧客獲得

売上ベースのLTVは、CPAすなわち1人あたりの広告費の算出に役立ちます。

上限CPA=売上ベースのLTV×粗利率

上限CPAとは、顧客を1人獲得するのにかけられる最大の広告費のことです。利益(売上ベースのLTV×粗利率)を広告費が上回ると企業は赤字になってしまいます。スタートアップのような初期段階は赤字を掘ってでも顧客獲得を重要視するような場合は、上限CPA以上の広告費を使うことがありますが、基本赤字ではビジネスは成り立ちません。

利益ベースのLTVと顧客獲得

利益ベースのLTVは、CACすなわち顧客1人を獲得するための総コストの算出に役立ちます。

利益ベースのLTV>CAC×3

一般的にLTVがCACの3倍以上であると、企業は健全といわれています。1以上でも利益は出ますが、LTVは将来的な長い期間を見なければならなく、キャッシュフローにおいて問題になることがあるため、3以上という状態を目指すことが重要です。

LTV(顧客生涯価値)が重要な理由

LTVの把握が重要な理由として、顧客獲得以外にも次の点があげられます。

様々な部署で共通したKPIとして活用できる

LTVは、収益性と顧客の維持の程度を組みあわせた指標であるため、さまざまな顧客獲得の手法の成否を、その顧客のLTVから評価できます。

「営業をし続けた結果得た顧客」「マーケティングに力を入れて獲得した顧客」など、顧客獲得手法ごとに得た顧客のLTVを比較することで、力を入れるべき方向性への示唆を得られます。

ペルソナ決定に利用できる

サービス成長にあたり、理想的なペルソナの顧客を増やしていくことが重要です。理想的なペルソナの選定を「LTVの高さ」という観点から行い、LTVが高くなる顧客属性を分析することで、そのような顧客の獲得、もしくは利用を継続させる施策をおこなえます。

リテンション施策の評価に利用できる

LTVでは、顧客の維持を測れるので、顧客の継続利用を促すための取り組みや、追加購入されたものが、どのように顧客の維持に影響したかを理解できます。これにより、長期利用されるために、製品開発や施策設計の改善が可能です。

財務戦略で活用する

平均的なLTVを算出しておくことで、新規顧客の獲得が、長期的なキャッシュに与える影響を予測可能になります。これにより、成長戦略の立案や、マーケティング費用の査定が、財務の目線から可能です。

LTV(顧客生涯価値)と割引

割引の実施は、結果的に平均LTVを下げてしまうリスクがあります。割引は短期的な収益を改善することができますが、それによって集まる顧客は、長期的に会社にとって有益でない可能性があります。

通常価格で買わなかった顧客は、値上げに敏感に反応してしまう顧客が多いです。そのため、自ずと解約率が高くなってしまいます。そして、価格の低さと解約率の高さからLTVが低くなってしまいます。

LTV(顧客生涯価値)を上げる方法

LTVを上げるための3つの方法を紹介します。

顧客のアップセル

顧客単価をあげるアップセルは、LTVの拡大に繋がります。しかし、単発のアップセルでは長期的にみたLTVに大きな影響を与えないため、アップセルした場合の利用期間を継続してもらえる施策をしなければいけません。

サービスラインの拡大

複数のサービスを展開している企業の場合、1サービスを利用する顧客に対して、その繋がりを使って、別のサービスを販売することで、LTV向上を目指すことができます。

支払意欲に応じたプライシング戦略

支払意欲の高いユーザーは高い価格プランを用意し、支払意欲の低いユーザー向けに低い価格プランを用意するように、支払意欲に応じたプライシングをすることは、平均顧客単価と解約率を改善することが可能です。平均顧客単価と解約率を改善できれば、LTVの向上が可能です。

まとめ

LTVは、顧客がもたらす継続的な企業への価値を表します。
顧客単価や継続期間・継続率を包括した指標であるLTVを追跡することで、商品・サービスの状態を理解できます。

LTVを活用することで、より見通しの良い経営が可能になるでしょう。
価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

カテゴリー
コラム

SaaS関連用語まとめ|LTV・MRR・ACV・WTPなど

SaaSには様々な用語がありますが、似ているものが多く理解しにくいのではないでしょうか。そのため、この記事ではSaaSで代用的な用語を紹介します。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(顧客生涯価値、Life Time Value)とは、顧客が商品・サービスを利用し続ける中で、企業に支払う総額です。業界によって、LTVを売上とみなすか、利益とみなすかで、考え方が変わります。

LTVを理解することで、顧客獲得のために、どのくらいマーケティング費用をかけると利益が出るのかを把握することができます。

LTV(顧客生涯価値)の計算方法

LTV(顧客生涯価値)の計算方法は売上ベースか利益ベースかによって変わってきます。

売上ベースの場合

LTV(顧客生涯価値)=顧客の平均購入単価×平均購入回数(購入期間)

利益ベースの場合

LTV(顧客生涯価値)=ARPU(顧客あたりの平均月間収益)×粗利率×解約率

CAC(顧客獲得単価)

CAC(顧客獲得単価、Customer Acquisition Cost)とは、1顧客を獲得するために必要な活動の総コストです。

仮に多くの人にサービスが利用されていたとしてもCACが高いと利益があまり出ません。CACを理解しておくことはビジネスの将来性を測るためにもとても重要です。

CAC(顧客獲得単価)の計算方法

CACは次のように計算します。

CAC(顧客獲得単価)=マーケティング費用・営業費などを含む総コスト÷獲得顧客数

MRR(月間経常収益)

MRR(月間経常収益、Monthly Recurring Revenue)とは、企業が毎月繰り返し得られる収益(売上)を指します。

MRRを算出すると提供するサービスの成長度などの状態がわかるため、目標設定や戦略を考えるのに役立ちます。

MRR(月間経常収益)の計算方法

MRRは次のように計算します。

MRR (月間経常収益)= 提供している月額料金プラン×顧客数

プランが分かれている場合はそれぞれ計算し合計します。

ARR(年間経常収益)

ARR(年間経常収益、Annual Recurring Revenue)とは、年間の定額収益を指します。

ARR(年間経常収益)を理解しておくと一年単位の事業の評価ができるため、長期的な計画を立てることができます。ARRの把握に加えてMRR(月間経常収益)も一緒に把握しておくことが大切です。

ARR(年間経常収益)の計算方法

ARRは次のように計算します。

ARR(年間経常収益)=提供している月額料金プラン×顧客数×12

ACV(年間契約金額)

ACV(年間契約金額、Annual Contract Value)とは、顧客との契約から得られる1年あたりの収益を指します。

ACVを理解しておくことで企業の契約状況を把握することができます。

ACV(年間契約金額)の計算方法

ACVは次のように計算します。

ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

TCV(合計契約金額)

TCV(合計契約金額、Total Contract Value)とは、契約中の全期間に支払われる合計額を指します。

TCVは予測ではなく実際の契約から算出されるため、LTV(顧客生涯価値)よりも正確な収益の予測ができます。一方、契約更新が頻繁な場合は、契約期間が反映しにくく活用が難しいです。

TCV(合計契約金額)の計算方法

TCVは次のように計算します。

TCV=(毎月の経常収益×契約期間)+そのほか契約期間無いの料金(初期費用、オプション料金など)

WTP(支払意思額)

WTP(支払意思額)とは、「Willingness to Pay」の略で、顧客が商品・サービスに対して支払いたいと思う最大の金額のことを指します。

価格設定をする際にWTPを理解しておくことはとても重要です。

価格感応度

価格感応度は、「Price Sensitivity」の日本語訳であり、顧客の購買行動に対して価格がどのように影響しているかを数値化する尺度です。

顧客の支払意欲を明確にし、サービスの価値を定量的に表すことができるため、価格設定に大きく役立てることができます。

まとめ

今回はSaaS関連の用語についてまとめました。これらの用語は、理解しておくことで事業の成長に役立てることができます。

価格・プライシングに関するお悩みがある事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

カテゴリー
コラム

TCV(合計契約金額)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

TCV(Total Contract Value)は合計契約金額のことで、企業が契約の中で支払われる合計額をあらわす指標です。TCVの計算方法や重要な理由について解説します。


プライシングスプリント

TCV(合計契約金額)とは

TCV(Total Contract Value)は合計契約金額のことで、契約中の全期間に支払われる合計額をあらわす指標です。サービスに契約している顧客からの経常収益に加えて、追加コンサルタント料金や、導入料金などの契約期間中に発生する料金全般が含まれます。

TCV(合計契約金額)の計算方法

TCVの計算方法は、非常に単純です。

TCV=(毎月の経常収益×契約期間の長さ)+その他契約期間内の料金(初期費用、オプション料金など)

ここで重要なポイントは、TCVは予測ではなく、実際の契約から算出されることです。

そのため、平均的な継続率から、長期的に収益を予測するLTVなどの指標よりも、正確な収益の予測ができます。

一方、月毎の更新など契約更新が頻繁な場合、仮に長く利用するユーザーでも契約期間を1ヶ月として計算するように、契約期間を正しく反映しにくいため、活用しにくいです。

また、考慮していない契約更新や価格変動が行われた場合、算出したTCVと実態が離れてしまう場合があります。

TCV計算の例

とあるサービスを利用する顧客Aと顧客Bを用意し、TCV計算の例を示します。

・顧客A:月額5,000円の基本料金で1年間契約
・顧客B:月額5,000円の基本料金で1年間契約。追加のオプション料金で、60,000円の支払いも。

顧客AのTCVは次のように計算されます。
(5,000円×12ヶ月)+ 0円= 60,000円

顧客BのTCVは次のように計算されます。
(5,000円×12ヶ月)+ 60,000円=120,000円

TCV(合計契約金額)の重要性

TCVはサブスクリプションサービスを行う企業にとって、見過ごしてはならない指標です。TCVが重要な理由を4点から紹介します。

正確な収益予測

TCVは、現実の契約をもとに算出します。そのため、予測をもとに算出するLTVと比べても、より実態に沿った数値となります。これにより、組織拡大やマーケティング拡大への間違ったタイミングでの投資を防ぐことが可能です。また、正確な収益予測は投資家を安心させられるでしょう。

収益性の高い顧客の特定

TCVを使用して顧客あたりのTCVを算出すると、高い収益を得られる顧客がどんな属性を持つのかがわかります。それをもとに、収益性の高い見込み顧客を中心に営業に行くことで、収益を増やしてコストを削減可能です。

契約期間の最適化

TCV算出の過程で、顧客ごと、顧客属性ごとの契約期間を見れます。1度の契約で、1ヶ月しか契約しない顧客もいれば、3年間契約する顧客もいます。これらの情報から、顧客層ごとに提案するべき最適な契約期間がわかるため、顧客層ごとの適切な期間での契約提案が可能になり、長期間の契約の成約率を高められます。

マーケティング支出の最適化

算出したTCVをCAC(顧客獲得単価)で割ることで、現状のマーケティングへの投資の効果が測定できます。それにより、投資すべきマーケティングチャネルを判別できます。

TCV(合計契約金額)とACV(年間契約金額)の違い

同じく契約に生まれる金額を計算する指標として、ACV(Anual Contract Value)があげられます。

TCVは契約期間すべてで得られる収益を示しますが、ACVは1年間の間で得られる収益を示します。

ACVは、複数の顧客を比較する際や、企業の成長を知りたい場合により有用です。契約期間を年換算するため、契約期間が異なる企業同士の支払い状況を比較することが可能になります。さらに、新規契約の量が増え続けているのかどうか、その新規契約は本当に質が高いものなのかがわかります。

一方、期間に関係なく、純粋にその顧客から得られる収益を知りたい際は、TCVを測定することが良いでしょう

ACVについて詳しくはこちらの記事をご覧ください

まとめ

TCVは、LTVなどの他の全体収益を表す指標と比べ、より契約状況に忠実に算出できることが特徴です。

TCVを扱えると、収益状況をより正確に見積もれるうえ、顧客の理解を進めて、販売施策を最適化することができます。

他にもSaaSやサブスクリプションにおける用語を知りたい方はこちらの記事を参照してください。

カテゴリー
コラム

ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違いとは

企業の収益状況を表す2つの指標、ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違いを解説します。


プライシングスプリント

ARR(年間経常収益)とACV(年間契約金額)の違い

ARRは、1年間契約した場合に見込める経常収益を表します。ARRを求める際は、ある月の経常収益をもとに、1年間契約した場合の収益を計算することが多いです。ARRを活用すると、企業は、自社の成長を知れるうえ、その年に見込める収益を推定できます。

一方、ACVは契約した顧客から将来的に得られる経常収益の1年分を示します。ACVは、顧客1人ずつに着目し、契約により確定している1年間に得られる収益を求めます。

ARRとACVの算出方法の比較

ARR=MRR(月間経常収益:1ヶ月間の経常収益)×12ヶ月
ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

顧客A:月額5,000円の契約を2年間
顧客B:月額5,000円の契約を2年間+初期費用10,000円(初年度)

<顧客Aの場合>
ARR=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)
ACV=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)

<顧客Bの場合>
ARR=60,000円(5,000円/月×12ヶ月)
1年目のACV=70,000円(5,000円/月×12ヶ月+10,000円)
2年目のACV=60,000円(5,000円/月×12ヶ月+0円)

ARRとACVの利用タイミングの違い

ARRとACVは、利用すべきタイミングが異なります。

ARRとACVそれぞれの、特に使うべき時について解説します。

ARR:事業の成長を測りたいとき

ARRの利用は、企業の成長率を測りたいときに適しています。ビジネスの収益状況が健全かどうかを検証し、そして企業の目標から逆算して求められる成長速度を計算することができます。

特に、サブスクリプションサービスの場合、得られるARRは価格戦略やビジネスモデルの土台になり得ます。ARRを理解することで、サービスの成長状況が把握可能です。

また、ARRは長期的な計画を立てるのに活用されますが、その月間版であるMRR(Monthly Recurring Revenue)を活用すれば、短期的な計画を立てることもできます。

ACV:契約状況を確認するとき

ACVは企業の契約状況を確認するのに役に立ちます。正確に契約によって得られる収益を計上しているため、自社の契約状況の確認に適しています。

まとめ

ARRとACVは、どちらも1年間の収益を表す指標ですが、現在の経常収益から、年間での経常収益を予測するARRと、契約した金額から年間で得られる収益を求めるACVは異なった指標です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください

カテゴリー
コラム

ACV(年間契約金額)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益を指します。サブスクリプション企業にとって重要なACVと、その計算方法について解説します。


プライシングスプリント

ACV(年間契約金額)とは

ACV(Annual Contract Value)とは、年間契約金額のことで、顧客との契約から得られる1年あたりの収益です。ACVは契約金額であるため、初期費用などの単発収益を含めます。

ACVの計算方法

ACVを計算する基本の式は次のものになります。

ACV=月額料金×利用期間n(1ヶ月≦n≦12ヶ月)+オプション料金(初期費用など)

ACVは、計算式を見てもわかるよう、1年間契約した場合の収益です。似た年間指標であるARRは1年間の経常収益のみをあらわすため、ACVはARRよりも正確な収益状況を知れます。

ACVとARRの違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

長期契約の場合

1年以上の長期契約の顧客の場合は、ACVの計算が簡単です。

例えば、顧客Aが6,000,000円で3年間契約した場合、ACVは6,000,000円/3年で、2,000,000円となります。

この場合、ACVはARRと同じ数値になります。

短期契約の場合

一方、1年未満の短期契約の場合のACVの計算は注意しなければいけません。

ACVは、1年間利用された場合の仮定ではなく、確定している契約をもとに算出するため、契約期間が1年間に満たない場合は、あくまで契約期間の中で得られる収益がACVとして計上されます。

例えば、顧客Bが500,000円で6ヶ月間契約している場合、ACVは500,000円と計算されます。

この場合、顧客Bが6ヶ月後に契約更新すると仮定すると、ARRは1,000,000円となります。

全体ACVの計算

全体のACVを試算する場合は、顧客のACVの平均を求めるため、次の式で計算します。

全体ACV=その年の顧客ごとのACVの合計/顧客数

先ほどの事例を用いて全体のACVを計算してみます。

1年目:{2,000,000円(顧客A)+500,000円(顧客B)}/2=1,250,000円
2,3年目:2,000,000円(顧客A)/1=2,000,000円

契約1年目は、顧客Aと顧客Bが契約しているのに対し、2,3年目は顧客Aしか契約していないため、ACVはこのように算出されます。

ACVが重要な理由

ACVの計算が重要な理由は、企業の契約状況を確認できるためです。

ACVは契約の年間の価値や規模を測る指標です。正確に契約によって得られる収益を計上しているため、自社の契約状況の確認に適しています。

さらに、顧客あたりのACVと、その平均値である全体ACVを比較することで、契約1つ1つの規模を理解が可能です。

ACVとTCVの違い

同じく契約から生まれる金額を計算する指標として、TCV(Total Contract Value)があげられます。ACVとTCVの違いは、計算する期間の違いがあげられます。ACVは1年間で得られる収益を示す一方、TCVは契約期間すべてで得られる収益です。

ACVは、「長い期間高い支払いをしてくれる顧客を知りたい」など、収益を年度別に把握したい場合に利用すべきです。また、ACVなら利用期間が異なる顧客を、年単位で得られる収益に揃えて比較できるというメリットもあります。

一方、期間に関係なく、純粋にその顧客から得られる収益を知りたい際は、TCVを測定することがよいでしょう。

TCVについてはこの記事をご覧ください。

まとめ

ACV(年間契約金額)は、1年間の収益をあらわします。

他にもSaaSやサブスクリプションにおける用語を知りたい方はこちらの記事を参照してください。

カテゴリー
コラム

SaaS・PaaS・IaaSとは|各クラウドサービスの違い・代表例

SaaS・PaaS・IaaSは、多くの人が利用するクラウドサービスの中で最も主なサービス群です。この記事では、SaaS・PaaS・IaaSの違いや代表例を紹介します。

SaaS(サース)とは

SaaSとは、Software as a serviceの略で、クラウドを介して提供されたソフトウェアのことです。

SaaSのユーザーは、固定のソフトウェアをダウンロードするのではなく、インターネットを介してサービスにアクセスすることができます。ウェブブラウザ上だけではなく、アプリケーションとしてダウンロードする場合もありますが、インターネット接続は必須です。

SaaSの特徴として、ダウンロード型のソフトウェアと比較し、ユーザーが常に最新のバージョンにアクセス可能・企業が継続的にユーザーから収入を得ることが可能という点があげられます。

PaaS(パース)とは

PaaSはPlatform as a serviceの略で、クラウドを介して提供される、サービス開発・実装環境のことです。エンジニアは、PaaSを利用することで、簡単なアプリケーションから複雑なソフトウェアまでクラウド上で開発できます。SaaSと同じく、ユーザーに常に最新のツールの提供が可能です。

IaaS(イアース/アイアース)とは

IaaSはInfrastructure as a Serviceの略で、クラウドを介して、仕事の前提(=インフラ)となりうる様々な用途のハードウェアを提供します。例として、データストレージやプロセッサーなどがあげられます。従来のホスティングサービスと異なり、それらを利用する際に、インターネットを介してユーザーが自分で必要な分だけ利用することができるという特徴があります。

SaaS・PaaS・IaaSの主な違い

SaaS・PaaS・IaaSの3つのクラウドサービスモデルでは、顧客に提供されるものが異なってきます。

データとソフトウェア

SaaSを利用する場合、データ使用量の管理やアプリケーションの維持に気を使う必要がありません。一方でPaaSとIaaSの場合、顧客自身がデータ使用量とアプリケーションを管理する必要があります。

オペレーティングシステム(OS)

IaaSの場合のみ、顧客自身がオペレーティングシステム(OS)の管理をしなければいけません。一方、SaaSやPaaSでは、オペレーティングシステムは提供側での管理が必要です。

SaaS・PaaS・IaaSのサービス例

SaaS・PaaS・IaaSの代表サービスを紹介します。

SaaSの代表例: Gsuite

Gsuiteとは、Googleの企業向けソフトウェア群を指します。GmailやGoogleドキュメント、Googleカレンダーなど、オンライン上での仕事を効率的にするツールが含まれます。

PaaSの代表例:Google App Engine

Google App Engineを使うことで、エンジニアが、開発に必要なツールにクラウド上でアクセスできます。また、必要に応じてエンジニアが独自に利用したいプログラム言語や、フレームワークを導入することも可能です。

IaaSの代表例:AWS(Amazon Web Service)

AWSとは、Amazonが提供しているストレージとコンピューティングリソースの総称です。Amazonが自社のために構築したインフラやアプリケーションを一般公開、クラウドサービスとして提供しています。クラウドを介して提供されたソフトウェアであるSaaSと混同されがちですが、ハードであるサーバーをクラウドを介して提供しているため、IaaSとして定義されます。

まとめ

SaaS・PaaS・IaaSの意味、それぞれの違いを解説しました。

  • SaaS…クラウドを介して提供されたソフトウェア
  • PaaS…クラウドを介して提供される、サービス開発・実装環境
  • IaaS…クラウドを介して、仕事の前提(=インフラ)となりうる様々な用途のハードウェア

カテゴリー
コラム

ARR(年間経常収益)とは|SaaS・サブスクリプションビジネスの指標

ARR(年間経常収益)は、企業の収益状況を把握するためによく用いられる指標です。似た指標であるMRRとは、どのような違いがあるのでしょうか?この記事では、ARRとその計算方法について解説します。

ARR(年間経常収益)とは

ARR(Annual Recurring Revenue)は、年間経常収益と訳され、サブスクリプションビジネスにおける年間の定額収益をあらわします。

一般的にSaaS企業の指標として用いられることが多く、ARRの推移を追うことで、ビジネスの1年単位での成長性を確認できます。

ARRとMRRの違い

ARRによく似た概念にMRR(Monthly Recurring Revenue)があげられます。MRRはARRの月間版で、月間経常収益のことを指し、企業が毎月繰り返し得られる売上です。

ARR(年間経常収益)が重要な理由

年間経常収益を示すARRが重要な理由を4つ紹介します。

長期的な計画が立てられるため

ARRを追うことで、1年単位で事業を評価し、新たな長期計画を立てられます。一般的に、ARRの値が低くなる企業は、MRRだけを認識し、ARRを追わないことが多いですが、MRR・ARRの両方の把握が重要です。

サービスの成長を確認できるため

毎年のARRを把握することで、1年単位での事業の成長を見れます。

プロダクト開発・営業の両チームの共通した指標として活用できる

プロダクト開発チームには、ARRを落とさないための機能や顧客体験を作る指標として活用し、営業チームは、質の高い顧客を獲得できているかを評価できる指標として利用できます。

財務指標として活用できるため

サブスクリプションにおいて重要な財務指標であるARRとMRRは、外部に対して企業の状況を表せます。MRRだけではなく、1年単位での変化を示せるARRを用いることで、短期と長期の両方のキャッシュフローを把握することが可能です。

ARR(年間経常収益)の計算方法

ARRの計算方法は、「MRR×12」で表せます。

ARRに含めるもの

ARRに含めるべきものは次の4つです

・月額料金などの全ての経常収益
・既存顧客からの追加収益
・既存顧客から減退した収益
・解約によって失う経常収益

ARRに含めないもの

ARRの計算に含むべきでないとされるものは次の4点です。

・初期費用
・単発の追加購入による収益
・一括課金

ARR(年間経常収益)を増加させるためには

ARRを増加させるためには次の4つの方向性が考えられます。

獲得する顧客を増やす

営業やマーケティングを通じて獲得する顧客数を増やすことで、ARRを増加させられます。ただし、そのためには、LTV/CAC比率を意識しながら顧客獲得を行う必要があります。

アップグレードによる収益増加を狙う

既存の顧客にプランをアップグレードしてもらうことで、収益増加を狙えます。そのために、顧客の支払意欲に応じた課金モデルを設置することが必要です。

顧客の継続力を高める・解約率を下げる

顧客を維持することができれば、顧客数が積み重なっていき、ARRは自然と増加していきます。顧客の維持には、プロダクトが顧客が感じる価値に適合している必要があるため、顧客を知り、プロダクトを改善していく必要があります。

まとめ

ARRは、MRRと同様にサブスクリプションサービスで活用されるべき指標です。MRRだけでは追えない、長期的な収益状態を把握することができるのはARRならではの価値です。ARRを意味のあるものにするには、適切な計算が欠かせません。

カテゴリー
コラム

MRR(月間経常収益)とは?計算方法・SaaS・サブスクリプションビジネスで重要な理由

MRR(月間経常収益)とは、企業が毎月繰り返し得られる売上のことであり、SaaSをはじめとしたサブスクリプションサービスを展開する企業において成長率などを表すための重要な指標です。

MRR(月間経常収益)とは

MRR(Monthly Recurring Revenue/月間経常収益)とは、企業が毎月繰り返し得られる収益(売上)のことで、確実に予測できるものを指します。

MRRは、サブスクリプションモデルの場合、ビジネスの収益性とキャッシュフロー、成長率を把握するために欠かせない指標です。

MRR(月間経常収益)が重要な理由

サブスクリプション企業がMRRを測定・利用するのは、次の2点が主な理由です。

財務予測が可能になる

サブスクリプションモデルでは、毎月の売上を安定してあげられます。そのため、MRRを把握することで、より正確な財務予測が可能です。

毎月安定した収益を得られたら、ビジネスの状態や、それがどのように進展していくかの予測ができ、それに合わせたて事業計画を実行できます。

投資における判断材料になる

投資家からの支援を受ける場合、企業は自社の成長を示すために、MRRは重要な指標となります。

月毎の収益を表すMRRは、月によって比較することで、成長度合いを把握でき、投資家にサービスが非常に成長している段階なのか、それとも成長前なのかを示せます。

MRR(月間経常収益)の計算方法

MRRを計算する簡単な方法は、提供している月額料金プランごとに顧客数をかけて合計する方法です。

MRR = 提供している月額料金プラン×顧客数
※プランが複数ある場合は、それぞれのプランを合計

MRR(月間経常収益)を計算する際のよくある間違い

MRRは企業の内外の意思決定に用いられる指標であるため、計算を慎重に行う必要があります。主な間違える点としては、収益の時間的な偏りを是正しないことと、必要な分の収益を計上しないことなどの、次の5点があげられます。

・売り切りモデルの収益を計上してはいけない
・半年・年契約などの一括払いをそのまま収益として計上してはいけない
・トライアル期間を含めてはいけない
・割引額を差し引かないまま計上してはいけない
・取引手数料と延滞手数料を含めてはいけない

MRR(月間経常収益)の最適化が必要な理由

MRRを算出すると、会社やサービスの状態を把握できるうえ、それをもとに目標設定や目標達成方法を考えられます。ここでは、MRRを最適化するべき理由について4点解説します。

サービスの成長度合いを追う指標にできる

SaaSなど、サブスクリプションモデルのサービスにおいて、MRRは収益の度合いを直接的に表す指標です。月ごとの成長も測ることができるため、MRRはサービス成長の指標として活用できます。

プロダクトチームの動機付けができる

プロダクトの質の向上は、顧客の維持に繋がり、MRRの損失を防ぎます。

そのため、MRRを追うことで、プロダクトチームはMRRの減少を防ぐ機能の開発や顧客体験の創出に力を入れるように動機付けられます。

マーケティング・セールスチームへの動機付けができるため

マーケティング・セールスチームは、より質の高い顧客を獲得することで、MRRを向上させられます。そのため、新しく増えた顧客が解約することなく、毎月安定した売上をあげられるかが重要です。

財務指標として活用できる

サブスクリプションにおいて重要な財務指標であるMRRは、外部に対して企業の状況を表せます。MRRが成長していることは、サービスの成長を測ることが可能です。

まとめ

MRRは、内外にサービスの成長を表す簡単かつ重要な指標です。正しく計算することができれば、サブスクリプション企業に前向きな影響を与えることになるでしょう。