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米国のSaaS企業の料金表のトレンドは?

(この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています)

米国の主要なSaaS企業の料金表にはどういう戦略の上で、作成されているのでしょうか。今回、Salesforce、Slack、zoomなど、時価総額上位50社の企業を調べてみました。

調べてみたSaaS企業はこちら

ここからいくつかのことがわかったので、考察していこうと思います。

<この記事の結論>

・料金表を公開している企業のうち、プラン数が3-4プランになっている企業は76%

・料金表を公開している企業の100%が、無料トライアルを採用

・料金表を公開している企業のうち、82%が従量課金モデルを採用


プライシングスプリント

料金表を公開していた企業は34%

米国の時価総額上位50社のSaaS企業の料金ページを調べたところ、具体的な料金表を公開している企業は全体の34%で、残りの66%の企業は、具体的な料金表を公開していませんでした。

また、料金表を公開している94%の企業が、PLG型ということがわかりました。PLG型とは?

PLGはProduct-Led Growthの略で「プロダクトがプロダクトの価値を伝える」戦略を用いている企業のことを指します。例えばzoomやslackなど、主に個人単位でサービスを展開しており、顧客自身が自由に登録できるようになっています。そのため他社と比べて、拡散が早く、成長速度が速いことが特徴です。

以降、料金表を公開しているPLG型の企業に絞って考察を進めていきます。

公開企業のうち、プラン数が3-4プランになっている企業は76%

料金表を公開している企業が提供するプラン数について調べたところ、3-4プランになっている企業が全体の76%を占めていました。

実際、米国のトップVCであるAndreessen Horowitz(a16z)がPLG型のSaaS企業向けに書いたプライシング記事によると、PLG型の場合、試行錯誤するうちに、だいたい3-4プランに収束していくようです。

この記事では、PLG型企業のプライシングにおいて、ユーザーが初めて製品に触れてから、その製品がユーザーの組織で使われるまでの段階である「ユーザージャーニー」を理解することがとても重要だと言われています。「ユーザージャーニー」は4段階に分かれており、それぞれ次のように説明されています。

(出典:Andreessen Horowitz)

TIER1で無料トライアルやフリーミアムでOrganicの母数を増やし、そこからTIER4へスムーズに移行してもらえるような導線を作ることが重要だそうです。

顧客にスムーズに移行してもらうには、このように3-4プランに設定し、導線を作るのが良いとされています。

公開企業の100%が、無料トライアルを採用

先ほど紹介したAndreessen Horowitzの記事では、PLG型のSaaS企業では、リードを獲得する為の方法として無料トライアルやフリーミアムを実施するのが一般的とされていました。

実際、料金表を公開している企業のうち100%が無料トライアルを採用していました。

無料トライアルとフリーミアムの違い

無料トライアルとは、「14日間無料」のように期間に制限をつける一方、機能には制限をつけずサービスを無料で体験することができる仕組みです。

それに対しフリーミアムとは、40分までなら無料で使えるzoom meetingのように、機能に制限をつける一方、期間には制限をつけないでサービスを無料で体験することができる仕組みです。

何故フリーミアムより無料トライアルの方が主流なのか

フリーミアムより無料トライアルの方が主流な理由として、無料トライアルの方がCVRが高く、比較的容易であることが考えられます。実際、PayPalの元創設COO兼製品リーダーであるDavid Sacksは、市場に口コミやバイラルでの広がりが期待できる場合はフリーミアム有効ですが、下記のようなデメリットもあると言い、無料トライアルを推奨しています。

デメリット

1.無料版を魅力的にしすぎると有料版を使ってもらえない

顧客が価値を感じるポイントをしっかりと理解し、顧客がさらに使いたいと思うように設計することが大切です。

2.機能面のペイウォールの作成と維持に多くのリソースを割く必要がある

新しい機能がリリースされるたびに、製品チームは何が無料で何が有料かを決定する必要があります。

3.収益化が難しい

有料版が無料版と比較して魅力的なプロダクトである必要があるため開発コストは高くなります。またリードが収益を生み出すアカウントに変換されるまでに、数か月または数年かかる可能性がある場合、このマーケティングのROIを評価することは困難です。

この点、無料トライアルではこれらの制限に悩む必要がないと言われています。無料トライアルは、期間を限定し有料版への移行の意思決定を、ユーザーに迫ることができため、CVRが比較的高くなります。(フリーミアムのCVRが3-5%なのに対し、無料トライアルは10-20%)

また、製品への実装、販売やマーケティングとの調整も比較的容易な為、David Sacksは無料トライアルを推奨しています。

公開企業のうち、82%が従量課金モデルを採用

料金表を公開している企業の価格体系を調べたところ、82%の企業が従量課金モデルの価格体系を用いていました。

従量課金モデルとは

ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客が「使った分だけお金を支払う」仕組みです。例えばDatadogでは料金表は次のように使用料に応じた料金が表示されています。

(出典:Datadog)

従量課金モデルがトレンドになっている理由

openviewは、従量課金がトレンドになっている理由として次のようなことをあげています。

1.NDRが高い

顧客の会社規模が、売り上げの天井になることがないため、仮に売上規模が上がったとしても、普通のSaaS企業よりNDRが高く、売上成長率が高くなりやすいといわれています。従量課金モデルではアップセルがしやすいため、NDRが平均的なSaaSより9%高いとされています。

2.高い成長を維持できる

従量課金モデルを採用するSaaS企業はNDRが高いため、上場後も高い成長を維持し、平均的なSaaSより8%高くなると言われています。

3.高いプレミアムがついている

1.2などのことから、マルチプルが平均的なSaaS企業より50%高くなっています。

まとめ

今回米国の主要サービス企業の料金ページをリサーチしてわかったことについて紹介しました。プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。

価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

 

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国内のサブスク200サービスの料金表/プライシングのトレンドについて調べてみた

(この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています)

料金表のトレンドを知っておくことは、自社の料金表を検討する際、非常に重要なことであると考えています。そこで、今回は国内のB2Cサブスクリプションサービスのトレンドをご紹介しようと思います。是非お付き合いください。


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調査対象

今回は、国内サービスで、資本金3億円以上、ARR(年間経常収益)2億円以上の1つ以上にに該当する企業200社に絞って調査を行いました。主な領域は以下になります。

契約期間の状況

まず、契約期間についてです。

今回調査した企業のうち、80%の企業では1ヶ月契約のみのプランが採用されているようです。自動更新にしている場合がほとんどですが、年間契約が少ないのはB2Cサービスならではの傾向と言えるでしょう。

逆に年契約のみのサービスは、サービス利用にはモノが必要で製造原価が大きくかかり、長期間契約されないと利益が出ない構造になっているビジネスにおいて採用されていました。アプリケーションなどの、いわゆるインターネットサービスにおいては1ヶ月契約が主流となるようです。
Ex)キリン ホームタップ

(出典:キリンホームタップ)

料金プランの種類

料金プランの種類を見ていくと業界毎に傾向が別れました。そこで、料金プラン毎に考察していきます。

【単一プランが多い業界】
飲食、オンラインレッスン、ナビ、音楽、書籍、動画、ヘルスケア、レシピ、医療、見守り、専門家相談、ニュースなど
Ex)ディズニープラス

【段階利用量プラン X 機能別プランが多い業界】
ファッション、不動産
Ex)ブリスタ

(出典:Brista)

機能(今回の場合は借りられる服の数)に加え、ポイントの購入で追加利用ができるサービスがこれに該当します。このモデルはサブスクリプションのストック収益に加え、購買意欲の高い層からより多くの収益を得ることができるモデルのため、工夫次第では大きな武器になります。ただし、あくまでも通常のプランにユーザーが満足していることが大切になります。

他にも、年齢によって価格を変えたり(主に音楽業界)、性別によって変えたり(主にマッチングアプリ)、Netflixのようにアカウント数で料金を変えたりと、支払い意欲が異なるセグメント毎にプランを分けたり、顧客が価値を感じてくれている変数に基づいて価格を変えたりする企業も散見されました。
Ex)AWA

(出典:AWA)

このように、顧客のWTP(支払い意欲)が異なるセグメントの特定や、WTPに影響を与える変数を私たちはプライスレバーと呼んでいますが、これを特定することがサブスクリプションのプライシングを考える上で、非常に重要になります。

オプション課金の有無

次に課金オプションの有無について調べてみました。最初に採用率について調べたところ、次のようになりました。

驚くべきことは、91%の企業がオプションによる課金を採用していないことです。サブスクリプションビジネスは、価格体系がシンプルが故に、全ての顧客セグメントのニーズに対応できない場合が多いです。オプション課金は、多くのニーズに対応することができるかつ、客単価アップに繋がるため、多くの企業に検討の余地がありそうです。

Ex)AmazonPrime Video チャンネル内で月額499円支払うことで、1950~90年代の懐かしの特撮ヒーロー等の作品を視聴できる「マイ★ヒーロー」は、子ども向けのコンテンツを必要としており、そのためにはもっとお金を支払ってもいいと考えている顧客セグメントの単価アップに成功しました。これはオプション課金の好例と言えるでしょう。

一方、オプションを採用している9%の企業は新たな機能の追加による課金(以下、機能追加オプション)と、利用量による課金(以下、利用料追加オプション)の二種類となっていました。

利用量追加オプション

利用量追加オプションは、月額料金で決められた範囲内で利用し放題、範囲を超える分に対し、追加で課金が発生するオプションです。
Ex)港区自転車シェアリングの月額会員 延長料金

(出典:港区自転車シェアリング)

ちなみに、利用量追加オプションはモビリティサービスやマッチングサービスなどの業界に採用されていました。

機能追加オプション

機能追加オプションは、月額利用料に加え、追加で課金することで、他の会員が利用することができない機能を利用することが可能になるオプションです。アプリ内のアイテムが買えるポイントを購入する場合もこれに該当します。
Ex)Omiaiのポイント

(出典:Omiai)

機能追加オプションはマッチングサービスなどで採用されているようです。

ディスカウントの有無

最後に割引について調べて見ました。まずは採用率です。

割引は全体の30%の企業が採用しているようです。

期間で割引を行う企業は95%

割引は14日間無料といったような一定期間で割引が適応されるものと、連携サービスの利用をすることで適応されるものの二種類あるようです。
Ex)連携サービスによる割引の例 ウェザーニュース

(出典:ウェザーニュース)

ちなみに、ほとんどの場合において、一定期間での割引が採用されています。

ちなみに、期間で割引を行う企業は、どのくらいの期間で採用しているのでしょうか。次は期間ごとの割引の比率について調べてみました。

このように、割引を実施している企業のうち67%の企業が初月の割引を採用していました。最後に補足で、最初の2週間や2ヶ月など、初月以外の期間で割引を行う企業の割引日数の平均を出してみたところ、19.9日になりました。初月以外だと、2-3週間の割引が平均となるようです。

まとめ

今回は国内サブスクサービスの料金トレンドについて考察しました。実は、業界によって、面白い特徴もたくさんあるようです。

プライシングによって皆様の事業成長が、より加速することを願っております。価格についてのご相談はお気軽にプライシングスタジオまで宜しくお願い致します。

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SaaSの価格体系まとめ|代表例と共にメリット・デメリットを解説

SaaSにおける価格体系の特徴・メリット・デメリットを代表例を挙げながら、解説します。それぞれの価格体系の特徴を踏まえて、各事業者様が価格を設定する際に役に立てば幸いです。


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今さら聞けないSaaSとは?

SaaS(Software as a Service)とは、電子メールやカレンダー、スケジュール管理、ドキュメント作成、人事・給与・勤怠・労務管理、プロジェクト管理などのアプリケーションをインターネット経由で提供するサービスです。完全無料のSaaSもありますが、多くの場合ユーザーは利用料を支払って利用します。

では、SaaSには実際にどのような価格体系が存在するのでしょうか。

SaaSの4つの代表的な価格体系

SaaSの価格体系は基本的にサブスクリプションになっており、中でも4種類の価格体系に分類されます。それは、

・単一価格モデル

・複数パッケージ価格モデル

・従量課金モデル

・フリーミアム

の4つです。

事業を成長させるためにも価格体系を把握しておくことはとても重要です。次はそれぞれの料金モデルについて詳しく解説していきます。

1. 単一価格モデル

単一価格モデル(Flat rate pricing model)は、サービスに対して料金体系が1つである価格体系です。

全てのユーザーに対して単一の製品・機能・価格を提供するため、SaaSの価格体系の中でも最もシンプルなものになります。

例えば、ターゲットセグメントが画一的であったり、機能や価値が単一化されているシンプルなサービスで利用されます。また、事業ニーズがあるかを仮説検証しやすいという観点から、PMFが優先されるシード(新規事業フェーズを含む)・アーリーステージなどで利用されることが多いです。

一方で、幅の広い顧客層のニーズに1つのプランで応えるということは難しく、SaaSの価格体系としてあまり多くは見受けられません。

メリット

  • シンプルでわかりやすい
  • 事業ニーズがあるかを仮説検証しやすい

デメリット

  • 幅広いユーザーのニーズに応えることが困難
  • 売上の向上が困難

2. 複数パッケージ価格モデル

複数のパッケージ(いわゆる「プラン」のこと)を提示する、SaaSで広く取り入れられている価格体系です。さまざまなニーズに対応でき、顧客ごとの売上最適化に近づきます。

また、質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、価値に見合った金額を受け取ることができることから、利益を増加させることが可能です。

一方で、選択肢が多すぎたり、プランの差が複雑だと顧客にとって検討事項が増えてしまい、購入障壁を高めることにつながるため、顧客ニーズに合致した選択肢を3つ程度に留めるように注意が必要です。

メリット

  • 幅広いニーズに対応できる
  • 利益増につながる

デメリット

  • 顧客ニーズに合致した価格設定のバランスが難しい

複数パッケージ価格モデルの種類を紹介します。

1.段階的なユーザーモデル(Tiered user model)

段階的なユーザーモデル(Tiered user model)とは、利用できるユーザー数の違いによって、価格を複数設定するモデルです。利用機能に違いを作りにくいが、1社で利用する人数が多いサービスで設定される場合が多いです。

2.段階的なストレージモデル(Tiered storage model)

段階的なストレージモデル(Tiered storage model)とは、利用できるストレージの量にもとづき、価格を複数設定するモデルです。ストレージサービスなど、使用可能な量に沿って利用価値が上がるサービスに多い価格体系です。

3.機能別モデル(Feature based model)

機能別モデル(Feature based model)とは、顧客が利用可能な機能に応じて、複数の料金プランを設定するモデルです。顧客のペルソナと必要とされる機能の把握ができていると設定しやすく、使用できる機能の数が多くなるほど価格は高くなります。

3. 従量課金制

従量課金制は、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系です。顧客目線だと「使った分だけお金を払う」仕組みになります。

ユーザーの使用状況に応じて単価が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすくなります。また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。

一方、サービス利用前に課金タイミングを設置できない点や、事前に収益予測をする難易度が上がる点が難点となります。

メリット

  • 顧客の納得を得やすい
  • 収益を最大化させやすい

デメリット

  • 前払いをしてもらえない
  • 事前に収益予測ができない
  • 利用を控えられる可能性がある


従量課金制の種類を紹介します。

1.使用量課金

使用量課金は、特定の機能を利用した回数や保存できるデータの量、アクセスできるストレージの量など、サービスの何かを利用・アクセスした量に応じて課金されるモデルです。

Datadog(データドッグ)

使用量課金型の従量課金モデルの代表例として、監視アプリケーションサービスを提供するデータドッグが挙げられます。

次の画像のようにデータドッグが提供するリアルユーザーモニタリングのサービスでは1マンセッションごとに課金される仕組みになっています。

(出典:Datadog)

2.成果報酬型

成果報酬型は、成果が発生した場合に課金されるモデルです。例えば、採用媒体で人材を獲得した場合に課金が発生する場合はこれに該当します。

月額利用料に加えて成果報酬が発生するサービスもあれば、月額利用料はなく成果報酬のみ発生するサービスもあります。

BIZREACH(ビズリーチ)

成果報酬型の従量課金モデルとして転職支援サービスを提供するビズリーチが挙げられます。

ビズリーチではシステム利用料に加えて、入社した際の成功報酬が発生します。

(出典:ビズリーチ)

3.ユーザー課金

ユーザー数課金は、顧客企業に付与したアカウントの数に応じて単価が上がるモデルです。顧客の利用アカウント数が増える度に、自動で単価が増加するため、追加営業やパッケージの変更なく売上を増加させることが可能になり、使い方次第では非常に強力な収益増加のドライバーになります。

Salesforce(セールスフォース)

ユーザー課金型の従量課金モデルを用いている企業の代表例として、顧客管理クラウドで有名なセールスフォースが挙げられます。

セールスフォースでは次の画像のように、価格表には1ユーザーごとの金額が表示されており、サービスを使う使うユーザーの数によって金額が変わるのです。(出典:Salesforce)

4.アクティブユーザー課金

ユーザー課金モデルの場合は、サービスの利用状況に関わらず料金が発生する一方、アクティブユーザー課金モデル(Per active user pricing)は、サービスを利用していないアカウントには料金が発生せず、過去のログイン履歴などを参照し、サービスを利用しているアカウント数のみに料金が発生するモデルです。

ユーザー課金よりも単価を抑えやすいぶん、顧客に好まれやすいというメリットがある反面、収益や業務内容、コスト面で様々な懸念点があるため、自社の状況をしっかりと鑑みて実施することが望ましくなります。

Slack(スラック)

アクティブユーザー課金型の従量課金モデルを用いているサービスとして、ビジネス用メッセージングアプリのスラックが挙げられます。

実際は次の画像のようにアクティブユーザーの数が全体の金額に換算されます。(出典:Slack)

スラックでは自社サイト上にて次のように表記しています。

「企業向けソフトウェアの料金プランではほとんどの場合、チームのユーザー数をもとに請求が行われ、ソフトウェアを実際に使用しているユーザー数は考慮されません。しかし、Slack では実際に利用した分のみの料金が請求されるので、Slack を使用していないメンバー分の料金を支払うことはありません。」

(出典:Slack help center)

4. フリーミアム

フリーミアムとは、無料プランと有料プランの2つの段階に分類し、運用する価格体系です。顧客は、基本的な機能を無料で利用できますが、機能や容量などを追加して利用する際に課金が必要になります。

フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用できることから、導入ハードルを大きく下げることが可能です。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにできます。

一方、設計を間違うと、収益化の難易度が格段に上がるため、注意が必要です。また、カスタマイズ性が高く、カスタマーサクセス工数が多くかかるようなサービスでは、採算が合わず、適応は難しくなります。

メリット

  • 顧客獲得が容易
  • サービス理解が促進されやすい
  • 有料化が必要なタイミングに、やめにくくなっている

デメリット

  • 収益化の難易度が高い
  • カスタマイズ性が高いサービスでは、採算が合わない

まとめ

SaaSの価格体系として、単一価格モデル・複数パッケージ価格・従量課金制・フリーミアムを紹介しました。

価格・プライシングに関してお悩みの事業者様は、一度プライスハックにお問い合わせください。

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フリーミアムとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】

この記事ではSaaSの価格体系のうちの1つ、フリーミアムについて、無料トライアルとの違い、メリット・デメリット、事例などを解説します。


プライシングスプリント

フリーミアムとは

フリーミアムとは、無料プランと有料プランの2つの段階に分類し、運用する価格体系です。顧客は、基本的な機能を無料で利用できますが、機能や容量などを追加して利用する際に課金が必要になります。

フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用できることから、導入ハードルを大きく下げられます。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにすることが可能です。

フリーミアムと無料トライアルの違い

フリーミアムと無料トライアルの違いは、サービスを利用できる期間と機能です。

期間の面では、フリーミアムモデルでは無料プラン利用可能な期間に制限がないのに対して、無料トライアルでは期間が限定されます。

機能の面では、フリーミアムモデルの無料ユーザーは一部の機能しか利用できないのに対して、無料トライアルではほぼ全ての機能が利用可能です。

フリーミアムと無料トライアルのどちらが、どのサービスに向いているかは一概にはいえませんが、原価がかかり続けるサービスかが1つの重要な観点です。

サービスを利用するのに原価を必要とするサービスにおいて、フリーミアムを採用するとコストがかかり続けてしまうため、サービスの持続が困難になってしまいます。

フリーミアムの3つの制限の型

フリーミアムは、無料プランにどう制限をかけるかによって、大きく3つの型が存在しています。基本的には、この3つの型の中から選んだり、組み合わせたりすることで課金条件を設計することになります。

機能制限型

全ての機能を無料で提供せず、追加機能の実装や、既存機能の強化によって課金が発生する型です。

利用量制限型

ストレージの使用量、データの処理量に基準を設け、利用料がその基準を超えた場合に課金が発生する型です。

サポート制限型

無料プラン時に、カスタマーサポートを行わないなど、サポートリソースに制限をかける型です。

フリーミアムの注意点

フリーミアムでは先ほど述べた制限のかけ方を間違うと、顧客はいつまでも無料で利用することができてしまいます。一方、適切な制限を設けられれば、サービス利用開始から早い段階で有料化せずにはいられないという心理にさせることが可能です。

顧客がもっとサービスを利用したいと思うように設計しつつ、使えない機能が多すぎてサービスの価値が全く伝わらないということがおこらない適切なバランスの判断が重要です。

そのためには、顧客の支払意欲調査などを実施し、顧客ニーズと支払に対するモチベーションのバランスをしっかり把握することが大切になります。

フリーミアムのメリット

フリームアムのメリットは次の3点があげられます。

顧客獲得単価を下げられる

サービスが無料で始められる以上、有料のサービスと比べて、顧客のサービス導入に対する心理的ハードルは低くなります。結果的に、有料マーケティングや営業プロセスのコストを費やしすぎることがなくなります。

結果、プロダクトの品質向上により多くのリソースを投下することが可能になり、好循環が生まれやすくなります。

顧客のプロダクト理解が得られやすい

やはり資料やデモだけでは顧客のサービス理解は難しいものです。実際に、サービスを一定期間使ってもらうことで、サービス本来の価値を課金前に伝えることができるのはフリーミアム独自の魅力といえるでしょう。

共有してもらいやすい

サービスが無料で使えるため、上長の決裁承認を取る必要がなくサービスを利用できることになります。そのため、サービスを始める価値を感じたらすぐに利用するでしょう。結果、サービスの価値を確信した場合、会社全体での導入を推薦したり、知人に紹介したりする行動につながりやすくなります。

フリーミアムのデメリット

フリーミアムのデメリットは「収益化の難易度が高い」ことがあげられます。

無料プランにかける制限が甘かったり、あまり必要のない機能に制限をかけたりすると、顧客はいつまでも無料で利用することができ、本来、課金するポテンシャルがあった顧客の課金機会を逃すことになります。これではサービスの収益化をいつまでたってもすることができません。

一方で、制限がきつすぎると、サービスの価値を理解する前に解約されるリスクが高まります。これでは、収益化はおろか、事業を成長させる事は難しいでしょう。

フリーミアムを成功させるには

フリーミアムを成功させるには、顧客のニーズと支払意欲のバランスを正確に把握することが大切になります。

例えば、Chatworkのようなビジネスチャットアプリの場合、課金に対するモチベーションが寛容になるセグメントは、「従業員人数15名以上の会社だ」と把握することができれば、「従業員人数15名まで無料」という制限をかけられます。

この意思決定に必要なデータは、バリューベースプライシングを実践する過程で得ることが可能です。バリューベースプライシングに関しては、別記事で解説していますので、そちらをご覧ください。

顧客のニーズと支払意欲に対して、価値に見合った制限と適切な金額を設定すれば、低い獲得単価でリファラルが生まれやすいサイクルを構築することができるので、魅力を感じた方はぜひフリーミアムモデルを検討してみてください。

フリーミアムの事例

Slackはフリーミアムの最高の事例といえるでしょう。Slackは有料ユーザー数14万人を誇るビジネスチャットサービスです。

Slackの無料プランは、利用料制限型です。メッセージの閲覧と検索が10,000メッセージまで、ファイルストレージの容量が最大5GBまで、と制限を設けています。この上限に達すると有料プランに移行する必要があります。

導入時は、従業員規模に関わらず無料で導入できるため、大企業でも導入のハードルは限りなく低くなります。また、10,000メッセージを超える頃には、かなりのコミュニケーション履歴が蓄積されるため、相当のことがない限り、解約することを惜しまれるでしょう。かといって、メッセージコミュニケーションを突然やめる事は不可能なため、スムーズに有料化されるでしょう。

このようにいつまでも無料で使う事は不可能で、顧客にとって価値が高い条件で制限をかけることが大切になります。

余談ですがSlackでは、フリーミアム終了後、アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)に切り替わります。

アクティブユーザー課金モデルは、「顧客にとってシンプルでわかりやすい」かつ、「顧客あたりの単価を上げやすい」モデルとされています。フリーミアムで獲得単価を下げながら、アクティブユーザー課金モデルによって1顧客あたりの単価を上げていく、長期的に莫大な利益が生まれやすいプライシングストーリーが描かれています。

このように自社の成長戦略に沿って最良のプライシングを設計する事は、事業成長において非常に大きな武器となります。ぜひベストなプライシングの実践を検討してみてください。

まとめ

フリーミアムを使うことで、顧客は無料でサービスを利用開始できることから、導入ハードルを大きく下げられます。フリーミアムを正しく運用することで、顧客獲得単価を下げ、大幅な顧客数増加のドライバーにすることが可能です。

一方、設計を間違うと、収益化の難易度が格段に上がるため、注意が必要です。

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ユーザー課金モデル(Per User Pricing)とは|メリット・向いている企業【SaaS価格体系】

SaaSの価格体系の従量課金制のなかで利用されるユーザー課金モデル(Per User Pricing)について紹介します。

ユーザー課金モデル(Per User Pricing)とは

ユーザー課金モデル(Per user pricing)とは、ユーザーの使用状況に応じて単価が決まる従量課金の一種の課金体系で、顧客に対し発行(付与)したアカウント数にもとづいて料金が発生します。

ユーザー課金モデルを設定している例としては、Microsoft 365があげられます。「Business Basic」では1人あたり月額540円で、「Business Standard」では1人あたり月額1,360円で、「Business Premium」では2,180円でサービスを提供しています。

ユーザー課金モデルのメリット

ユーザー課金モデルのメリットは次の2点です。

顧客の成長に伴い売上が拡大する

顧客の利用アカウント数が増える度に、自動で単価が増加するため、追加営業やパッケージの変更なく売上を増加させることが可能になります。

追加営業やパッケージの変更による単価のアップは、解約意思決定の余地を与えるきっかっけにもつながるため、ユーザー課金モデルの導入は顧客との摩擦を生みにくい単価アップ施策と言えるでしょう。

価格体系がシンプルなので顧客が理解しやすい

ユーザー課金モデルのSaaSは、「サービスを利用する従業員数×価格」で月にかかる固定費を簡単に計算することが可能です。そのため、ユーザー課金モデルのSaaSを販売する営業は、顧客にいくらかかるかを伝えやすくなります。

ユーザー課金モデルのデメリット

ユーザー課金モデルのデメリットは次の2点です。

アカウントを共有される可能性がある

利用アカウント数が増えるにつれて単価が上がるため、一部の顧客はアカウントを共有して支払金額を低く抑えようとします。そのため、社内でアカウント共有をしてもサービス利用に支障がないものは、ユーザー課金モデルに適していません。

アカウント数に比例して利用価値が高まらないサービスではメリットが発揮されない

利用アカウント数が増えることで価値が高まらないサービスにユーザー課金モデルを設定しても売上の向上は期待できません。社内で利用する人が増えれば増えるほど、サービスの価値が増大するサービスと相性がいいモデルといえます。

ユーザー課金モデルに向いているサービス・不向きなサービス

サービスの価値がユーザー数に直結しているかどうかが、ユーザー課金モデルを設定するべきかを見極めるポイントになります。

ユーザー課金モデルに向いているサービス

チャットワークのようなビジネスチャットや、楽楽精算のような経費精算システムなど企業全体で利用することで業務効率化が図れるサービスではユーザー数が増えることでサービスの価値が高まります。そのためユーザー課金モデルを設定することで安定した売上が見込めます。

ユーザー課金モデルに不向きなサービス

採用管理システムや、チャットボットのようにサービスを数人でのみ利用するようなサービスではユーザー数が増えることで価値が高まるわけではありません。そのためユーザー課金モデルを設定しても売上を作りにくくなります。

ユーザー課金モデルを検討する際は、サービスの開発状況や特性に応じて、適切に検討することが大切になります。

まとめ

価格体系の1つであるユーザー課金モデルは利用アカウント数ごとに料金が発生する価格体系です。顧客あたりの単価を上げやすい、顧客が金額を理解しやすいというメリットがある反面、アカウント共有される可能性がある、アカウント数に比例して利用価値が高まらないサービスではメリットが発揮されない、といった2つのデメリットがあります。

企業全体で利用することで業務効率化が図れ、価値が高まるサービスに向いている価格体系である一方、一部の部署で数人が利用するようなサービスには不向きです。

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アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)とは|メリット・デメリット・向いているサービス【SaaS価格体系】

この記事では、SaaSの価格体系の従量課金制のなかで利用されるアクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)について紹介します。

アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)とは

ユーザー課金モデルの場合は、発行したアカウント数に応じて、サービスの利用状況に関わらず料金が発生しますが、アクティブユーザー課金モデル(Per Active User Pricing)の場合は、過去のログイン履歴などを参照し、実際にサービスを利用しているアカウント数のみに対して課金が発生し、サービスを利用していないアカウントには課金が発生しない価格体系のことで、ユーザー課金モデルの1つのバリエーションです。

アクティブユーザー課金モデルを設定している例としては、Slackがあげられます。Slackでは14日間サービスを利用していない場合や管理者によって削除された場合はアクティブユーザーから除外されます。

(出典:Slack フェアリングポリシー

アクティブユーザー課金モデルのメリット

「顧客あたりの単価を上げやすい」「価格体系がシンプルなので顧客が理解しやすい」といったユーザー課金モデルと同様のメリットを持ちつつ、さらに「ユーザー課金モデルよりも顧客に好まれやすい」というメリット点があります。

ユーザー課金モデルと比べて導入ハードルが低い

エンタープライズ企業をターゲットとしユーザー課金モデルを採用すると、従業員数(課金対象のアカウント数)が多いため、サービスの導入に踏み切れない場合があります。アクティブユーザー課金ならサービスを利用しているユーザーにのみ料金が発生するため、そのような心理的障壁を取り除いてくれることがメリットです。

アクティブユーザー課金モデルのデメリット

「アカウントを共有される可能性がある」「アカウント数に比例して利用価値が高まらないサービスではメリットが発揮されない」といったユーザー課金モデルのデメリットだけでなく、アクティブユーザー課金モデルがかかえる固有のデメリットをあげます。

ユーザー課金モデルよりも請求が複雑になる

自社で決めたアクティブユーザーの定義に沿って請求できる仕組みを構築し、適切に運用する必要があります。必然的に、請求作業のミスやオペレーションコストの増加が懸念になることになります。また、アクティブユーザーの定義(最終ログインなど)と期間(最終ログインから14日間、30日間など)を、顧客にしっかりと理解してもらう必要もあります。

アクティブユーザー課金モデルが効果的なサービス・効果が低いサービス

効果的なサービス

ユーザー課金モデルを採用しているサービスで、見込み顧客がサービスを導入しても定期的に利用することはないかもしれない”という心理的障壁を築いてしまいサービスの購入に至っていない場合、有効な価格体系だと言えます。

効果が低いサービス

中小企業向けに特化したサービスではあまり効果的な価格体系ではありません。この価格体系は、従業員数が少ない中小企業では、ユーザー課金モデルと料金の差異が出にくいため収益を最大化させるという観点で有効ではありません。

まとめ

ユーザー課金モデルの場合は、サービスの利用状況に関わらず料金が発生しますが、アクティブユーザー課金モデルは、過去のログイン履歴などを参照し、サービスを利用しているアカウント数のみに料金が発生し、サービスを利用していないアカウントには料金が発生しない価格体系です。

ユーザー課金よりも顧客に好まれやすいというメリットがある反面、収益面や業務内容、コスト面での懸念点があるため、自社の状況をしっかりと鑑みて実施することが望ましくなります。

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従量課金制とは?料金モデルの仕組み・メリット・デメリット【SaaS価格体系】

SaaSの課金体系のうちの1つ、従量課金制について、メリットとデメリット、事例も交えながら解説いたします。


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従量課金制とは

従量課金制は、ユーザー数や使用時間などの利用した“量”に“従”って課金する、価格体系の1つです。顧客目線だと「使った分だけお金を支払う」仕組みといえます。

ユーザーの使用状況に応じて金額が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすくなります。また、ユーザーの利用状況によっては、一定の金額で使い放題の場合と比べ、より多くの金額を請求できるため収益の最大化につながります。

超過従量課金

従量課金のシステムを部分的に取り入れる価格体系として、超過従量課金があげられます。

超過従量課金では、基本料金が設定されており、超過利用分に応じて料金が追加されます。そのため、特定のプランの制限から超過利用した場合にプランをアップグレードするのではなく、超過した分に従量課金をかけるモデルだといえます。

ただの従量課金では、多くの顧客が著しく利用を控えた場合、企業の収益が不安定になるリスクを孕んでいますが、超過従量課金を採用することで、最低限の収益は保証され、収益の拡大も見込めることから、非常に使い勝手がいいモデルです。

従量課金のメリット

従量課金制導入のメリットは次の2点あります。

金額に対する顧客の納得を得やすい

ユーザーが使えば使った分に応じて利用金額が確定されるため、顧客の納得を得やすくなります。また、機能制限がある課金モデルと異なり、全機能をとりあえず利用できたり、単価が上がる要因を事前に把握できているため、顧客にとっては非常にわかりやすいモデルとなります。

他にも、「サービスの価値は半信半疑なので、まずは安く使ってみたい」と考えている顧客は、利用頻度を抑えつつ低単価で、「サービスに対して、非常に価値を感じているためたくさん使いたい」と考えている顧客は、利用頻度が高く高単価になることから、購買のハードルを下げつつ、収益を最大化することが可能になります。

解約を回避できる場合がある

サービスによっては、利用する期間が一定期間に集中し、月ごとに利用量が大きく異なる場合があります。導入業績の業績によってもその傾向はあるでしょう。

そのようなサービスは、利用量が少ない期間にコストカットの対象と判断され、解約されてしまう可能性があります。しかし、従量課金制を採用していれば、利用量の少ない期間は低単価になるため、解約されにくくなります。

従量課金のデメリット

従量課金は、以下のようなデメリットも合わせ持ちます。

利用を控えられる

利用量やユーザー数が多ければ多いほど料金が高くなる従量課金制では、顧客が単価を抑えるために利用を控えてしまう可能性があります。そうなると、本来なら解決できた課題を解決できずに、顧客の満足度が低下してしまうかもしれません。

前払いしてもらえない

サブスクリプションビジネスでは、欠点である「顧客獲得コストの回収に時間がかかる」ことを解決するために、年間一括前払いなど事前に決裁を促す工夫がなされています。

収益予測ができない

多くのSaaSビジネスにおいて、サブスクリプションによる収益予測が容易な点は、非常に大きな強みとなりますが、単価が確定できない従量課金制ではそれができません。

収益の予測がしっかりできていればいるほど、顧客獲得などに投資できるため、中長期的に大きな差が生まれる可能性も孕んでしまいます。

従量課金制の種類

従量課金制は、主に「使用量による課金」「ユーザー数による課金」の2つがあげられます。

使用量課金

使用量課金とは、特定の機能を利用した回数や保存できるデータの量、アクセスできるストレージの量など、サービスの何かを利用・アクセスした量に応じて課金される仕組みです。

・使用量課金の事例
WAN-Sign pricing電子契約サービス「WAN-Sign」があげられます。このサービスは企業間の契約を行うごとに料金が発生する使用量課金となっています。

参考:「WAN-Sign

ユーザー数課金

ユーザー数課金とは、企業内でアカウントを持つユーザーの数に応じて価格が上がるモデルです。難点として、企業がなるべく登録ユーザー数を増やさないようにする結果、サービス満足度が低下してしまうことがあげられます。

この問題点を解決できる、ユーザー数課金を応用した「アクティブユーザー課金」モデルも存在しています。

このモデルでは、アカウント自体は好きな数登録できて、アクティブユーザーの数に応じて請求を行います。これにより、気軽に多くの社員にサービスを導入してもらい、サービス満足度の低下を防ぐことが可能です。

・ユーザー数課金の事例

ユーザ数課金を行っているSaaSサービスとして、株式会社ディー・エヌ・エーが運営するRPA(コンピューター上の業務用ロボット)サービス「Coopel」があげられます。1アカウントあたり5,400円で利用可能で、気軽に導入できることをサービスの強みにしており、価格の高さからRPAサービスを利用していなかった企業にもアプローチすることを可能にしています。

まとめ

従量課金制は、ユーザーの使用状況に応じて金額が確定し、請求されるため、金額に対する顧客の納得を得やすい価格体系です。

しかし、利用を抑制したり、キャッシュフローの鈍化、収益予測の難化など、多くのリスクを孕んでいます。

超過従量課金など応用的なモデルを組み合わせたりなどと様々な工夫をすることで、メリットを最大限活かすことが望ましいでしょう。

 

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複数パッケージ価格モデルとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】

SaaSで広く取り入れられている複数パッケージの価格モデルについて、メリット・デメリット・事例を中心に解説していきます。


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複数パッケージ価格モデル(Tiered pricing model)とは

複数パッケージ価格モデルは、SaaSにおける主流な価格体系であり、提供するサービス内容の違いにより2つ以上の価格帯が提供されているもののことを指します。

複数の価格帯で提供することで、複数の顧客セグメントに対してのニーズを満たすことが可能です。例えば、個人向けのサービスであれば、ユーザーの利用頻度や利用量、法人向けのサービスであれば、大企業か中小企業かで、セグメントごとに価値と合う価格で提供することができます。

複数パッケージ価格モデルには、「段階的なユーザーモデル(Tired user)」「段階的なストレージモデル(Tired storage)」「機能別モデル(Feature-based pricing)」の3つがあげられます。

複数パッケージ価格モデルのメリット

複数パッケージ価格モデルのメリットは次の2つです。

幅広い顧客ニーズに対応できる

幅広い顧客セグメントが存在する場合、プロダクトの全ての機能を必要としない顧客セグメントは多数存在します。そういったセグメントの顧客は、全ての機能は必要ないからもっと安くして欲しいと考えるはずです。それが原因で、検討サービスから外れることも多々あります。

複数パッケージ価格モデルは、顧客が必要としている機能のみを提供し、それにもあった価格プランを用意することが可能なため、幅広い顧客ニーズに対応できます。

利益増につながる

質の高い機能や多くのストレージを提供する必要がある顧客に対して、単一価格しか存在しない場合、利益を出すことができない可能性があります。

一方複数パッケージ価格モデルは、提供する価値に見合った金額を受け取ることができることから、利益を増加させることが可能です。

複数パッケージ価格モデルのデメリット

複数パッケージ価格モデルのデメリットは次の2つです。

価格設定が難しい

複数の顧客セグメント毎の必要としている機能や人数を正確に予測し、適切に機能する価格設定をすることは困難を極めます。パッケージごとの機能や利用量が料金に見合っていない場合、失注や解約につながる恐れが高まります。

顧客の混乱を招く可能性がある

機能が複雑でパッケージ数が多すぎると、何にお金を支払っているか、料金が適切なのかの判断がつきにくくなります。顧客が理解しやすい内容で、多すぎない数のパッケージを用意する必要があります。

複数パッケージ価格モデルの注意点

複数パッケージ価格モデルでの価格戦略は、以下の2点が重要です。

LTVの最大化を考慮する

SaaSにおいてLTV(顧客生涯価値)を最大化させることは、最も大切な指標のうちの1つです。

例えば、利用ユーザー数に比例した課金パッケージを作ると、従業員規模が大きい企業ほどLTVは向上します。一方でユーザー数に応じた課金モデルにしても、企業内で1アカウントだけの利用で誰もが完結できるプロダクトではLTVは最大化されません。

そのため、価格を決める際には、LTVが上がる要素を特定し、それに合わせて課金モデルを作ることが大切です。

ネガティブチャーンを可能にする

「ネガティブチャーン」とは、解約によって減少した収益より、既存顧客のアップセルやクロスセルによって増加した収益が上回っている状態のことを指します。

SaaS企業が成長するためには、ネガティブチャーンを実現が欠かせません。チャーンレートを下げつつ、既存顧客からの収益獲得を可能にする要素を持った複数パッケージのモデルを作ることが重要です。

段階的なユーザーモデル(Tiered user model)とは

段階的なユーザーモデル(Tiered user model)とは、利用できるユーザー数の違いによって、価格を複数設定するモデルです。利用機能に違いを作りにくいが、1社で利用する人数が多いサービスで設定される場合が多いです。

段階的なユーザーモデルを導入している企業例

・Google Workspace

Google Workspaceでは、Meet 音声会議とビデオ会議の同時接続数によりプランを選択することが可能です。

段階的なストレージモデル(Tiered storage model) とは

段階的なストレージモデル(Tiered storage model)とは、利用できるストレージの量にもとづき、価格を複数設定するモデルです。

段階的なストレージモデルを導入している企業例

DirectCloud-BOX

DirectCloud-BOXでは、「100GB」「500GB」「3TB」「10TB」「30TB」と段階的にストレージが設定されています。

機能別モデル(Feature based model)とは

機能別モデル(Feature based pricing)とは、顧客が利用可能な機能に応じて、複数の料金プランを設定するモデルです。「顧客のペルソナ」と「必要とされる機能」の把握ができていると設定しやすく、使用できる機能の数が多くなるほど価格は高くなります。

機能別モデルを導入している企業例

・Slack

顧客の規模の大きさごとのニーズに適した機能が追加されていく、4段階のプランを提供しています。「フリー」は無料プランでslackを無期限で試してみたいチーム向け、「スタンダード」は中小規模の企業向け、「プラス」は大規模な企業や高度な管理ニーズを持っている企業向け、「Enterprise Grid」は規制業界や、非常に大規模で複雑な組織を持つ企業向けとわかれています。

まとめ

複数パッケージ価格モデルは2つ以上の料金プランを提供する価格体系です。

段階的ユーザーモデルはユーザーの人数ごとに異なるプラン、段階的ストレージモデルはストレージ容量の大きさごとに分けられているプラン、機能別モデルは利用できる機能の量、内容で分けられているプランです。

複数パッケージ価格モデルは収益向上が見込みやすい反面、価格決定の難易度が上がるというデメリットもあります。ただ、この価格体系は幅広い層に対応でき、収益向上できるという面から、多くの主流なSaaS企業が導入しています。

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単一価格モデルとは?メリット・デメリット・導入企業例【SaaS価格体系】

サービスを利用する時に1つのプランがある場合と複数のプランがある場合があるかと思います。
ここではSaaSの価格体系の中でも1つのプランを提供する単一価格モデルをご紹介します。


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単一価格モデル(Flat rate pricing model)とは

単一価格モデル(Flat rate pricing model)とは、サービスに対して料金体系が1つであるサブスクリプションモデルです。

全てのユーザーに対して単一の製品・機能・価格を提供するため、SaaSの価格体系の中でも最もシンプルなものになります。例えば、ターゲットセグメントが画一的であったり、機能や価値が単一化されているシンプルなサービスで利用されます。

また、事業ニーズがあるかを仮説検証しやすいという観点から、PMFが優先されるシード(新規事業フェーズを含む)・アーリーステージなどで利用されることが多いです。

一方で、幅の広い顧客層のニーズに1つのプランで応えるということは難しく、SaaSの価格体系としてあまり多くは見受けられません。

今回は、単一価格モデルのメリット・デメリット・導入企業例を解説していきます。

単一価格モデルのメリット

単一価格モデルの最大のメリットは1つのサービスに対して、1つの価格体系というシンプルさから「サービス価値を顧客に伝えやすく売りやすい」ということがあげられます。

サービスを購買する顧客は、複数のプランがある場合よりも意思決定が容易です。このことから、新規顧客の獲得の増加にも繋がりやすくなっています。

また、サービスを紹介するLPやWebページ作成も容易になります。複数の価格プランがある場合、価格帯により見栄えも複雑になり、見にくくなってしまうことがあります。

それに対して、単一価格モデルの場合、顧客に伝えたいことは1つであり明確なため、サイト自体もシンプルな構成にすることが可能です。これは企業側の負担削減に繋がると同時に、顧客にとってもそのサービスに対する理解がしやすいという点から両者にとっての利点となります。

単一価格モデルのデメリット

次に単一価格モデルのデメリットを3つ挙げます。

幅広いユーザーのニーズに応えることが困難

1つのプランしか用意されていないがため、幅広いユーザーのニーズに応えることが困難になる場合があります。それにより、顧客の層を狭めてしまい本来獲得できていたはずの収益を逃す可能性があります。

また、BtoBサービスの場合でも、価格とサービスともに大企業と中小企業に対して同一です。規模の違う企業のニーズは大きく異なるため、両者にとって魅力的な価格設定は難しくなります。

売上の向上が困難

幅広いニーズに応えられないことで、売上の向上が困難になります。SaaS業界では、顧客のニーズに合わせて戦略・価値・価格を変化させていくことが重要です。しかし、単一価格モデルでは実現不可能になります。

コストリソースが顧客ごとに変動する場合、それに応じて対応できないのは収益を上げる際に大きな欠点です。柔軟な対応と変化に迅速に適応する能力は、SaaS業界においては必須となります。プランごとに顧客を惹きつけるような違いを出したり、柔軟な料金展開ができないことは顧客獲得において大きな弊害です。

また、複数プランがないことは、顧客の単価を向上させるために、顧客に対し高額な上位モデルに乗り換えてもらうアップセルを行うことができません

顧客に心理的弊害をもたらす場合がある

単一価格モデルは、プランの選択肢がないため、一部の顧客にとって包括的な扱いをされていると感じる可能性があります。このように顧客が感じてしまった場合、顧客は企業の提供するサービスを享受することはなくなります。

幅広い顧客ニーズを満たせない場合、顧客に対して心理的に不満を感じさせてしまいます。

単一価格モデルを導入している企業例

現在、単一価格モデルを導入している企業はほとんどありません。幅の広い顧客層のニーズに1つのプランで応えるということは難しく、柔軟性の欠如、アップセルを期待できないため収益拡大が困難な点が主な理由と言えるでしょう。

その中でも成功例として挙げられるのはBasecampという企業です。

Basecampでは、複数のアプリケーションの機能を、1つに集約したサービスを展開しています。
例えば、リアルタイムチャットの機能を持つSlack、やることリストを管理するAsana Premium、ファイルストレージを管理するDropbox、ドキュメント・カレンダー機能のあるGsuiteなどの機能が搭載されています。

これらのアプリケーションサービスを全て別々に購入した場合莫大な月額料金となりますが、これら全ての機能を月額99ドルでサービスを受けることができるのがBasecampです。

この企業の有料プランは単一価格モデルに該当します。月額99ドルで固定料金なため、追加費用は一切かかりません。月額99ドルというのは一見高額に見えますが、ユーザー数が増えても追加料金が発生しないということは、多くのユーザーを持つ大企業などは結果的にお得になります。月額料金以上支払うことなく無制限の数のユーザーを招待できるという点はこの企業のセールスポイントです。

また、この企業が成功した要因として様々なサービスの工夫が設けられています。
・1年間前払いすると15%の割引が適用
・30日間の無料トライアル期間
・非営利団体は10%の割引が適用
・教育(幼稚園から大学までの高校と教師)は無料で利用可能

これらの要因から、Basecampは単一価格モデルでも成功した事例となります。

まとめ

価格体系の1つである単一価格モデルは1つの価格を提供するモデルです。シンプルであるため、サービス内容を顧客に伝えやすく売りやすいというメリットがある反面、幅広いユーザーのニーズにこたえることが困難売上の向上が困難顧客に心理的弊害をもたらす可能性があるなど3つのデメリットがあります。

単一価格単体を導入している企業は数少なくその他の価格体系追加導入したり移行する企業が多いです。その理由としては、単一価格モデルは柔軟性に欠ける、収益向上できないということが一番の要因としてあげられるでしょう。